西の空は晴れている

絶望の向こうに希望がある............、はず!

二人で歩く その3

2016-11-05 20:04:23 | 神社 古代

守屋山へ。事前に場所だけは確認していたのですが、それ以外はあまり考えていなかった。自分の中では、飛騨・位山くらいのイメージでした。登山の知識も皆無だし。車で行けるところまで行って、駐車場で車を止める。見れば、いろんな都府県からの車が7.8台あり、山に入れば誰か居るだろうぐらいの気分。車を降りた瞬間に、2グループが下山されて来たのですが・・・。

息子が、

「ねえ、オヤジ、みんなガチ装備じゃねえ?」

と言う。確かに、全員、登山靴にリュック、それっぽい服装にストックみたいなものを持っていらっしゃる。僕は、朝、犬の散歩してきた格好のまま来てますし、息子は更にラフな服装。

俺ら、完全に浮いとる。ちゃんとした山に紛れ込んだ舐めた観光客って感じや。」

全く、その通り。寧ろ、息子と二人だったので、”舐めた観光客”程度で見られるけど、僕一人だと”死に場所を探している疲れたサラリーマン”に見られなくも無い。いやいやこれは大変と思いつつ、登山道と書いてある所から登り出す。いきなり急斜面じゃん。(たぶん、他に楽な迂回路はあったみたいですが。)

20分弱程(正直、あまり覚えていない)歩いて、キャンプ場に着く。そこに守屋山登山道入口と書いてある。

”ここからあとちょっと”という思いで見上げると、ええーっ!むちゃ急斜面が続いている。ここから本番ですか!山を舐めていたわ。それでも、紙垂があるのを見て、妙にやる気が出る二人です。おおっ、ここからが聖域だ!

それにしても想像したより道が急なのですよ。これまでの自分の数少ない登山経験の中で、地元のT山登山を含めて疲れたとか息切れしたって経験が無かったので、正直、舐めてました。”藤波呼吸”でも全然対応できず、これが息切れということかと実感。息子は、20メートル程先へ行っては待っていてくれる。”先に行っていいよ”と言うのだけど、”山ではぐれたり、動けなくなったら大変だから”と妙に冷静。行きも帰りも道に迷う瞬間があったのだけど、100%息子の判断が正しかった。体力、判断力共に劣化した自分自身が情け無いのと、彼の成長に、 ”ああ、オレ、いつ死んでも、もうええわ”っていう嬉しさと。

それにしても、息が乱れながらも、山を歩いている時の気持ち良さよ。数少ない登山経験の中でいつも感じるのは、山全体が生き物ということ。見られているような、でも、歓迎されているような感覚がする。登山、良いわ。途中、数グループとすれ違う。お互いに”こんにちは”と言う。女性や年配の方はにこやかなのだが、そこそこの男性は、俺らを見て”山、舐めんなよ!”って視線を向ける。少しだけ言い訳すれば、俺らはレジャー目的じゃなくて、聖地巡礼なのだから、軽装で苦労してこその登山なのですよ。

息も切れ切れに山頂に着く。1631.2m。山頂に陽が射し、心地ち良い風が流れる。狭い山頂には俺ら二人だけ。最高の気分。ありがとう。

諏訪湖が一望できる。日本のど真ん中に湖があり、そこを一望できる山。やっぱり聖山です。息子が、

「昔の人は、頭が良かったんだね。」

と言うから、

「今の人間は頭しか使わんけど、昔の人は頭と体を使って考えたからやろ。」

と、それっぽいことを言うオレ。

山頂にある物部守屋大連大神(もののべのもりやおおむらじおおかみ)の祠。物部守屋が丁未の乱で敗北する以前から、この地は守屋山だったと思うので、これは後付だろうとは思うのですが、それでも良いのです。この山の、この地の神に、ここへ息子と二人で来れた事に感謝。

俺がその気になりやすい性格なのを差っ引いても、神気を感じぜずにはいられません。

さて、気持ちよく下山した後、ちょっと下の峠の喫茶店へ。この喫茶店のバルコニーから諏訪平野が一望でき、無料で入れる。俺らは、腹も空いていたので、サンドウィッチとジュースを注文してバルコニー側の最高の席をゲット。体を休めながら、諏訪平野を一望のはずなのですが・・・、

無料でバルコニーに入った一組の夫婦が、俺らの眼前で写真撮りまくりなのですわ。折角の風景が台無し。カネはらえ~(笑)。他の方は、2、3分で出て行かれるのですが、この二人ときたら延々と。

「おい、空気読めえ~。」

と、息子も腹を押さえながら笑いを噛み殺す状態。僕らも30分程ゆっくりと過ごしたにも関わらず、自分らが出ても、このお二人、まだ写真を撮ってましたからねえ。いったい、何処を目指していらっしゃるのやら。

僕も外に出て何枚か撮りましたが、所詮、写真じゃあ、雰囲気は伝わりませんね。

息子は、来年から県外の大学へ進学するので、当分は二人での旅は無いでしょう。今回、こういう機会を持てたこと、晴天に恵まれたこと、山で息子の成長を実感できたこと、諏訪の神さんと息子に感謝です。



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