平方録

かぶるべきか、かぶらざるべきか

かぶるべきか、かぶらざるべきか、それが問題だ。
シェークスピアならどう判断するか。

自転車に乗る時のヘルメット着用である。
道路交通法では13歳未満の子どもにはヘルメットをかぶせるよう保護者に義務づけているそうだが、大人に対する規定は無い。
しかし、条例を制定して義務化しようという動きが出始めているらしい。
努力義務ながら、最初に着用を求めたのが2013年の東京都と愛媛県だそうだ。

確かにヘルメットを着用していれば、万が一の場合の頭部へのダメージは軽減されるはずである。
それは良くわかっている。
だから自転車競技などで大勢の選手がゴールを目指してしのぎを削り、我先に先頭に立とうとするようなケースでは接触事故も起こり得るし、危険のリスクも高くなる。
そこまで行かなくても、休日にロードバイクにまたがって遠乗りをするような場合も、一般道を車に交じってそれなりの速度で走ろうとすれば、これはそれなりのリスクを伴う。

第一、舗装している道路だって、実際の路面は凹凸だらけだし、いわんや、路面が平らであっても3~40キロの速度で走っていたら、急ブレーキをかけても止まれない。
タイヤそのものは止まったとしても、あの細いタイヤでは地面との接地抵抗は知れていて、惰性の付いている自転車は横滑りするかつんのめるしかない。
そうした走りを楽しむ場合には、ヘルメット着用は必須である。
少しでもまともな神経をしていれば、怖くて走れないのである。そういう条件下ではヘルメットの着用はもっともである。

問題は、比較的近いところにちょっと用足しに行く場合や、休日のんびりと寺巡りでもしようとか、景色の良い海沿いの自転車専用道をゆっくり走るようなケースである。
何が起きるかわからないから着用すべし、と一律に決められては抵抗があるというものだ。
のんびり走るということは、スピードはさして速くないのである。
せいぜい時速20キロまで。15~18キロくらいの速度だと、相当のんびり走れる。

そんな時のリスクは格段に低いのだ。
とはいっても、まったくのんびり油断しきって走って良い、というわけでは決してない。
15キロでも20キロでも、突如倒されたりでもしたら、結構危険である。
常に周囲に気を配りながら、飛び出してくる車や人はいないか、穴ぼこは無いか、スリップしそうな路面かどうか、などなどに気を配る必要があるのだ。

私は2000年に開頭手術を受けた直後に、自転車で転んで頭を打った事を考えるとどうにも不安で、ヘルメットを買って暫く着用したことがあった。
しかし、それも2、3ヶ月で止めてしまった。
なぜか。一番の理由は、あの不格好さにある。
ヘルメットと言うのはどうしてあんなに格好が悪いのだろうか。
まるでマッシュルームのように頭でっかちになり、頭を守るためなら背に腹は代えられない、とはどうしたって思えない。
逆にあんなものかぶるくらいなら、かぶらなくても危険が少ないような走り方をするしかない、と思うに至ったのである。

だから今、車の交通量の多い道路は絶対に車道を走らず、歩道を走る。歩行者が来ればスピードを殺して歩道の端を走るし、歩行者が多くて走るのが無理なら降りて押してゆく。
歩道がないような道路は極力避けるようにしている。

でも、最近またヘルメットを購入した。
出来るだけマッシュルームにならないような、おとなしい形のものを選んだつもりだが、それでも抵抗がないわけではない。
購入の動機は遠乗りのため、である。遠乗りしてくるのには車道の方がスピードが出せて、何かと好都合なのである。
より遠くまで行って帰ってこられる距離に、差が出るのである。
従って、ヘルメットは遠乗り用である。競技に近い乗り方用である。

NHKの番組で火野正平がかぶっている革製のヘルメット。
あれはマッシュルームには程遠いかもしれないが、性能的にやや疑問もあるし、汗をかく頭に直接革を当てるわけにもいかないだろう。
スキンヘッドなら布切れを使うこともできようが、頭髪は健在であるし、そうはいかない。

安全第一かダンディズムか。はたまた、長いものには巻かれろか我が道を行くか。
自転車だからわが道を行くに決まっているが、なかなか悩ましい。ね、ハムレットちゃん!



天気は下り坂のようで、きれいな朝やけである


「空蝉」の2番花の蕾がだいぶ膨らんできた
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