シゲチャンの山と花の日記

中高年登山とガーデニングを始めました

標高3000mの稜線歩き、白峰三山縦走(その2)

2013-09-10 15:38:22 | Weblog

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<2日目…7/26(金)>
白根御池小屋―(2:00)―小太郎尾根分岐―(0:35)―北岳肩ノ小屋―(0:50)―北岳―(1:00)―北岳山荘(泊)

4時半起床、朝食後、白根御池の池畔に出て仰ぎ見ると、昨日、ガスに包まれ姿を現さなかった北岳が良く眺められる。 ただ時折ガスが流れて姿を隠すのが気がかり。 東側正面の小太郎尾根に向かう山腹には、”草すべり”といわれる急坂が見える。 草すべりは両脇の木々が切り払われた草の斜面で、朝早くからこの草すべりに取りつき急登を開始した登山者の列が見える。
5時50分小屋を出発。 すぐ道は池畔の分岐点で分かれる。 左の池に沿って南に向かうのは、大樺沢から八本歯のコルを通り北岳山頂に至る道で、我々は右の道をとり草すべりから小太郎尾根に乗って尾根を辿り、肩ノ小屋経由で北岳山頂を目指す。 すぐ右に左にジグザグを小刻みに繰り返して行く急坂の登りが始まる。 草すべりは標高差600mを急登する道で、背中に朝日を浴びながら急がず焦らず登る。 

    

日の当たる草の斜面には、黄色のミヤマキンポウゲやシナノキンバイ、紫色のミヤマハナシノブやタカネグンナイフウロ、白のカラマツソウ、ピンクのハクサンフウロ等の様々な花が咲き、急登に喘ぐ我々を励ましてくれる。 振り返ると、鳳凰三山が正面に見え、眼下には見える白根御池は雨上がりの小さな水溜りのよう。 更に登り続けると、クルマユリ、マルバタケブキ等大型の花が見え、シナノオトギリやミヤマコゴメグサの姿も見かける。 日当たりのよい草すべりは高山植物にとって住み心地がよいのか、多様な花々が咲き競っている。
30分に1回の休憩を入れながら1.5時間登り続けて行くと、青空をバックにした北岳バットレスが大分近くに望めるようになり、振り返り見る鳳凰三山の地蔵岳オベリスクも稜線の上にちょこっと尖塔の先が見えるようになり、辛抱して高度を稼いできたことが実感させられる。

  

やがて周囲のダケカンバやミヤマハンノキの木々に代わりハイマツやナナカマドが現れると、2700mの森林限界に達し、シナノキンバイのお花畑に出会う。 広い斜面一面黄色いシナノキンバイの群落で、バックの青空に映えなかなか見事。 黄色に染まる斜面を縫うように付けられた山道を登って行くと、左の大樺沢二俣から登ってきた道に合流する。 この辺りもシナノキンバイの大群落で、草原にはキバナノコマノツメ、ハクサンチドリ、テガタチドリが混じり、ナナカマドの白い花も咲いている。 以前(H18年)、隣に立つ花の山として有名な仙丈ヶ岳を訪れた時は、シカの食害で高山植物が少なくなってしまってガッカリした記憶があるが、ここは大丈夫のようだ。

  

やがてお花畑とハイマツの間に付けられた木の階段を登り切ると、小太郎尾根の稜線上の分岐に辿り着く。時刻は8時20分。
小太郎尾根に立つと、今まで見えなかった北に甲斐駒ケ岳が、西に仙丈ヶ岳が聳え、仙丈ヶ岳の山腹を丸く削る仙丈カールもよく見える。ひとまず草すべりの急登を終えホッと一息、稜線上で周囲の山々を眺めながら休憩とする。 高度は2800mを越え吹き抜ける風も冷たく、暫く休んでいると寒くなりヤッケ代わりの雨具の上着を着込む。 ゆっくり休憩後、北岳肩ノ小屋に向かい北岳山頂を目指し出発。

   

北岳肩ノ小屋までの稜線歩きは気持ちの良い登りで、右に仙丈ヶ岳、左後ろに鳳凰三山を見ながらハイマツの間の岩屑の道を行く。 岩の間にしがみ着くように咲くチシマギキョウを見る。足元には、タカネツメクサ、イワツメクサ、ミヤマダイコンソウ、ミヤマキンバイ、ヨツバシオガマ、イワベンケイ、クロマメノキ等草すべりとは異なる花が多く咲いている。 多くは砂礫地を好む花か。 

小太郎尾根分岐から30分程で北岳の肩に建つ北岳肩ノ小屋に着く。 ここはもう3000mの高地(携帯も繋がる!)、今日の泊まりは北岳山荘の予定で、時間はたっぷりあるので、肩ノ小屋前の広場でコーヒータイムとしゃれ込む。 お湯を沸かし、仙丈ヶ岳、甲斐駒ケ岳、鳳凰三山等周囲の山々を眺めながらの暖かいコーヒーの一杯はまた格別。 湧き上がるガスの切れ間から東の方角に一瞬、富士の姿を見る。(慌ててカメラを向けるも、またガスに遮られ間に合わず )


