岐阜県恵那市 城下町ホットいわむらの日々

横須賀から参りましたふるさと活性化協力隊員のブログです

空き家再生、新展開

2014-10-15 | 日記
岩村の空き家情勢に新たな展開が起きてきています。

城下町の町並で一際目を引く、格子窓の建物"K邸"。



もっとも岩村らしさを感じられる建物の一つでありながら、2~30年空き家の状態が続いています。

傍目にも建物の傷みが進んでいることがうかがい知れ、町の方々からも、この建物の先行きが案じられていました。


それがこの数週間前、家主さんが取り壊しに動く、という情報が伝わってきたことから事態が展開していきました。

将来的に、こうした空き家を取得し有効な利活用に向けて再整備を行う事業体を立ち上げる、というような構想はあるものの、今すぐに組織的に動けるわけではありません。

そこで、いっそのこと建物を個人で取得しオーナーとなり、今後の利活用に一歩でも進めようという町の有志の方が英断を下したのでした。

今後のなりゆき次第では、最悪の場合不良資産として個人が抱えるリスクもあり、なかなかできる決断ではないと思います。

しかしそこは岩村、まちづくりに関わる方々同士の篤い信頼関係があってこそ。こうしたバックグラウンドが岩村の強みに他なりません。


さて、そんなK邸を自分たちのできるところまでは自分たちで整備していこう、と早速ボランティアで不用品等の片付けをしてきました。



私は以前にも内覧していたので、状態の悪さはある程度知っていましたが、実際片付け始めてみると、それ以上の状況に言葉がでないほど。



畳は融けてしまい、強烈なカビ臭が漂います。

屋根が一部抜けていて、部屋の中から青空が覗けます。

柱は傾き、土台は腐って消失、よくこの状態で立っていられるわ笑


それでも、中からできた生活の痕跡からは、かつてこの空き家が『住まい』であったことを確かめさせてくれます。

小さな赤いランドセル、七五三の衣装、絵本やおもちゃ、などなど、親から女の子へと向けられた愛情の証拠ともいえるものがたくさん出てきました。



さらに時代をさかのぼった戦前のモノも色々と。歴史の深い岩村ならではですね。




放置された空き家が増えていくことは、由々しき事態ではあるのですが、こうした痕跡を見ると、今後まるで生まれ変わってしまうのがなんだか惜しくなってしまったり。

まあそれでは前に進めないんですが、少なくともこのような状態から再生に関わる人をたくさん集め、こうしたモノに感じ入ってもらえたら、きっと「どうにか残したい」って気持ちもより強くわいてくるんではないかと、いうのがこれまで私が空き家対策に関わってきた中から思ったことです。

悪戦苦闘の末、たくさんのモノが片付けられ、状態は悪いなりにも、久しぶりに空気を入れ替えられた家の表情は、入る前と少し変わって見えた気がします。

これからどんどん建物に血が通っていく姿を追っていけるのが楽しみです。

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