『月に寄りそう乙女の作法2』 感想

『月に寄りそう乙女の作法2』　Navel
2014年12月に発売された、人気シリーズ「つり乙」ルナルートの続編です。
10月発売予定でしたが、延期して12月に変更。
かなりの期間、多くの店舗で「予約ランキング一位」を保持していたタイトルです。


・シナリオ　５０～６０点
前作主人公・遊星とメインヒロイン・ルナが結ばれ、
二人の間に生まれた息子「才華」が今作の主人公。
何の因果か、才華も女装して「朝陽」と名乗り、フィリア学院にメイドとして通うことになります。
遊星とは生い立ちがまるで違うせいもあり、
打って変わって自信満々なナルシスト、かつＭではなくＳ。
あの両親の子だけあって誠実な努力家なのですが、
やはり遊星ほどのユーザー人気は出なかったよう。
個人的にも、圧倒的に朝日（遊星）派です。

この主人公の好感度の差もあり、前作のルナルートほど心に残ったルートはありませんでした。
ビジュアル・ステータスで非常に期待していたルミネが個別ルートでは残念な有様で、
主人公にあらかじめ想いを寄せられているおいしいポジなのに、これはないよなあ…と。
メインのエストも、最も力を入れられていることはわかるものの、
個別に入る前の方が好感を持てました。
パル子・朔莉の自己犠牲精神が強いせいもあり、
人気出そうな上の2人が自分勝手に見えてしまいました。

かと言ってパル子のシナリオも良くない。風呂敷を広げるだけ広げて、とっちらかったまま終了。
意外性があって面白かったのは朔莉のシナリオでしょうか。
途中まではまったく期待していなかったのですが、ルート入った途端のあの豹変はずるい。卑怯。
シナリオ全体のクオリティでいえばもちろんエストが一番ではあるものの、
印象に残ったのはこちらですね。
攻略するなら、朔莉を最初にすべきだと思います。やればわかります。

期待値が高かっただけに色々書いてしまいましたが、相変わらずテキストは丁寧かつ軽妙。
「一般的な男性のような性欲」を持たない主人公のエロシーンがアホらしくて楽しい。
この、Navelの「うちにエロなんて期待してないだろうから笑いに転嫁するよ」という姿勢、
すごくいい。適切。

初回限定版にはまたしてもアペンドディスクがついてきます。
HPに限定公開されていた「従兄弟理論とその周辺」と、ルナ様アフターアフター。
2をコンプしてからアフアフをやったらもう…やはりルナ様と朝日が可愛くて可愛くて…。
アペンドのためだけにでも買って良かった、と思ってしまいました…。


・グラフィック　６５～７５点
西又先生の絵が…また戻ってしまった…。
朔莉とパル子の絵、またしてもギャラリで見た時の脱力感がすごいことになってます…。
自分が描きやすいかどうかで構図を選ばないで西又先生…。

鈴平先生の絵にはもちろん文句ございません。
この方の絵目当てで買ってる方も多いのではないでしょうか。

育成目的か、不慣れな絵師さんもゲストでちらほら参加されていましたが、
こう…不慣れだなあ、という感想しか出なくてすみません。

また、OPムービーが今回はなんだか残念。
8月下旬に公開されたOPですが、これがほぼ絵なし、
あっても一枚絵ではなく雑誌用の書き下ろしなどで、
見た瞬間ほぼ全てのユーザーが「これは延期しないわけがない」と直感する出来だったのです。
まあそれはいいとして、製品版OPにもそれをそのまんま、修正せず持ってくるとは思わなんだ。
乙りろのOPがすごく良かったからなあ…。


・音声　８０～９０点
鑑賞モードで聴き直したら、BGMの完成度がものすごかった！
つり乙・乙りろよりも精度が高いんじゃないでしょうか。ヒロインエンドごとに個別BGMもあるし。
ただ、逆に「こんないい曲、どこで流れてたっけ？」とも思ってしまいました。
つまり、BGMを巧いシーンで使えていないので、印象に残らなかった。
要はやはり、シナリオですよね。

CVはエストが良かった。
メインヒロインだけに、似合う声質の上手な方を連れてきたなと感じます。
ルミネ・朔莉は他の方でも…とも途中までは思ってましたが、慣れるもんですね。


・システム　８０～９０点
非常に快適です。
今回は乙りろと違い、つり乙2のディスクを入れておけばアペンドも楽しめます。


総評
女装ゲーとしては平均以上だが、前作越えを期待しないこと。
朝日は尻マウスパッドだのぬいぐるみだのタペストリーだの、
やたらグッズ展開してしかも売れてましたが、
朝陽にそこまでの人気は望めないだろう、と思われます。
いわんや、ヒロイン。
おそらく制作側もわかっていることなのでしょうが、ルナ様に肉薄するキャラはいません。
元の人気が高いだけに値崩れを起こしてますので、
もう少ししてからプレイすることをお勧めします。