ウェブ恋愛(ネット恋愛)ブログ

フリーライターの渋井哲也が、ウェブ恋愛に関する話を書いて行きます。みなさんのウェブ恋愛についても、教えてください。

オタク女子の恋愛

2006-04-25 00:02:16 | Weblog
 杉浦由美子著「 オタク女子研究 腐女子思想大系」原書房

 ネット恋愛ではなく、オタク女子の恋愛論です。 

「モテない男」研究や「モテない男」論、男のオタク研究の本はこれまでいくつかあり、なぜ、「モテない女」やオタク女子研究がなかったのか。やっと出ました。

 なぜ、オタク女子がオタク男子と比べて目立たないのか。それは、隠す傾向になることがあるらしい。また、オタク男子は外見で判断できるが、オタク女子は身だしなみを気にする。そのため、目立たないのだという。たしかに、私が知っているオタク女子たちも見た目が「ふつー」です。

 オタク男子との恋愛比較もしています。オタク男子は「萌え」に目が向けられると、現実の恋愛からは遠ざかる。彼女ができると、オタクではないらしいと(p43、ちょっと違う気もするが・・・)。しかし、オタク女子は「萌え」と恋愛は「別腹」だという。どっちかを選ばないといけないわけではない。

 その「萌え」対象も、オタク男子はアイドル(3次元)やアニメ・漫画(2次元)であるが、小説(1次元)はその対象外のようだ。ただ、アイドルではなく、現実の身近な女性に対しては毛嫌いする傾向がある。一方、オタク女子は、1次元も対象になってしまい、いまでも対象としては元気のようだ(p110)。

 また、負け犬女と、腐女子は違うという。負け犬女は恋愛至上主義の中で「敗北」。しかし、腐女子は恋愛至上主義ではない。そして、恋愛至上主義はヤンキー文化だと言い切っている。

 そうしたオタク女子の生き方は、ストレス社会を生き抜く知恵だというのだ。

 管理社会の中でストレスが溜まっているのは十代だけではありません。三〇歳くらいの社会人だってすごくストレスがたまっている。しかし、毎日働かないと家賃が払えない。そういう時に、男性同士の恋愛という「ありえない」異次元を、感情移入することなく読む。頭を空っぽにして漫画や小説の世界に没頭することによって、つかのまの休息を取ることができる。そして現実に向き合える。(p215)

 現実に向き合うための、一時的な逃避行動をしているのがオタク女子だというのだ。

 きちんと生きていくために健康的に現実逃避すること。窓ガラスを割っても世界が変わるわけではない。そんな小手先の反抗で外界や自分を傷つけることよりも、もっと賢く生きていくコツをキチンと取得しているのが腐女子なんじゃないかと思うのです。(p216)

 そして、萌えと恋愛は「別腹」ではあるが、けっして、無駄な努力をしない。結婚できないのは男のせいだと嘆く負け犬女の発想とは違って、「結婚できないのは腐女子だから!?でも、腐女子でも結婚しtげいる人はいっぱいいるじゃん。じゃあ、腐女子以外にも私のどっかに問題があるのだわ・・・」と自省モードに入る(p197)だというのだ。

 ちょっと、オタク男子のオタク論や恋愛論よりも、理論的ではないのが残念。まあ、エッセイとしては面白いか。

ネット恋愛と言葉

2006-04-22 00:57:11 | Weblog
 どうでもいい存在。いますぐ死んだとしても、それでも普通に、いつも通りに回っているし、世の中も、たいして変化はない。人間一人ひとりはそんな存在。
  橋爪大三郎が「心はあるのか」(ちくま新書)で、

 社会は、身体の交代にかかわらず不変である。誰が生まれても、誰が死んでも、社会は根本的に変りません。ちょっと悲しいことではあるけれど、自分が死んでもこの社会は続いていきます。(p71)

 と指摘しています。
 しかし、「あなたは、わたしにとって絶対的に必要な存在」「私は、あなたに絶対的に必要とされている存在」と思えることのひとつが、恋愛なのかな。あなたがいなければ私は死んでしまってもかまわない。私が死んでしまうと、あなたはいなくなってしまうかもしれない。そんな風に思えるのが、恋愛なのか。

 そして、その恋愛を確かめるのには、言語が必要だ。「あなたを愛しています」と言うことで、あなたを愛している自分を認識できる。愛しているということが客観的に現れる。

 橋爪が、同書で、愛情の言語ゲーム的理解として、

 愛していると言い続ける、プレゼントを贈る、相手に気を遣って電話する、そういうことと別なところに愛情というものはがあるわけではない、と考えたらどうでしょうか。愛情は、感覚ではなしに、一種の態度だと思います。
 愛情にせよ、意図や意志にせよ、「心」の内面にあるとされているものは、むしろそれを表現するふるまいにおいてある。これが、愛情についての言語ゲーム的理解である。(p139-140)