30分間休憩後、いよいよ北岳山頂を目指し出発、小屋の前を通り急な岩場を登る。

  

足元には、小さな高山植物がいろいろ咲いている。 イワオウギ、ハハコヨモギ、ミヤマキンバイ、ミヤマダイコンソウ、ハクサンイチゲ等々で、水の少ない高山の砂礫地で風雪に耐え、必死に子孫を残すため咲き続ける様は健気で愛おしい。 花弁に赤や黄色の斑点のあるシコタンソウや黄色や赤色のイワベンケイもそこここに咲いている。 

30分程登り岩稜帯を越えると、前方南方向に北岳から間ノ岳に続く長大な稜線が見え出し、その手前には赤い屋根の北岳山荘も見下ろせる。 山道に白いチョウノスケソウが現れオヤマノエンドウと仲良く咲いているのを見ながら岩場を回り込むと、見上げる岩峰に数人の人が立つ北岳の山頂が見えてくる。  肩ノ小屋から50分で北岳山頂に到着。 時刻は10時50分。


山頂には北岳3193mの看板とお地蔵様が鎮座している。
富士山に次ぐ高峰の北岳山頂からは、360度の展望が得られるところで、ガイドブックの展望パノラマ写真を片手に山座同定しようと楽しみに来たが、残念ながら雲が多く遠望が利かない。

  
   

 北に甲斐駒ケ岳、東に鳳凰三山、西に仙丈ヶ岳、そして南には中白根山から続く長大な稜線上に大きな山容の間ノ岳があり、その後ろに左に西農鳥岳、農鳥岳が並び、右には兜を伏せたような塩見岳が見える。 ここからの鳳凰三山は見下ろすようになり、草すべりからは尖塔の先端しか見えなかった地蔵岳オベリスクは、基部まで全容をとらえることができる。 また西の仙丈ヶ岳の後ろには中央アルプスの山並みが連なり、木曽駒ヶ岳の後ろには御嶽山らしき山容をなんとか確認できるが、富士山は依然として雲の中で姿を見せてくれず、北アルプス、八ヶ岳、奥秩父の山々も望むことができない。
東側の崖の上に立ち見下ろすと、バットレスが垂直に切れ落ち、その先に大樺沢の雪渓が長々と続いて見える。 

北岳の山頂は意外と広く、訪れている人は多いが食事をするスペースは充分、時間は未だたっぷりあるので、ここでゆっくり昼食とする。 白根御池小屋で作ってもらった弁当を広げ、暖かい味噌汁と南アルプスの山々の眺望をおかずにした贅沢なランチタイム。 お湯を沸かしたインスタント味噌汁だが、山の上では一段とおいしい。 

山頂にて昼食大休止のあと、北岳山荘に向かい下山開始。

   

正面の中白根から間ノ岳に続く長い稜線を眺めながら、北岳南西面の露岩帯の急斜面を慎重に下る。 岩場の陰には青紫の色鮮やかなミヤマオダマキが姿を見せ、シコタンソウ、ハクサンイチゲ、ミヤマキンバイ、コイワカガミ等可憐な花々を眺めながら下る。 この辺りに咲く北岳固有種(北岳しか咲いていない)のキタダケソウは、もう花の時期が終わってしまったようで見当たらない。


八本歯のコル(道標に左へ30分とある)と北岳山荘(同・直進50分)の分岐を過ぎ、なおも続く岩稜帯の道をハシゴなどを使い下る。 周りの花は、シコタンソウ、オヤマノエンドウ等に混じりピンクのタカネシオガマが多く見られるようになる。 やがて2ツ目の八本歯のコルへの道を左に見送って更に下ると、岩場は終わりハイマツの中の岩屑の道になり、チシマギキョウが多く咲く道を緩やかに下って行くと北岳山荘に到着する。 振り返ると、肩ノ小屋から見た北岳と違った三角形の端正な姿の北岳が眺められる。 

 13時半山荘到着。 北岳山荘は北岳と中白根山の鞍部・標高2900mにあり、昭和大学の診療所も開設されている。
週末に近い今日は利用客は多そうだが、早めに着いたアドバンテージで2階の片隅のスペースを確保。
北岳はここ数日来天候が悪く、山荘に荷揚げするヘリコプターの飛行がストップしていたらしく、今日はその分まとめて荷揚げするようで、山荘の外に出ることができず、食堂にて慰労打ち上げの場を作る。 ビ―ル片手にワイワイ話が弾むうち、いつしか窓の外は荷揚げが終わり雨が降り出し窓ガラスをたたく。

 

雨が上がった夕方、外に出てみると、池山吊尾根の上に大きな虹が懸かっているのを見る。 また、南東には、ようやく今日一日見えなかった富士山の姿を捉える。 ここからの富士は、普段見慣れた河口湖や山中湖側と反対側の富士で、手前に櫛形山、右に毛無山を従えて、左右に裾野を延ばしたバランスの良い姿をみせてくれている。 振り返ると夕暮れの北岳が黒々と聳えている。

明日の天気回復を祈りつつ、8時半就寝。


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