王立森林図書館

自然と動物が大好きな管理人が描く絵と書物がある小さな図書館。

[PROLOGUE] それは、新たなる物語

2015-12-02 11:09:25 | 神さまが眠りについた世界

私は、いたって普通の女の子だった。
この世界のどこにでもいる女の子。バイトして、一生懸命お金を稼ぐ女の子だ。

名前?
名前は……忘れた。
今になっては、その名前が本当の名前だったのかも、忘れてしまった。私にはまるで意味はなかったんじゃないかと、教えられているような気がして。

それは、突然なくなった。
私の生きていた世界は、突然変わった。

鉄の建物が並び、様々な人々が行き交っていた時代。
ビル街、学校、電車、車、飛行機、公園。色んなものがあった気がした。

それがそう、突然、何かがぶつかったかのように突然壊れだした。

鉄は溶け、毒となって宙を舞い、それを吸った人々が次々と倒れていく。
それに続くかのように、突然現れた獣たち。
見たことがない黒い獣は、様々な姿を持って、人を襲っていった。
人が更に、減っていく。

人々はそれらから逃げるように走る。走る。
追いつかれないように、必死に走り続けていた。
私も、もちろんその中にいた。

でも、私は、違った。

人なのに、人じゃなくなった。

なんの呪い?分からない。
何かを吸ったから?分からない。
ただわかるのは、この、頭に生えた耳と、お尻に生えた長い尻尾。そして、黒から金に変わる私の髪。

私は、何かに姿を変えていった。
何が、何が起きたの?
ただただ、混乱するしかなかった。
誰も助けてくれないし、みんながみんな、私を獣と呼ぶ。

誰か、助けて。

そんな私に話しかけてきたのは、黒い布を身にまとった、骸骨。

『珍しい者も、いるものだな』

それが、新しい私の始まりだった。


(プロローグ.神さまが眠りについた世界)


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