北の暮らしに役立つ防災コラム&豆知識

防災委員会情報部会((社)日本技術技術士会北海道支部)

泥炭地盤は良く揺れる?

2006-11-10 12:47:57 | 防災豆知識(Q&A)
 地震の際、軟弱な地盤ほど良く揺れると言われますが、極めて軟弱な地盤である泥炭地盤の場合、どうなのでしょう?
 ちょっと古い調査ですが、1982年の浦河沖地震の後に札幌市内で揺れ具合の聞き取り調査が行われました1)。その結果、同じ札幌市内でも場所によって揺れが大きく違うことがわかりました。中央区では震度3程度の揺れを感じたのに対し、東区や白石区では震度4~5程度の大きな揺れでした。一方、下の図は札幌市近郊の泥炭地盤の分布図2)です。泥炭地盤が分布している地域で大きな揺れを感じたことがわかります。人間の感覚だけで言えば、「地震の時に泥炭地盤は良く揺れる」というのは正しいようです。
 しかし、人間の感じやすい揺れ(周期)と構造物に被害を与える周期とは違うかもしれません。もちろん、構造物の種類によっても異なります。泥炭地盤と構造物の揺れ、その被害については今後の研究を待つ必要があります。
(本文は、「泥炭のお話(地盤工学会,2004年)」の一部を書き改めたものです)


札幌市近郊の泥炭地盤の分布図2)

<参考文献>
1) 岡田・太田:1982年3月21日浦河沖地震の高密度震度調査,文部省科学研究費報告書,1983.
2) 二ツ川・池田:札幌表層地盤図(2m深図)および同解説書,北海道土質コンサルタント,1994.

(文責:林宏親技術士【建設・総合技術監理部門】)

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