【五つ星評価…☆☆☆☆】
日曜日に『父親たちの星条旗』を観に行きました。
戦争を終わらせた
一枚の写真。
その真実。
史上初、日米双方からの視点から描いた「硫黄島」二部作第一弾。アメリカから見た硫黄島。監督はクリント・イーストウッド。
クリント・イーストウッドで思い出すのは『ミリオンダラー・ベイビー』なんですが・・・レビューは書いてませんが『ミリオンダラー・ベイビー』には言いたいことが腐るほどあります。まぁ、長くなるのでやめます。
1945年2月23日、硫黄島の摺鉢山で撮影された一枚の写真。写真家、ジョー・ローゼンタールが撮影したその写真はピュリッツァー賞を獲得し、アメリカ中の雑誌の表紙や新聞の一面を飾り、長引く戦争に背を向け始めたアメリカ国民をひとつにまとめた。
一言で言うなら伝説の報道写真です。皆さんも一度は絶対に見たことがある有名な写真ですよね。『父親たち~』では、この写真の“星条旗”にまつわる真実を描いています。
とりあえずこの映画を観て感じたことは、
“英雄なんて所詮、金儲けの為に利用されて価値がなくなったら見捨てられる”
ってこと。
この『星条旗掲揚』の写真に写っている6人の兵士のうち、3人が生きてアメリカに帰還して英雄に祭り上げられてしまいます。
軍事資金の調達のプロモーションに利用されて全国巡業に向かうのですが、各地で拍手喝采を浴びれば浴びるほど彼らの苦悩は深くなっていきます。
アメリカ国民が想像しているヒーロー物語とは程遠い写真の真実を知っていたからです。
そして、あまりにも悲惨な戦場の記憶。本当の英雄は自分達ではなく、硫黄島で戦い、倒れた仲間達。この戦争で戦死した多くの戦友達。
なのに自分達は、たまたま写真に写っただけで英雄扱いされ、国民にもてはやされて、豪華なディナーを目の前に戦時国債キャンペーンのPRをしている。
硫黄島の攻防戦・・・結果だけを見ればアメリカの勝利という形で終わり、上層部の人間は大喜びしてるのかもしれないけど、実際に戦い、傷ついて、死んでいくのは戦場にいる兵士達なんですよね。生き残った兵士の、勝ち負けを超越した精神的なダメージは計り知れないものがあるでしょう。
写真の3人も相当なトラウマになってるハズなのに、張りぼての摺鉢山に戦闘服着せて登らせて星条旗掲揚の再現をさせたり、写真の6人の兵士をかたどったアイス?だか何かを本人達に出して、目の前でそのアイスに真っ赤なストロベリーソースをぶっ掛けたり、配慮が無さ過ぎる。
本当にあきれます。
摺鉢山の星条旗を「くれ!」の一言で自分のモノにしてしまう、上層部のとんでも野郎も殴りたくなってくる。おかげで2回も星条旗を揚げることになったんじゃねーか!コレを立てるのに何人の兵士が死んでいったか・・・。デリカシーが無さ過ぎるんだよ!どんな教育受けてきやがったんだ!
・・・。
とにかく、色々な感情が生まれた作品でした(笑)
非常に良い作品だったと思います。
スピルバーグが製作に参加しているだけあって、戦闘シーンも流石としか言いようがありません。『プライベート・ライアン』以上の上陸作戦シーンは必見です。
“苦悩する3人の兵士”の部分は、いまひとつだったかな。ちょっと睡魔に襲われましたよ。構成的にも分かりづらかったです。登場人物の名前が覚えられませんwwww
『プライベート・ライアン』で狙撃兵、ジャクソンを好演した、バリー・ペッパーが出演してたのが印象的。
12月には日本側から見た硫黄島『硫黄島からの手紙』が公開されます。これは凄く楽しみな作品です。渡辺謙が主演しています。『ラストサムライ』の勝元くらいカッコイイ渡辺謙が観れそうです!
『硫黄島からの手紙』を観たいと思っている方は、必ず最初に
『父親たちの星条旗』を観るように!
