平方録

何とかと煙…になっちまったゼ

妻が仲良くしているご近所さんから「変化朝顔」のタネをもらってきた。

「お宅のご主人は花作りがお上手だから、また育ててみてほしいの」と言われたんだそうである。
実は2、3年前に初めてタネを頂戴し、その時は変化朝顔という存在を初めて知ったこともあり、興味津々で挑戦したら見事に花を咲かせたんである。
それを覚えていたようなのだ。

そもそも、変化朝顔というのは江戸時代の江戸や大阪の庶民の間に流行した園芸で、メンデルの法則も知らない時代に様々な変化を生み出して楽しんでいたのだ。
それ以降、連綿とタネが引き継がれてきたんだそうである。
しかし、第二次大戦で空襲を受けるに及んで伝えられてきたタネは灰塵に帰してしまったが、戦後、九州大学が一部のタネを保存していたことが分かり、このタネを足掛かりに復活し、今また愛好家を増やしているんだそうな。

残念ながら、ボクは愛好者の列には加わっていないが、「お上手だから」などとおだてられれば何とかと一緒で、すぐに煙になってどんどん上って行ってしまう質だから、今回のタネもあだやおろそかには出来ないんである。
しかし、この伝統的なアサガオは〝古風な〟性質を維持していて、今売られているアサガオのように袋からタネを取り出して土をかぶせれば芽を出すという単純なものではないんである。
土中に蒔く前にひと手間必要なのだ。

一晩水につけるんである。
しかも、水を吸収しやすいように種の両端を少し切り落として硬い殻にキズをつける必要がある。
何せタネは小さいのだから、簡単ではないのだ。
で、ボクは爪切りを使って一つ一つタネをつまみ上げては、老眼鏡を頼りに両端を切り落とす肩の凝る作業を繰り返すことになる。
江戸時代に戻るためには根気が必要なんである。

今回託されたタネは袋の中に「濃紫系柳」「石畳咲」「蜻蛉葉」「姫(葉っぱの斑が透けるのが特徴)」「懸崖」という名札が入っていた。
名前だけ見て想像してみると、とてつもないものが咲きそうである。
想像するに「濃紫系柳」などは濃い紫色の花びらが糸のように細く切れていて風にそよぐのかもしれない。
「蜻蛉葉」は以前にも育てたことがあり、葉っぱがトンボを上から見た形にそっくりなのだ。
「石畳咲」に至ってはどんな意匠を凝らして咲くのか、皆目見当もつかない。花びらに石畳のような模様が入るのだろうか。
しかし、どんな花を咲かせようが、いずれにしたってアサガオである。江戸時代はよっぽど退屈だったんだねぇ。

6月も10日を過ぎた播種は時期的にギリギリだろうが、何とかなるだろう。
それにしても今年は5月に「猛暑日だ!」なんぞと大騒ぎしていたが、全体的には温度が低い。
ミニトマトの苗も成長が遅いし、ついている実もなかなか大きくならない。
それでなくてもおかしくなり始めている地球の気候は、アメリカの「45代」によってさらに足を引っ張られることになるのだ。
ったく…!



円覚寺の「舞子アジサイ」。名前からは想像しにくい地味な花を咲かせている


5種類それぞれ5~6粒のタネを大事に扱って発芽させるんである




8日に蒔いたルッコラの芽が一斉に出そろった。早めの間引き作業が必要である
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「随筆」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事