 と述べています。これをネット(Web)に応用すれば、

 愛しているとメールで送り続ける
 気を遣って、電話やメールをする

 これも、愛情の言語ゲーム的理解になるわけですよね?そういう態度が愛情だ、ということになるわけです。Web恋愛は、そうした言語ゲームをわかりやすくした、ということになるんじゃないか。そのときこそ、どうでもいい存在としての「私」や「あなた」が、唯一絶対の存在になりえる、と思える。

 それがネット恋愛(Web恋愛)なのかも?

いますか?メルカノ・メルカレ

2006-04-21 16:30:40 | Weblog

 メールだけの彼女=メルカノ。
 メールだけの彼氏=メルカレ。

 あなたはいたことがありますか?
 私はないんですよね。
 なりきり家族で兄弟はできたことはありますが・・・爆。

 たまーに、みかけます。メルカノやメルカレがいる人。会ったことがないけど、メールだけで交流している。そうしたひとたちの中で、メッセンジャーを使って、チャエッチしている人もみかけたことがある。
 となると、会話欲求も満たしているし、性欲も満たしていることになる。求めた内容によってはそれで成立してしまいますよね。

試論

2006-04-18 03:29:31 | Weblog
ちょっとした私論(試論)。

 「好き」になることは快楽であり、その快楽への衝動こそが恋心で、そうした恋心は生理的には自然なこと。

 恋愛というのは、その恋心に「かたち」を与えること。両方が互いに好きな場合は「相思相愛」。一方だけが好きな場合は「片思い」。そして、いずれの場合も「付き合う」こともあれば、「付き合わない」こともある。

 その恋愛対象は偶然選ばれる。時代によって、その人の経験によって、「好み」=タイプは決められるが、その好みの範囲の中の「特定の誰か」だけを対象にみるのではなく、その範囲なら恋愛感情を受け入れ可能(ただし、その恋愛の最中では、現代では、「この人でなければならない」という1対1恋愛の物語が必要になる)。

 すべての恋愛は失恋である、と、切通理作氏の「失恋論」(p213)で書かれていたように、すべての恋愛は、いずれ終わる(死別を含む)。となれば、唯一絶対の恋愛はないのだろう。一つの恋愛が終わればまた別の恋愛を求める。その繰り返し(失恋というのは、「あなたは私に絶対的に必要な人間ではない」といった交換可能な存在を再認識させられる体験)。

 Web恋愛は、インターネットをなんからの形で介在させた恋愛である。Web恋愛は、ネットで知り合い実際に会う前に好きになる場合と、ネットは単に出会いのきっかけという場合がある。

 Web恋愛は、それを可視化した。恋愛対象は交換可能なのだ、ということを目で見せることになった。以前、テレクラ恋愛というのも存在したが、テレクラ恋愛をしたものはテレクラで浮気するとも言われた。それは、交換可能なものであることが、ユーザーにはわかっていたから、というよりは、テレクラというシステムがそうさせていた。Web恋愛も、同じことが言える。

 特に「出会い系サイト」は、書き込んだプロフィールの内容によって、返信が決まる。その人自身がどのような内面を持っているかではない。表層的なプロフィールが重要なのだ。だとすれば、そのプロフィールを書くのがテクニックとして巧ければいい。交換可能性が高い場においてはテクニックが必要になる。それは、多かれ少なかれ、趣味系サイトやSNSでの出会いにも似たようなものではないか。

 ネット恋愛アンケート

思い出せなかった(汗

2006-04-17 15:17:10 | Weblog
ネット恋愛(Web恋愛)執筆中につき、私の経験を振り返ってみたが、残念なことに、何人かは、本名が思い出せない。本名は聞いていたのだが、なぜか頭に残っていない。初めてのネット恋愛の相手の本名でさえ思い出すのに、1時間近くかかってしまうとは。。。。とほほ。

 とはいっても、ネット恋愛でも、「好きになった」「好きになられた」「付き合えた」「付き合わなかった」のは、それぞれ。ということは、今後、ネット恋愛したとき、その人の本名を思い出せないことがあるのか???思い出せないからといって、不都合はないが、好きになった人であれば、思い出せるようになっていたいものだ。

 これは、すでに過ぎ去ったことだから頭が記憶から削除したのか?(その前に好きだった人の名前は覚えてるのにな)、ネット恋愛の数が多いから、忘れてしまったのか?(そんなに多くないし)、そもそも、Webを介さなければ知り合わないので、日常的に覚えている必要がなかったのか?(可能性あるなあ。)

