京都の某動物園にいる、成雄(16歳、カバ、♂)は近くのバス停から市バスがエンジンをふかして発進する際、『ブォーッ、ブォッ、ブォッ、ブフォッ!!』と鳴く。特に発情期には声を大にして鳴く。同園は戦前からカバを育てているが、こんなに鳴くカバは珍しいという。バカなのか?いや、どうも園のそばを通るバスのエンジン音をほかのカバの鳴き声と勘違いしているらしい。バカだった。が、しかし飼育課担当(46歳、係長、♂)は、
(1)恋敵の雄と勘違いし、威嚇や警戒の意味で鳴き返している。
(2)メスと勘違いし、親愛や親和の意味で鳴き返している。
の二つの可能性が考えられると語っている。(1)は恋敵のオスカバが人と一緒に道路を歩いていたら、かなり恐い。もはやカバオくん(アンパンマンにレギュラー出演)だ。(2)もメスカバが一般道路を歩いていたら、すこぶる恐い。それよりも成雄の隣室には恋仲の継美(19歳、カバ、♀)がいるのだ。にも関わらず成雄は外に向かって求愛をする。こんなあからさまに浮気現場を目撃されるカバも珍しい。
きっと継美は『あんた、バスに発情して鳴くなんて…。どこのバスよ!市バス?京都バス!?あんたなんかカバじゃなくてバカよっ!!』とかなんとか思っているはずである。
ちなみに、この動物園には二匹の豚がいる。名前は『トン』と『カツ』だ。
ごちそうさまでした。