ひまわりてんびんへの道

会社は変われど、一貫して企業法務に携わってきました。思いつくまま、気の向くまま、気長に書き続けます。

いよいよ、第4回。でもその前に、第3回について~ジャッジ 島の裁判官奮闘記

2007年11月03日 | テレビ
第3回が終わった直後に、某所では簡単な感想を書きました。

しかし、こちらでは、どう、何を書こうかと書きあぐねておりました。
第3回の感想が第4回の終了後では、話になりません。

第3回は、「老老介護」という結構重いテーマでしたが、今回もぐっと来ました。

いい脚本だと本当に思います。
脚本だけでなく、キャスティングも毎回、目が離せない。

さて、法律や法曹を扱ったドラマでは、限られた時間の中で、視聴者の皆さんに余りなじみのない法律論議については、多少ねぐってしまうのはいたし方のないことでしょう。

ひまてんは、まがりなりにも法学徒の末席に名前を連ねている!?ので、講学上の観点から今回の第3回を考察してみました。

見当違いなことを言っているのかもしれません。
そのときは、遠慮なく、堂々とコメントでご指摘ください。

本件事案においては、訴因の変更が問題となる。

殺人事件の審理中に、嘱託殺人の事実を基礎付ける新たな重要証拠が出てきた場合、検察官、裁判所は、どのように対応すべきか。
今回のドラマでは、新たな証拠とは、不肖の息子が探し出してきた
父親の日記
ですね。
争いはあるが、刑事訴訟法256条、312条の条文の解釈から、また現行刑事訴訟法の当事者主義的構造にも適合していること、被告人に対して、防御の対象は何であるかを告知するための機能を重視すべきであることから、刑事訴訟の審判の対象は、訴因であると考える。

そして、訴因は、変更することができる。

変更を認めないとすると、検察官の負担が重くなり、また被告人にとっては不意打ちとなるので、双方の利益を害することになるからである。だからといって、自由に変更を認めてしまうと、被告人の立場が非常に不安定となってしまい、一定の限度の範囲内で、訴因の変更を認めるべきである。

そこで、法は、公訴事実の同一性の範囲内で、訴因の変更を認めた。(312条)

では、どういった場合に、訴因の変更が認められるのか。

刑事訴訟の審判の対象は訴因であり、訴因は、検察官が起訴状に記載した具体的事実と解するべき。だとすれば、その具体的事実に変化があれば、訴因の変更を要する。
そして、その基準は、形式的には、訴因と裁判所が認定しようとしている事実が、質的、量的に変化があるかどうかの事実の識別可能性と、実質的には、訴因の変更が被告人に不意打ちとならないか、不利益とならないか、被告人の防御の利益に求められる。

したがって、被告人の防御に実質的に不利益にならなければ、訴因の変更は要しない。

そこで本件事案では、起訴状に記載された故意による殺人の事実が、被害者の嘱託による殺人の事実に変更を要するかであるが、たしかに、殺人罪と嘱託殺人は構成要件が違うが、「人を殺した」という点では同じなので、嘱託があったことを認定することは、被告人に対して不意打ちにはならず、被告人の防御に不利益があったとはいえないので、訴因の変更は要しない。
ということになる。

と、まあ、法律的に論じてしまうとこのようにしち面倒くさくなって、面白くもなんともない。

恭介も悩んでいたが、それは、父親の日記が出てくる以前のことで、漠然と持つ嘱託殺人の事実を基に、嘱託殺人として認定してよいかということだったのではないか。

ただ、率直にああも心情を吐露してしまってよいのかとも思うのだが・・・・・。

節制は必要だが、裁判官も人間である以上、感情を出すべきときには、出していいようにも思う。

さて、今日は、第4回。

どんなお話になるのでしょうか。


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1 コメント

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見たよ、「島の裁判官」第4回 (金 英姫)
2007-11-04 11:42:26
昨夜、第4回を見ました。
感想は、NHKだなあ。
題材は悪くないけど、演出にもう少し工夫が欲しい。
「裁判官はこんな人」ととらわれすぎな気がします。
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