傍聴絵日記

@さいたま地裁傍聴席

シンデレラ警備員(元警察官)

2014年02月12日 | 刑事事件
平成25年(わ)第917号

【被告人】猪鼻 浩(元高栄警備所属)

窃盗、傷害

【事件概要】
平成24年7月29日越谷市独協大学病院付近の路上で発生したひったくり事件。
事件現場に犯人の靴が遺留され、犯行時刻後に新越谷駅の防犯カメラに犯人らしき人物の映像が残されている。
約1年後に被告人が容疑者として逮捕されたが、容疑を否認している。

【事件争点】
犯人性が争点になっている。
防犯カメラ映像の人物が片足にしか靴を履いていない様に見えるが、実際はどうなのか。
防犯カメラの性能では完全に判別出来る程の鮮明な画像が残っている訳ではない。
残された動画から数コマを静止画として取り出し、証拠とした鑑定に弁護側が噛み付いている。
鑑定作業を突っ込みどころ満載のルーチンワークとして行っていることは問題である。
(そもそも、後述する被告人妻の証言によれば、カメラの人物は被告人と似ているが別人であり、服装も当日のものと異なるので、カメラの人物が片足裸足でも構わない筈)
被告人自身も自分ではないと証言、理由は画像が荒いので断言出来ない。(どう見ても本人に見える)

【弁護側】
防犯カメラの映像では被告人とカメラの人物を同一と断定出来ない。
片足が裸足に見えるのもカメラの性能(低解像度,フレームレート、モアレ、偽色)に起因するものでカメラの人物が両足に靴を履いている可能性を否定出来ない。

【証人】被告人妻
カメラ人物は被告人と比べて
小柄に見えること(何と比較してかは言及せず)
足が長く見えること
猫背では無いこと(被告人は猫背だと妻は認識している)
バッグが小さく見えること(体が大きく見えるのであるから1と相反する内容)
以上の理由でで被告人とは似ているが別人であると証言。
(以前の検察聴取では似ているが判らないと証言していた。)
では、どこが似ているかとの問いには言葉を詰まらせる。
被告人が片足の靴を無くして帰宅した事はあった。
左右どちらの足かわからない。のこった靴は被告人が処分したと思うが分からない。
それがいつだったか、詳しい日時は覚えていない。
当日の被告人の服装はスーツ(スラックス)と半袖ワイシャツだった。
カメラの人物の様な衣類は持っていない。(VネックのTシャツ)
カメラ人物のバッグ(被告人会社で押収済)より大きいものなら持っている。
被告人の元同僚から被告人が複数回借金をして、その件で元同僚から連絡があった。
借りた金(10万円)は家賃の支払に充てたと思う、本来、家賃として支払う予定だった金の使途はわからない。
被告人は過去に債務整理をしている。

【感想】
被告人=防犯カメラ人物=犯人(犯行時刻から数分後の駅改札のカメラ画像であるから犯人のものと考えられる)
遺留品(靴)=犯人の靴 (無関係の人物が事件現場に靴を落として行くことは考えられない。)
↑普通はこう考えると思うが、弁護人の考えは常識の斜め上を行くのだ。


靴を回収出来ない理由とは?→後に妻に嘘をついたと被告人が供述
電車から降りるときに落とした(被告人妻証言)のであれば回収出来ない理由は無い。
電車内に落ちた場合→行き先の駅で回収してもらえる。
線路に落ちた場合→駅員に連絡してマジックハンド様のもので回収してもらえる。
第三者が遺失物を横領していない限り、被告人の靴は付近の駅等で遺失物として届けられているはずである。

→落とした場所が分からないと痴呆症の様な主張をする被告人。

証人の証言通り被告人が残った靴を処分したのであれば、証拠隠滅が目的である事を否定出来ない。
同じく当日身につけていた衣類も同様の理由で処分された可能性を否定出来ない。

シンデレラみたいに被告人に証拠品の靴を履かせてみればいいんじゃない?
(靴のDNA鑑定の予定はある模様)→一致しました。
被告人の妻は無理を承知で、被告人の事件への関与を全力で否定したい模様である。
宣誓する意味を理解していない証人である。

出産直後にこの事件では全てを否定したい気持ちを理解出来なくもないが、…。

【鑑定の問題点】
防犯カメラ映像がQVGA(320×240ピクセル)であり極めて低解像度である。
その画像を漫然と拡大した為に生じたノイズを被疑者の片足が裸足である根拠にしたこと。
即ちこの画像のみでは犯人を特定できない。
上記のQVGAサイズの画像の一部を拡大した際に発生したジャギー(階段状のノイズ)を理由に被疑者の足先が二股様であると鑑定した、およそプロの仕事とは思えない杜撰な見解が話を不必要に複雑にしている。
これで鑑定されては被疑者は水虫靴下を履いてない限り別人の映像であると言いたくもなる筈である。
全くこの鑑定人は困った税金泥棒である。

防犯カメラの映像からは左右の足の状態が異なっている事、人物の背格好、服装、所持品程度の判別に止めるべきである。
防犯カメラをもっと高性能にするべきと思った。
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