会計参与は,取締役・執行役などと共同して計算書類等を作成する会社の機関(会社法第374条第1項・第6項)。
『一問一答 新・会社法』(商事法務)には,Q115に「会計参与の職務・権限は何か。」があり,回答には次の事項が掲げられている。
① 計算書類の取締役等との共同作成(会社法374条1項・6項)
② 会計参与報告の作成(会社法374条1項)
③ 株主総会における計算書類の説明義務(会社法314条)
④ 計算書類の保存(会社法378条1項)
⑤ 計算書類の株主および債権者への開示(会社法378条2項)
⑥ 会計帳簿・資料の閲覧・謄写権(会社法374条2項)
⑦ 計算書類を承認する取締役会への出席(会社法376条1項)
⑧ 計算書類の作成につき取締役等と意見を異にする場合における株主総会における意見の陳述(会社法377条)
⑨ 会計参与の職務を行うため必要がある場合における会社・子会社の業務および財産の状況の調査権(会社法374条3項・4項)
⑩ 株主総会における会計参与の選任等についての意見の陳述(会社法345条1項)
⑪ 辞任した会計参与による株主総会における辞任の理由の陳述(会社法345条2項)
上記の『一問一答』の回答では明らかではないが,会計参与は,計算書類の作成だけではなく,会社の業務監視に係る責務を負っていることは忘れてはならないように思われる(会社法第375条第1項)。
確かに,取締役会設置会社の場合,会計参与が出席義務を負う取締役会は,計算書類等の承認に係るものにとどまる(会社法第376条第1項)。その意味で,この機関選択の会社のみならず,会計参与は,常に業務の全般を知る立場にあるわけではない。
しかし,会計参与は,職務をおこなうため,会社・子会社の業務及び財産の状況を調査する権限を有しているのも事実(会社法第374条第3項)。この会社法第375条第1項の監視義務,消極的なものかもしれないが,決して軽視されてはならない部分である。
「職務を行うに際して」(会社法第375条第1項)に重きを置いて解釈し,この文言によって,監視義務が機能する機会・場面のみならず,監視義務の対象範囲も会計に関するものに限定されると考えるのは,やはり問題がありそうである。
このほか,会計参与について確認しておきたいのは,任期。解説書によっては「取締役と同じ規律」などといった書き方がされているが,計算書類の共同作成者ではあるものの,取締役の任期と同じものにすることまで要求されているわけではない。条文の規定ぶりも,「第332条は,会計参与の任期について準用する。」(会社法第334条第1項)とあるだけである。
なお,会計参与が監査法人や税理士法人の場合,職務担当者の会社への通知は義務づけられてはいるものの(会社法第333条第2項),職務担当者そのものは登記事項にはなっていない(会社法第911条第3項第16号)。この点については,会計参与が大規模法人の場合は,閲覧・謄写請求をする者の便宜という点でどうか,という声もあるようである。会計参与制度の導入の如何によっては,改正もありえよう。
『一問一答 新・会社法』(商事法務)には,Q115に「会計参与の職務・権限は何か。」があり,回答には次の事項が掲げられている。
① 計算書類の取締役等との共同作成(会社法374条1項・6項)
② 会計参与報告の作成(会社法374条1項)
③ 株主総会における計算書類の説明義務(会社法314条)
④ 計算書類の保存(会社法378条1項)
⑤ 計算書類の株主および債権者への開示(会社法378条2項)
⑥ 会計帳簿・資料の閲覧・謄写権(会社法374条2項)
⑦ 計算書類を承認する取締役会への出席(会社法376条1項)
⑧ 計算書類の作成につき取締役等と意見を異にする場合における株主総会における意見の陳述(会社法377条)
⑨ 会計参与の職務を行うため必要がある場合における会社・子会社の業務および財産の状況の調査権(会社法374条3項・4項)
⑩ 株主総会における会計参与の選任等についての意見の陳述(会社法345条1項)
⑪ 辞任した会計参与による株主総会における辞任の理由の陳述(会社法345条2項)
上記の『一問一答』の回答では明らかではないが,会計参与は,計算書類の作成だけではなく,会社の業務監視に係る責務を負っていることは忘れてはならないように思われる(会社法第375条第1項)。
確かに,取締役会設置会社の場合,会計参与が出席義務を負う取締役会は,計算書類等の承認に係るものにとどまる(会社法第376条第1項)。その意味で,この機関選択の会社のみならず,会計参与は,常に業務の全般を知る立場にあるわけではない。
しかし,会計参与は,職務をおこなうため,会社・子会社の業務及び財産の状況を調査する権限を有しているのも事実(会社法第374条第3項)。この会社法第375条第1項の監視義務,消極的なものかもしれないが,決して軽視されてはならない部分である。
「職務を行うに際して」(会社法第375条第1項)に重きを置いて解釈し,この文言によって,監視義務が機能する機会・場面のみならず,監視義務の対象範囲も会計に関するものに限定されると考えるのは,やはり問題がありそうである。
このほか,会計参与について確認しておきたいのは,任期。解説書によっては「取締役と同じ規律」などといった書き方がされているが,計算書類の共同作成者ではあるものの,取締役の任期と同じものにすることまで要求されているわけではない。条文の規定ぶりも,「第332条は,会計参与の任期について準用する。」(会社法第334条第1項)とあるだけである。
なお,会計参与が監査法人や税理士法人の場合,職務担当者の会社への通知は義務づけられてはいるものの(会社法第333条第2項),職務担当者そのものは登記事項にはなっていない(会社法第911条第3項第16号)。この点については,会計参与が大規模法人の場合は,閲覧・謄写請求をする者の便宜という点でどうか,という声もあるようである。会計参与制度の導入の如何によっては,改正もありえよう。