最後に硫黄島の攻防戦に至るまでの経緯を説明しておきますね☆
太平洋戦争で最も激しい戦闘が行われた離島、硫黄島。
硫黄島は日本とグアム島のほぼ中間地点に位置している島で、戦時中は日本にとってもアメリカにとっても最重要地点として注目されていました。アメリカが硫黄島を必要とする理由はひとつ。安全に且つ効率良くB29を日本本土に爆撃に向かわせるためです。
当初は中国から離陸し日本へ向かっていたのですが、日本へ向かうには中国領内の日本支配地域を飛行しなければならず、迎撃も受けやすく、空襲警報も早期に出されてしまうという欠点がありました。加えて、物資の補給が困難という点も深刻で、海路は日本軍の狙い撃ちに遭うために使用できず、インドを経由して中国に運ぶことになったのですが、ヒマラヤ山脈がネックとなり空路も陸路も険しい道のりになってしまうのです。
そこでアメリカは効率の悪い中国からではなく、様々な面で効率的に爆撃が行えるマリアナ諸島にB29の基地を移し、1944年10月からマリアナ諸島を拠点としたB29よる日本爆撃が開始されました。
グアム島から日本まで往復で約5千㌔弱。B29は数tの爆弾を搭載して8000㌔以上の飛行を想定して設計されているので、十分、日本を爆撃して戻ってこれるのですが、日本とマリアナ諸島の中間地点にある硫黄島がアメリカにとって邪魔な存在になってきます。硫黄島には日本軍の航空基地があり、日本軍によるマリアナ諸島の基地爆撃や、飛行中のB29の迎撃が可能でした。
しかし、アメリカがこの硫黄島を占領できれば爆撃機のクルー達にとって、これほど心強い中継地点はありません。日本までより安全に飛行できるし、B29の護衛戦闘機の拠点としても利用できて、日本領内でダメージを受けたB29の緊急着陸も可能。アメリカも欲しがるわけです。
その分、日本軍の防御も強固なもので絶対死守の構えを見せていました。神風特攻のような玉砕戦法は禁止させて、粘り強くアメリカと戦うことを命ぜられたようです。
結局、5日で攻略するはずが一ヶ月の期間を費やしてしまい、硫黄島の日本軍約2万人を殲滅させ、アメリカ側も約2万2千人の死傷者(うち死者は7千人)を出してしまいました。
硫黄島攻略後、同島に緊急着陸したB29は2千機を軽く越えるといわれています。これらのB29は硫黄島がなかったら海に沈んでいたのは確実で、その場合の死者は最悪で2万7千人に及んでたそうです。
その分、無差別都市爆撃で何十万人の日本人が死んでいったんだけどね。
『硫黄島からの手紙』が楽しみです・・・。
映画インデックス
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日曜日に『父親たちの星条旗』を観に行きました。
戦争を終わらせた
一枚の写真。
その真実。
史上初、日米双方からの視点から描いた「硫黄島」二部作第一弾。アメリカから見た硫黄島。監督はクリント・イーストウッド。
クリント・イーストウッドで思い出すのは『ミリオンダラー・ベイビー』なんですが・・・レビューは書いてませんが『ミリオンダラー・ベイビー』には言いたいことが腐るほどあります。まぁ、長くなるのでやめます。
1945年2月23日、硫黄島の摺鉢山で撮影された一枚の写真。写真家、ジョー・ローゼンタールが撮影したその写真はピュリッツァー賞を獲得し、アメリカ中の雑誌の表紙や新聞の一面を飾り、長引く戦争に背を向け始めたアメリカ国民をひとつにまとめた。
一言で言うなら伝説の報道写真です。皆さんも一度は絶対に見たことがある有名な写真ですよね。『父親たち~』では、この写真の“星条旗”にまつわる真実を描いています。
とりあえずこの映画を観て感じたことは、
“英雄なんて所詮、金儲けの為に利用されて価値がなくなったら見捨てられる”
ってこと。
この『星条旗掲揚』の写真に写っている6人の兵士のうち、3人が生きてアメリカに帰還して英雄に祭り上げられてしまいます。
軍事資金の調達のプロモーションに利用されて全国巡業に向かうのですが、各地で拍手喝采を浴びれば浴びるほど彼らの苦悩は深くなっていきます。
アメリカ国民が想像しているヒーロー物語とは程遠い写真の真実を知っていたからです。
そして、あまりにも悲惨な戦場の記憶。本当の英雄は自分達ではなく、硫黄島で戦い、倒れた仲間達。この戦争で戦死した多くの戦友達。
なのに自分達は、たまたま写真に写っただけで英雄扱いされ、国民にもてはやされて、豪華なディナーを目の前に戦時国債キャンペーンのPRをしている。
硫黄島の攻防戦・・・結果だけを見ればアメリカの勝利という形で終わり、上層部の人間は大喜びしてるのかもしれないけど、実際に戦い、傷ついて、死んでいくのは戦場にいる兵士達なんですよね。生き残った兵士の、勝ち負けを超越した精神的なダメージは計り知れないものがあるでしょう。
写真の3人も相当なトラウマになってるハズなのに、張りぼての摺鉢山に戦闘服着せて登らせて星条旗掲揚の再現をさせたり、写真の6人の兵士をかたどったアイス?だか何かを本人達に出して、目の前でそのアイスに真っ赤なストロベリーソースをぶっ掛けたり、配慮が無さ過ぎる。
本当にあきれます。
摺鉢山の星条旗を「くれ!」の一言で自分のモノにしてしまう、上層部のとんでも野郎も殴りたくなってくる。おかげで2回も星条旗を揚げることになったんじゃねーか!コレを立てるのに何人の兵士が死んでいったか・・・。デリカシーが無さ過ぎるんだよ!どんな教育受けてきやがったんだ!
