すし屋のカツサンド

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伊坂幸太郎のSFを思い出す

2019-12-18 09:04:11 | 
2019年7/30の毎日新聞夕刊記事。
見出しは「小惑星 地球とニアミス 直前130m前日まで気づかず」。

『終末のフール』 伊坂幸太郎 集英社文庫
8年後に小惑星が地球に衝突し、地球が壊滅するとわかってから5年が経った頃。
同じテーマで登場人物が替る短編集。
「鋼鉄のウール」は16歳の練習生から見たキックボクシングチャンピオンの話。
彼は愚直にルーティンワークに励む。
衝突騒ぎの前にある雑誌で、「明日死ぬって言われたらどうする?」と対談相手に訊かれたチャンピオンは「できることをやるしかないですから、変わりませんよ」と答える。
他短編の『太陽のシール』はひねりが利いてるし、『篭城のビール』は見事な一幕物。
8編とも粒揃いでいい。

児童小説つながり

2019-11-04 10:34:24 | 
『あんじゅう』 宮部みゆき 角川文庫

江戸の袋物屋の三島屋で、語って語り捨て、聞いて聞き捨て話が始まった。
毎回聞き手は主人の姪おちか。
変り百物語はすべて短編小説。
表題作「あんじゅう」(くろすけと云う影薄い子)は哀切ですが、心温まります。
これも児童小説でしょう。 

『ぼくは くまのままで いたかったのに・・』シュタイナー文ミュラー絵 ほるぷ出版

がんがみなみへわたっていく ぼくはもうねむくてしかたない ゆきのまえにほらあなにむかった はる あなからでるとこうじょうができてる しょくちょうがとっととしごとにつけという ぼくはくまなんだけど ヒゲもそりはたらいた あるとき ぼくはねむくてたまらなくなった・・・  

つなぐ その2

2019-10-02 06:18:11 | 
今回は読書会と朗読会。

『ガーンジー島の読書会』シェイファー&バロウズ イーストプレス
  
イギリス海峡チャンネル諸島のガーンジー島はドイツ軍占領下にあった。戦後の1946年1/8~9/17、島に渡ったジュリエット(33歳)は出版社に手紙を出し続ける。書簡小説です。ドイツ兵でさえ飢えていた島では何千という強制労働収容者が死んでいた。当時、エリザベス・マッケンナはその一人をかくまい、ある島民の密告でドイツへ収容所送りとなる。そこでもフランスの女性を助けようとして銃殺される。戦後、遺児のキット(4歳)は愛らしく育つ。終章、ジュリエットから島民ドーシー(40歳)へ愛の告白。

『人質の朗読会』 小川洋子 中央公論新社
地球の裏側で遺跡観光マイクロバスが襲われ、日本人8名が人質となる。山の元猟師小屋に100日監禁された後、現地特殊部隊が急襲する。犯人全員(5名)が射殺されるも、仕掛けられたダイナマイトで人質も全員死亡。2年後、差入れられた救急箱の中の盗聴テープがラジオ公開される。拉致された1ヵ月後、命の危険が薄れたのか、人質たちは互いの物語を語り、実によく笑っている。秘かに録音した現地通信員の語りを最後に9つの物語(山びこビスケット他)が紡がれる。

つなぐ その1

2019-09-14 07:40:26 | 
ぶらんこがつなぐ。

『ぶらんこ乗り』 いしいしんじ 新潮文庫 
小学4年の私の弟は1年生。サーカスで空中ぶらんこに夢中になった弟に父さんは庭の木にぶらんこを作ってくれた。学校で高くぶらんこをこぐ弟は頂点に達した瞬間、雹がのどに当たる。ガラスをひっかくよりひどい声になり、聞く者全て(動物でも)吐き出す。声を出せない弟は16のおはなしを書く。12歳で飛び級の大学生になった弟は、亡き祖父(画家)の国に向う。そこで事故死した父も母も眠っている国。今、16歳になっているだろう彼の消息を私は知らない。

『空中ブランコ』 奥田英朗 文藝春秋
巨漢の精神科医・伊良部一郎。無邪気すぎる彼が患者のかかえる悩みを結果オーライ的に解消してゆくシリーズ。今作ではサーカスの空中ブランコのフライヤー(跳ぶ人)を診る。ここでも子供じみた彼は毎朝サーカスに来て、自身もフライヤーを楽しむ。ついには出演も。「伊良部は豹柄のレオタードに身を包んで現れた。プレスリー並みに太ったフレディ・マーキュリーという感じだった」。キャッチャー(捕捉する人)目がけて跳ぶ伊良部だった。

トントントン

2019-08-01 04:24:41 | 日記
奇跡って何だろう?

わたしのハードルは低い。

たとえば宝くじで10万円が当たるというように。

では、偶然は何だろう?

道を歩いていて、耳の中に小さな虫が飛び込んでくるような。

これは向こうからまた出て行ってくれる。

家人が少しやっかいな偶然に遭った。

学童保育室の嘱託指導員をしているが、そこでの出来事。

子どもが水鉄砲を彼女に向けて撃った。

それが右耳に入ったと言う。

その場で、右足立ちになり、右に首を傾げてトントントン。

出ない。

奥に入りこんだらしい。

くり返すもだめだったと帰ってからもらす。

夕食を終えてトントントンやってる。

「出たあ」「ううん、まだ」「ふーん困ったネ」「まだ気持ち悪い」

翌日、あの水が出て行ったと明かしてくれる。

「どうしてだと思う?」「やっぱりトントントン?」

風呂に入った折、右耳めがけて、シャワーしたと言う。

そしたら、元の水もあふれ出した、と。

押してだめなら引いてみな、ホント、よく気がつきました。