そもそも「恋愛論」

2006-04-11 01:51:32 | Weblog
 ネット恋愛を考える以前に、そもそも『恋愛』ってなによ?、って思い出しているので、いろんな人の書いた『恋愛論』を読んでいます。意外なのは、三島由紀夫が恋愛を語っていること。それと、吉本隆明が、恋愛を評価していること。二人とも、恋愛なんて、たかが共同幻想、たかが対幻想だろ?って、あまり評価しないのではないか、と想っていたので。

 でも、共同幻想じゃん、といって、そんなものはシステムだろ、ってしているのは、『電波男』の著者、本田透。
 彼の話はおもしろく、『失恋論』を出した切通理作さんとのトークも楽しかったです。

 いろんな人の、恋愛の考え方は、どれもがなっとくできるものです。それなりに、すべてが真実の一部を構成しています。

 さて、恋愛って何か。
 まだまだ整理中です。

  ネット恋愛アンケート

ネットをきっかっけに恋愛

2006-04-08 13:41:01 | Weblog
 ネットを介した恋愛には、 
 
 (1)ネット(出会い系サイト、趣味のサイト、自身のホームページ、blog、SNSなど)がきっかけとなった恋愛
 (2)ネット(web日記、blog、SNSなど)の中で描く恋愛
 (3)ネット(メール、web日記、blogなど)を利用した恋愛関係の維持

 があると思うのです。この中でも、(1)には、(1-a)実際に会ってから恋愛が始まる場合と、(1-b)会う前からメールだけで好きになってしまう場合があります。私は程度の差はあれ、両方経験しています。

 (1-a)実際に会ってから恋愛が始まる場合
 これは単に出会いのきっかけが「ネット」だったに過ぎないのでしょう。友だちの紹介、サークルでの出会い、合コン、職場内、ナンパ・・・・など、出会いのきっかけはさまざまです。ただ、違いがあるとすれば、ネットの場合は、プロフィールが最初から明示的です。そのプロフィールが本当かどうかは別として、年齢や職業、考えていることなどが書かれています。
 「出会い系」の場合は、特に、自分の属性の魅力ある部分を強調したりします。「趣味系」の場合も、その趣味に関する考えがそのサイトでのコミュニケーションの中から分かってきます。そのサイトが自身のホームページやblogであればなおさらはっきりしています。
 「SNS」の場合でも、blogと似ていますので、日頃の行動や考え方を示すことができます。そして、SNSの場合は、誰かの友だちといった可能性が高くなります。コミュニティ等のなにか共通のつながりからの接点という場合もあるので、このあたりは「趣味系」と似ているでしょう。
 いずれにせよ、メンバーの属性や考え方を知ろうと思えば、実際に会う前にある程度分かっています。このあたりが、リアルな出会いとは違うところでしょうね。
 私のネット恋愛の場合も、「原体験」でも書きましたが、もともとは取材対象者であり、何度かメール等を通じて、その人の考え方を理解していきました。また、まだ書いていませんが、チャットがきっかけになった恋愛もありましたが、それは、私が開いていたチャットルームでの出会いでしたから、今から考えれば過剰と思えるほど、コミュニケーションを取っていました。いずれの場合も、出会う前に、ある程度の考え方を知ることができていました。

(1-b)会う前からメールだけで好きになってしまう場合
 こうした経験も私はあります。「好きになった」場合も、「好きになられた」場合の両方です。ただ、この場合は、「メール内恋愛」の時は、お互いの感情を理解したつもりでしたが、実際に会ってみると、私か、あるいは相手の感情が冷めてしまったのでした。メールが続くということもあり、お互いがお互いを「理想的な相手」を連想していたのかもしれません。もちろん、意識的、あるいは無意識に、相手にとって「理想的な自分」を演じることもあったかもしれません。
 恋愛相手への「理想化」は通常の恋愛でもあることで、不思議ではないでしょう。しかし、「メール内恋愛」の場合は、文字と返信のスピードといったことがキーポイントになります。リアルなコミュニケーションは、言葉であっても、声の抑揚やタイミング、大きさなどが含まれてのコミュニケーションです。
 さらに、相手との距離感や、どこを見て話すのか、身振り手振り、そのときの服装、匂いなどもリアルな場合は、コミュニケーションとしては重要な要素になります。「メール内恋愛」では、それらがありません。そのため、コミュニケーションの中で、文字が重要な要素として突出しているのです。
 しかも、会話と違って、いつまでも文字が残され、消さない限りはその文字をいつでも読むことができます。そうした中では、やはり、「理想の相手」を勝手に思い浮かべてしまうこともあるのです。