・・・。
とにかく、色々な感情が生まれた作品でした(笑)
非常に良い作品だったと思います。
スピルバーグが製作に参加しているだけあって、戦闘シーンも流石としか言いようがありません。『プライベート・ライアン』以上の上陸作戦シーンは必見です。
“苦悩する3人の兵士”の部分は、いまひとつだったかな。ちょっと睡魔に襲われましたよ。構成的にも分かりづらかったです。登場人物の名前が覚えられませんwwww
『プライベート・ライアン』で狙撃兵、ジャクソンを好演した、バリー・ペッパーが出演してたのが印象的。
12月には日本側から見た硫黄島『硫黄島からの手紙』が公開されます。これは凄く楽しみな作品です。渡辺謙が主演しています。『ラストサムライ』の勝元くらいカッコイイ渡辺謙が観れそうです!
『硫黄島からの手紙』を観たいと思っている方は、必ず最初に
『父親たちの星条旗』を観るように!
最後に硫黄島の攻防戦に至るまでの経緯を説明しておきますね☆
太平洋戦争で最も激しい戦闘が行われた離島、硫黄島。
硫黄島は日本とグアム島のほぼ中間地点に位置している島で、戦時中は日本にとってもアメリカにとっても最重要地点として注目されていました。アメリカが硫黄島を必要とする理由はひとつ。安全に且つ効率良くB29を日本本土に爆撃に向かわせるためです。
当初は中国から離陸し日本へ向かっていたのですが、日本へ向かうには中国領内の日本支配地域を飛行しなければならず、迎撃も受けやすく、空襲警報も早期に出されてしまうという欠点がありました。加えて、物資の補給が困難という点も深刻で、海路は日本軍の狙い撃ちに遭うために使用できず、インドを経由して中国に運ぶことになったのですが、ヒマラヤ山脈がネックとなり空路も陸路も険しい道のりになってしまうのです。
そこでアメリカは効率の悪い中国からではなく、様々な面で効率的に爆撃が行えるマリアナ諸島にB29の基地を移し、1944年10月からマリアナ諸島を拠点としたB29よる日本爆撃が開始されました。
グアム島から日本まで往復で約5千㌔弱。B29は数tの爆弾を搭載して8000㌔以上の飛行を想定して設計されているので、十分、日本を爆撃して戻ってこれるのですが、日本とマリアナ諸島の中間地点にある硫黄島がアメリカにとって邪魔な存在になってきます。硫黄島には日本軍の航空基地があり、日本軍によるマリアナ諸島の基地爆撃や、飛行中のB29の迎撃が可能でした。
しかし、アメリカがこの硫黄島を占領できれば爆撃機のクルー達にとって、これほど心強い中継地点はありません。日本までより安全に飛行できるし、B29の護衛戦闘機の拠点としても利用できて、日本領内でダメージを受けたB29の緊急着陸も可能。アメリカも欲しがるわけです。
その分、日本軍の防御も強固なもので絶対死守の構えを見せていました。神風特攻のような玉砕戦法は禁止させて、粘り強くアメリカと戦うことを命ぜられたようです。
結局、5日で攻略するはずが一ヶ月の期間を費やしてしまい、硫黄島の日本軍約2万人を殲滅させ、アメリカ側も約2万2千人の死傷者(うち死者は7千人)を出してしまいました。
硫黄島攻略後、同島に緊急着陸したB29は2千機を軽く越えるといわれています。これらのB29は硫黄島がなかったら海に沈んでいたのは確実で、その場合の死者は最悪で2万7千人に及んでたそうです。
その分、無差別都市爆撃で何十万人の日本人が死んでいったんだけどね。
『硫黄島からの手紙』が楽しみです・・・。
映画インデックス
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『父親達の星条旗』を
観てきました。
クリントが記者発表して以来、
画期的なこの映画にかなり
期待していたからです。
実際に見た感想は、かなり内省的で
アメリカ自信がこの内容に耐えられるのか・・・、
ちょっと心配です。
まして、2部の『硫黄島からの手紙』を
観るアメリカ人が、果してどれ位い
いるのだろうか・・・。
でも、クリントの勇気と映画人としての
スピリッツに拍手です。
P.S トラバさせてくださいね。
はじめまして。管理人のハンガー拳法です。
帰還した3人の兵士を祭り上げる国民の熱狂ぶりにはちょっと引きました。
アメリカの方々が、どんな想いでこの作品を観賞したか気になります。
アメリカサイドの『硫黄島からの手紙』の評価がきになりますね。日本では確実にヒットしそうですけど・・・。
>クリントの勇気と映画人としての
スピリッツに拍手です。
同じく僕も拍手を贈りたいです!