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アイルランド情報保護コミッショナーと米国FTCの個人情報保護に関する「了解覚書(MOU)」に署名の真の意義

2013-07-28 14:12:33 | メディアを越える最新情報


 本ブログでは政府機関間の了解覚書(MOU)について、2011年11月23日ブログ「米国・豪間の米国法執行機関による豪州の犯罪容疑者のDNA、指紋情報DB等へのアクセスに関する了解覚書」で取り上げた。
 同ブログでは(1)米国とオーストラリア間の“MOU”の具体的内容と人権擁護面から見た問題点、(2)国家間における“MOU”の法的効果、(3)条約(treaty)や合意(agreement)等との相違や使分けについて米国国務省や国連の担当部の見解等、(4) 民間企業や団体間における“MOU”の法的問題と実務面の課題等も踏まえながら問題を整理した。

 ところで、7月2日付けのプライバシー問題専門ブログ“Inside Privacy”は標記署名問題を取り上げ、連邦取引委員会(FTC)のアイルランドのコミッショナーとの関係強化の具体的活動の背景やEU加盟国と北米間の情報保護をめぐる協調関係強化の動向を解説している。

 今回のブログは、これらの内容を概観するとともに、その背景となる米国のNSA等の活動をめぐるスパイ活動と人権問題をめぐるEUの保護監督機関との関係強化、さらには米国のIT先端企業のEU域内での拠点構築の動向を探る上で興味深い戦略面の課題のポイントをまとめてみた。


1.了解覚書(MOU)の内容の要旨
(1)正式名は“Memorandum of Understanding between the United States Federal Trade Commission and the Office of the Data Protection Commissioner of Ireland on Mutual Assistance in the Enforcement of Laws Protecting Personal Information in the Private Sector” (全10頁)で構成項目は次のとおり。
① I. Definitions
② II. Objectives and Scope
③ III. Procedures Relating to Mutual Assistance
④ IV. Limitations on Assistance

⑤ V. Confidentiality and Limitations on Use
V。 使用の秘密性と制限
A。 準拠法と最大限に可能であって、一致しています、各Participantは守秘義務がこのMemorandumの下で共有されるのを公認します。 秘密性の証明は共有された情報に適用するだけではなく、情報が関係する調査の存在にも適用されます。 Participantsはそれが元々共有されたそれら以外の目的にさらにこの情報を共有された情報、情報が関係する調査の存在、およびこのMemorandumによると、秘密であるとしてされたどんな要求も扱って、明らかにすることになっていませんし、また使用することになっていません、Requested Participantの文書による事前承諾なしで。
B。 セクションV.A.条にもかかわらず、このMemorandumの何によるも以下のことも意図しません。
1. ParticipantがこのMemorandumに応じてParticipant国の立法機関からの催告か適切な管轄で法廷から出される指示に対応してParticipantによって始められた動作かその政府に提供された情報を差し控えるのを認可してください。 2 または、刑法の調査か実施に関して得られた資料が、Participantの国の刑法の違反の調査、起訴、または防止の目的に使用されるのを防ぎます。

C。 各関係者はこのMemorandumの下に受け取られたどんな情報とどんな安全装置もParticipantsで同意した敬意のセキュリティも保護するための最善の努力を使用することになっています。 不正アクセスか情報の公開、Participantsが、どんなも出来事の再発を防ぐためにすべての適正措置を取って、発生について即座にもう片方のParticipantに通知することになっています。

⑥ VI. Changes in Applicable Privacy Laws
⑦ VII. Retention of Information
⑧ VIII. Costs
⑨ IX. Duration of Cooperation
⑩ X. Legal Effect
X。 法的な効果
このMemorandumの何によるも以下のことも意図しません。
A。 拘束力がある契約書を作成してください、または国際的であるか国内の法の下で既存の義務に影響します。
B。 他の協定、アレンジメント、または習慣に従って、もう片方のParticipantにParticipantが助力を請うのを防ぐか、または支援を前提とすること。
C。 Participantがもう片方のParticipantの国の領土に位置するPersonから合法的ベースの情報を求めるあらゆる権利に影響してください、または自発的に提供している法的に得られた情報からParticipantまでどんなそのようなPersonも排除します。
D。 Participantの国内法令、裁判所命令、またはParticipantの管轄を超えている協力へのどんな適切な国際的な法律文書E.Create期待とも衝突する委任を作成します。
ワシントンDC(アメリカ合衆国)、およびPortarlington、アイルランドでは、2013年6月26日に、写しで、サインされています。

Chairwoman Edith Ramirez : Federal Trade Commission
Commissioner Billy Hawkes :
Office of the Data Protection Commissioner United States of America
Ireland


Annex 1  Applicable Privacy Laws
I. Federal Trade Commission
a. Federal Trade Commission Act, 15 U.S.C. §§ 41-58
b. Fair Credit Reporting Act, 15 U.S.C. §§ 1681-1681u
c. The Children’s Online Privacy Protection Act, 15 U.S.C. §§ 6501-6506
d. Gramm-Leach-Bliley Act, codified in relevant part at 15 U.S.C. §§ 6801-6809 and §§ 6821-6827


II. Irish Data Protection Authority a. The Data Protection Acts, 1988 and 2003



2.米国のアップルやGoogleがEU本部を米国からアイルランドに移転した本当の狙い
 Inside Privacyがいみじくも指摘しているとおり、米国のグローバル企業にとって従来から厳しい姿勢をとるドイツやフランスにEU本部を移転することは考えられない。また企業力や国力から見ても競合相手が多いドイツ等との争いは避けたいと考えるのが当然であろう。
 さらに筆者ブログで紹介したとおり、(1)欧州委員会が目下取組んでいる「個人情報保護規則(案)」に対する英国議会などの問題指摘姿勢、(2)本年4月22日のドイツ: シュレスビッヒ・ホルシュタイン行政裁判所(Verwaltungsgerichtsbarkeit in Schleswig-Holstein:OVG)判決においてアイルランドのEU本部を持つGoogleに対する保護コミッショナーの管轄権はアイルランドのコミッショナーのみにあると判示したことなどは極めて緊密に関係しよう。