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歌舞伎と映画と美術と読書の感想

【映画】永い言い訳

2016-10-19 00:25:30 | 映画
ことばを扱うプロである幸夫(本木雅弘)。
表層で押し出す言葉で心を鎧い、一方でまっすぐな言葉で子供に
接したりもする。
この大人で子供な男の、優しさ、イタさ・ダメさ、
本木雅弘の表現は、時に本気で苛立ちをおぼえるほど(みごと)。
 
子供たちとその父のキャラクターと関係性が丁寧に描かれる。
 
時折さしはさまれる、自然の光景がじわりと美しく静か。
それに癒されて済むかといえばそんなに単純ではない。
人は、一時癒されても、記憶は繰り返す。
 
シンプルなハッピーエンドではない。ほのかに苦さの残る。
 
強い自己否定は、図らずも強い自己愛でもあるのだな。
と、なんとなく思った。無自覚の自己愛。
 
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公式サイト:http://nagai-iiwake.com/
 
エンドロールに木村多江のお名前。え?
あとで調べたらあれだった。
すごく上手いなぁと印象に残っていたのだが、観ている時は誰とは気づかなかった。
トラックで流れているラジオやTVアニメ番組も、いずれもオリジナル。
幸夫の部屋に飾られたアート、大宮家の室内、細部に至るまで作りこまれた世界。
 
(2016.10.18)

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