「疲労回復をサポートする」「食欲が増す」「内臓脂肪の減少効果がある」などの理由でお酢を愛用している消費者が多いが、今年の夏は節電の影響もあり厳しい暑さによる体調不良も予想される中、このお酢が更に活躍することになりそうだ。
ところで、"お酢を使った料理"と言って、何を思い浮かべるだろうか。代表的なのは「酢の物」や、ちらし寿司や手巻き寿司などに代表される伝統的なお寿司。実は思い浮かぶレパートリーは数少ない。しかし、レシピサイト大手の「クックパッド」で「お酢」と検索すると10万件以上のレシピがヒットするなど、お酢の活用法は奥が深いようだ。
お酢の多彩な活用は、飲食店にも広がっている。特に「酢飯はお寿司屋さんで食べるもの」というイメージが一変するようなメニューも増え、注目が集まっている。料理のプロである飲食店はお酢をどのように活用しているのか、一例を紹介しよう。
埼玉県越谷市、酢飯を使ったメニューを出すお店「すし遊膳 ゆう彩華」は伝統的な握り寿司や創作寿司に加えて酢飯を使った一風変わったメニューを楽しむことができ、密かな人気を集めている。
例えば、ランチタイムには酢飯の上に卵とネギトロのそぼろカレーをかけた「ドライカレー」や酢飯の上にまぐろのハンバーグや特製ドレッシングをかけた「すしロコモコ」。ディナータイムで人気の、海鮮海苔巻きの上にマヨネーズをかけて焼き上げ Beats by Dr.Dre専門店 -ステファンカリー バッシュ「寿司ドリア」はお酒との相性も良い。また、通常メニューには載っていない常連さんだけが頼む"裏メニュー"で知る人ぞ知るメニューの「寿司焼きビビンバ」など、いつもの人気メニューを酢飯で全く違う美味しさにアレンジしているのが特徴だ。
「すし遊膳 ゆう彩華」の人気酢飯メニュー(左上から時計回りにドライカレー、すしロコモコ、寿司焼きビビンバ、寿司ドリア)
いずれのメニューも「酢飯のおかげで食欲が湧く」「酢飯とその他の食材との相性がいい」「さっぱりと食べられる」などの意見が多く、熱烈なリピーターも多いという。中にはこれらのメニューを目当てに遠方から訪れるお客さんや料理の作り方を聞いてくる熱心なお客さんもいるそうだ。
店主の池田裕亮さんによると、酢飯と他のメニューを組み合わせることによって生まれる「美味しさ効果」は、酢飯が魚介類をはじめとする他の食材のうまみを引き立たせることだという。普通の白米と合わせると感じる「どこか一味足りない感じ」を補ってくれるのだそうだ。また、人気メニューである「ドライカレー」は、カレーのスパイシーさと酢飯のまろやかさの相性がよく、癖になるお客さんが続出しているという。
元々「お酢=酸っぱい」というイメージが強いお酢だが、このように酢飯を様々なメニューで活用すれば食品の「うまみ」が増したり、食欲が湧いて箸が進むなど様々な効果がある。では、家庭で簡単にお酢を活用して、料理を更に美味しくするにはどうすればよいだろうか。
全国すし商生活衛生同業組合連合会 会長の山縣正氏によると、寿司屋の世界では酢飯と簡単な食材を組み合わせてつくる「酢飯チャーハン」や「酢飯カレー」など酢飯を使ったメニューは昔から料理人の「まかない飯」として食べられてきたという。お酢を使っているので抗菌作用によりご飯がいたみにくく、食欲も増進する。酢飯を白飯の代わりに活用する文化は、寿司屋の世界では当たり前だったのだ。
例えば、余ったご飯にお酢を掛けて冷蔵保存し、翌日にそれをチャーハンにしてみると意外な美味しさを発見できるだろう。また、大抵の家庭で作った翌日にも食べることになるカレー。少しお酢を加えれば一晩のうちにいたんでしまうということも防げるし、美味しさも増すに違いない。いずれのメニューも料理が酸っぱくなることはなく、紹介した「すし遊膳 ゆう彩華」のメニューのように料理のうまみが引き立つ効果が期待できる。また、お弁当に入れるいつもの白飯を酢飯にしてみれば、他に入れた様々なおかずとの相性も試せて、自分だけの「お酢レシピ」を発見できるかもしれない。
これから暑さが増せば、食欲が落ちて体力の低下も心配になる。暑さに負けずビジネスの現場で活躍するためにはしっかり食事を摂って体調を整えるのが一番重要だ。そこで、今年の夏はお酢を活用して暑さをおいしく乗り切ってみてはいかがだろうか。