その月の終りに突撃隊が僕に螢をくれた

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その心地よい感覚を味わった

2016-10-13 12:32:44 | 生活
沖田さんは何だか腑に落ちない表情をしていたけど、私の腕を取るとそこに口をつけた。
そしていつものように私をギュッと抱きしめてくれる。

緊張に固くなっていた私の身体は、その温かい感触にふっと力が抜ける。
やっぱりこうやって優しく抱きしめてもらうのって、凄く嬉しい気持ちになる。
私は暫しの間目を閉じて。

でも、それと反比例するように、沖田さんの息はだんだん上がってくる。
そんな彼の様子を見れば、やっぱり私の胸はチクリと痛くなった。


「えりちゃん・・・今日これからどこに行くの?」


沖田さんは私を抱きしめたまま、少し荒い息の合間から聞いてきた。


「左之と会ってきます・・・」


そう告げた途端、沖田さんは私から身体を離し、険しい顔で肩に掴みかかる。

「あいつとはもう二人で会わないって約束したじゃない!」

「分かってます・・・でも・・・」

「どうして?まだあいつの言いなりになるつもりなの?」

沖田さんは眉根を寄せて苦しげな表情をする。
その表情は単に衝動から来るものではなく、まるで彼の心模様を表しているような気がして、私の気持ちまで苦しくさせた。


「私、決めたんです、ちゃんと左之と向き合うって。・・・だから自分の本当の気持ちをちゃんと伝えて、彼にもそれを分かって欲しいんです」

「あいつは話が通じるような男じゃないよ。また何かされたらどうするの!?」

「大丈夫です。もう私は流されたりしません」

沖田さんは唇を噛みしめながら厳しい表情で私の顔を睨む。
でも、私もここで折れる訳にはいかなかった。

「じゃ、僕も一緒にいく」

「ダメです、これは私と左之の問題です。沖田さんにこれ以上ご迷惑はかけられ・・・」


「・・・迷惑なんかじゃない!」


沖田さんは私の言葉を遮るようにそう叫ぶと、再び私の身体を抱き寄せぎゅっと肩口に顔を埋めた。


「君をあいつの所に行かせたくない」

「沖田さん・・・」