詩はここにある(櫻井洋司の観劇日記)

日々、観た舞台の感想。ときにはエッセイなども。

2回目『マハーバーラタ戦記』歌舞伎座 2017年10月21日

2017-10-21 21:16:33 | 日記
実は今日は成田国際文化会館の市川海老蔵「古典への誘い」のチケットを買っていた。演目は「身替座禅」と鞘当を舞踊化したらしい「男伊達花廓」。それが終わってから歌舞伎座夜の部を観るという強行スケジュールだった。

でも初日の『マハーバーラタ戦記』を観て考えが変わった。何としてももう一度観なければ。観られる可能性があるのは今日だけ。海老蔵と菊之助のどちらを観るか究極の選択。結局『マハーバーラタ戦記』を観ることにして海老蔵のチケットは会社の同僚のお母様にプレゼント。

『マハーバーラタ戦記』をもう一度観たかったのは、初日という事もあり、数々の失敗があったこと。二幕目の出来が今ひとつだったこと。初回では筋書を暗い中で読みつつも、物語を十分に理解できていなかったことなど。そして両花道の迫力を1階席で感じてみたかったから。

初回に失敗していた武芸大会の的は外れることなく無事に落ちた。二幕目の舞踊場面は相変わらずだが、それ以外の場面は見応えがあったこと。

菊之助の置かれた立場が初日には理解できていなかったけれど、複雑な立ち位置は分かり、彼の苦悩や成長が伝わってきたこと。

初日は七之助だけが突出した出来だったけれど、菊之助と松也も存在感があり輝いて見えたこと。やはり二度観て大正解だった。なるべく早い時期に再演して欲しいし、他の地域の観客にも観せたいと強く思った。客席にはインド人の方もいらしたが、思い切って日本寄りにした衣裳や演出に満足された事だと思う。

2回目『マハーバーラタ戦記』序幕。初日に比べお家騒動物だという事が分かり笑いの要素も盛り込まれていたのに気がつく。菊之助は出自に悩みながらも平和をいかにしてもたらすかの苦悩が見えたのが進歩。七之助は邪悪な役柄を好演し素晴らしい出来。音楽、振付にも工夫が凝らされ名場面の連続でした。

2回目『マハーバーラタ戦記』二幕目。初日に比べて所作事を除いて物語が締まってきた。あまり弾けないが笑いのうちに婚約者選び、賭け事と物語がトントンと進んでいく。慈悲と闘いの間で揺れ動く菊之助の苦悩がより鮮明に浮かび上がってきた。序幕と三幕目の見せ場の多さには及ばないのが弱点かも。

2回目歌舞伎座『マハーバーラタ戦記』三幕目。七之助の階段落ちから戦車競争、菊之助と松也の対決まで緊迫感に満ちた舞台。ガンジズ川を表現する水音と打楽器の音が見事に調和して感動を呼ぶ。神々から人間に託された平和な世界の実現を何としても成し遂げなければならないという想いをさらに強くした。


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