法律の周辺

核心ではなく, あくまでも物事の周辺を気楽に散策するブログです。

東京都による成年後見人の公募・養成について

2005-10-16 10:44:03 | Weblog
成年後見人を公募・養成へ 東京都が今年度50人 (朝日新聞) - goo ニュース

 6月の新聞報道などでもご存じのとおり,厚労省は,市町村長が身寄りのない高齢者のために後見人等の選任を申立てる場合の要件緩和を既に決めている。
本記事のタイトルを読んで,すわ,後見人等の積極申立てに方針転換することを前提とした措置かとも思ったが,必ずしもそういうわけではなさそうである。

 詳細は分からない。しかし,「担い手には定年退職する「団塊の世代」を念頭に置いている」といった内容には,安易な雇用政策の1つに堕していないかなど,疑問も感じないではない。後見人等には資格制限はないが,現実には,弁護士,司法書士,社会福祉士など,相応の知識・研修等を経た専門家が就任している場合が多い。身上監護,財産管理にあたる者には,守秘義務や高い倫理性が求められるからだ。
東京都の事業には,付け焼き刃の研修で十分か,市区町村の推薦はどのような基準でおこなわれるのか,など詰めるべき点が少なくないように思われる。

 一方で,記事の「各自治体と後見人が地域の中で連携や連絡を密にすることで,後見人の質を担保することにもつなげたい」「専門家の不足」「報酬を支払う必要があることから低所得の人が利用しにくい」には,成年後見制度の現状に対する批判として,正当なものが含まれているのも事実。専門家集団は,これに答える(応える)必要があろう。

今回の東京都の事業には,いろいろ考えさせられるところが多い。


民法の関連条文

(未成年後見人の数)
第八百四十二条  未成年後見人は,一人でなければならない。

(成年後見人の選任)
第八百四十三条  家庭裁判所は,後見開始の審判をするときは,職権で,成年後見人を選任する。
2  成年後見人が欠けたときは,家庭裁判所は,成年被後見人若しくはその親族その他の利害関係人の請求により又は職権で,成年後見人を選任する。
3  成年後見人が選任されている場合においても,家庭裁判所は,必要があると認めるときは,前項に規定する者若しくは成年後見人の請求により,又は職権で,更に成年後見人を選任することができる。
4  成年後見人を選任するには,成年被後見人の心身の状態並びに生活及び財産の状況,成年後見人となる者の職業及び経歴並びに成年被後見人との利害関係の有無(成年後見人となる者が法人であるときは,その事業の種類及び内容並びにその法人及びその代表者と成年被後見人との利害関係の有無),成年被後見人の意見その他一切の事情を考慮しなければならない。

(成年後見人が数人ある場合の権限の行使等)
第八百五十九条の二  成年後見人が数人あるときは,家庭裁判所は,職権で,数人の成年後見人が,共同して又は事務を分掌して,その権限を行使すべきことを定めることができる。
2  家庭裁判所は,職権で,前項の規定による定めを取り消すことができる。
3  成年後見人が数人あるときは,第三者の意思表示は,その一人に対してすれば足りる。

(保佐人及び臨時保佐人の選任等)
第八百七十六条の二  家庭裁判所は,保佐開始の審判をするときは,職権で,保佐人を選任する。
2  第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は,保佐人について準用する。
3  保佐人又はその代表する者と被保佐人との利益が相反する行為については,保佐人は,臨時保佐人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし,保佐監督人がある場合は,この限りでない。

(保佐の事務及び保佐人の任務の終了等)
第八百七十六条の五  保佐人は,保佐の事務を行うに当たっては,被保佐人の意思を尊重し,かつ,その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。
2  第六百四十四条 ,第八百五十九条の二,第八百五十九条の三,第八百六十一条第二項,第八百六十二条及び第八百六十三条の規定は保佐の事務について,第八百二十四条ただし書の規定は保佐人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被保佐人を代表する場合について準用する。
3  第六百五十四条 ,第六百五十五条 ,第八百七十条,第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は保佐人の任務が終了した場合について,第八百三十二条の規定は保佐人又は保佐監督人と被保佐人との間において保佐に関して生じた債権について準用する。

(補助人及び臨時補助人の選任等)
第八百七十六条の七  家庭裁判所は,補助開始の審判をするときは,職権で,補助人を選任する。
2  第八百四十三条第二項から第四項まで及び第八百四十四条から第八百四十七条までの規定は,補助人について準用する。
3  補助人又はその代表する者と被補助人との利益が相反する行為については,補助人は,臨時補助人の選任を家庭裁判所に請求しなければならない。ただし,補助監督人がある場合は,この限りでない。

(補助の事務及び補助人の任務の終了等)
第八百七十六条の十  第六百四十四条 ,第八百五十九条の二,第八百五十九条の三,第八百六十一条第二項,第八百六十二条,第八百六十三条及び第八百七十六条の五第一項の規定は補助の事務について,第八百二十四条ただし書の規定は補助人が前条第一項の代理権を付与する旨の審判に基づき被補助人を代表する場合について準用する。
2  第六百五十四条 ,第六百五十五条 ,第八百七十条,第八百七十一条及び第八百七十三条の規定は補助人の任務が終了した場合について,第八百三十二条の規定は補助人又は補助監督人と被補助人との間において補助に関して生じた債権について準用する。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 法務省の共謀罪に関する具体... | トップ | 金融庁のキャッシュカード管... »