  ネット恋愛アンケート

ネットナンパ

2006-04-07 12:47:04 | Weblog
 i-modeが普及し始めたのが2000年頃ですね。当時、『「出会い系」女を喰う方法』というムックに記事を書くために、i-modeをわざわざ購入したことがあります(当時、私は、TUーKAを使っていました)。

 この当時、メールドレスのアカウント(@の前)には、名前や名字を当てるのが一般的でした。たとえば、「tetuya」や「shibui」とを組み合わせるのです。たとえば、「tetuyashibui」や「shibuitetuya」でもいいし、その間に「_」や「.」等を入れて、「tetuya_shibui」や「shibui_tetuya」、「tetuya.shibui」、「shibui.tetuya」と、名前と記号を組み合わせるだけでも、同じ名前でも何通りもアカウントが作られます。現在では、こうした組み合わせは、いたずらメールやSPAMが多いことから、あまり使われなくなりました。

 私は約200通りのメールアドレスを作成しました。そして、ランダムにメールを送ったことがあります。メールアドレスを作成しながら、いくつものメールを送ったので、最初の文面が違っているのですが。その記事をあらためて読んでみると、「よくこんな取材ができたものだ」と思ってしまいます(照。

 さて、そのときのメールナンパは、[送信201人]→[返事があった人20人]だった。10人に1人ということは、まあまあの確率だったのですね。ちなみに、[宛先人不明は16人]だった。返信があった20人のうち、2人は男性。一人は彼女の名前だったようだ(笑)。
 女性の住所は、[教えてくれない人5人]、[北海道3人]、[東京2人]、[東京をのぞく関東4人]、[関西2人]、[中京2人]。
 職業は、[高校生1人]、[大学生1人]、[他はOL]。
 年齢層は、[10代2人]、[20代14人]、[30代2人]
 でした。
 このうち、実際に会ったのは、北海道1人、教えてくれない人1人(のちに東北と判明)、中京1人でした。事前情報では、すべて20代、OLでしたが、うち二人は[看護師]でした。

 北海道の女性は、実際に会うまでに2年間、メールをしていました。時には4時間近く、チャットのようにして、メール交換をしていた時もありました。彼女は、「このままだと好きになってしまう。好きになると遠距離恋愛になるから、嫌。だから、好きになる前に会いたい」と言って、東京まで来ました。実際、会った後はメールが来なくなりました(って、微妙)。

ネット恋愛原体験

2006-04-06 19:35:40 | Weblog
 私自身の「ネット恋愛」の原体験の話をしましょう。

 私が開いていたサイトにアクセスしてきた人との話です。いつものように、取材や相談でその人の話を聞いていました。メールだけでなく、ICQでやりとりすることもあり、会って話すこともありました。そして、ある日、ICQで告白をされたのです。私は迷いました。取材や相談でいろいろ話を聞いていて、彼女自身の問題をわかりつつ、今の私の立場は、相談者なのか、それとも恋愛の当事者なのか。迷いに迷いながらも、「付き合う」とはっきりとした形ではなかったですが、デートを重ねたりして、頻繁に会うようになりました。

 ある時期には毎週会っていました。そして、その彼女と、Webでの交換日記のようなものを始めました。しかも、お互いの性別を変えたんです(つまり、私が女性として、彼女が男性としての日記です)。しかし、彼女は、私の位置づけが曖昧であることを感じていました。それもそのはず、「付き合う」との合意はなかったのですから。

 彼女はWebでの交換日記のほか、自分のサイトも持っていました。彼女は、私の他にも、男性関係があったのですが、そのほとんどは日記に書いていました。つまり、誰と今日どこに行ったのか、とか、誰とどんな話をしたのか、という内容です。しかし、彼女は、私の話は一言も日記には書きませんでした。書いていたのは、Webでの交換日記の中だけでした。

 いまは、ある事情で連絡が取れないのですが、どうして彼女は私のことを自身の日記で書かなかったのか。今でも不思議なままです。私は、彼女のことが好きでしたし、そのことは伝えていました。しかし、「付き合う」という合意をなかなかできなかったのです。

 なぜなのか。おそらく理由はいくつかあります。ひとつは、彼女は、私のサイトに来ていて、当初は取材対象であったこと。もうひとつは、恋愛に臆病だったこと。おそらく、後者のほうが大きかったと思います。これは、今でも同じことを考えています。「もう恋愛なんてできないかもしれない」ってずっと思っていたときでした。そのときに、最初は取材対象者として、のちに恋愛の対象者として、現れたのです.臆病だったがゆえに、「取材対象だから」というのを言い訳にしていたのかもしれません。

 結局、彼女は私からは離れて行きました。

  ネット恋愛アンケート