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敗者・山中と松山 連日見た涙の美

2017-08-16 | 日記

文字通り「8・15終戦記念日」になった。
ボクシング世界王者の落城は、いつも衝撃的な結末を迎える。
永久に続くチャンピオンなんていない。
分かっていながら、ボクシングは落城のわびしさが身に染む。

13度目の日本最多防衛を山中慎介が果たせなかった。
残念ながら私の戦前の予感が的中してしまった。


【8月16日付・報知新聞】

山中は序盤から右ジャブをビシビシ、決めていた。
右のリードで最強挑戦者ルイス・ネリを封じた。
決して悪くはなかった。
これなら楽勝。
そうとも思えた。

だが、右のガードが下がるところをネリの左フックが襲った。
不用意に何度も左顔面に強打を食った。

▼WBC世界バンタム級戦(15日、島津アリーナ京都)
ルイス・ネリ(4R2分29秒TKO)山中慎介

決着した4R、滅多打ちされた山中陣営がタオル投入。
オレンジ色のタオルが、リングに舞った瞬間、具志堅用高に並ぶ夢が消えた。



「最悪のストップだ」
帝拳ジム本田明彦会長はタオル投入は早過ぎる、と激怒した。
そうだろうか?
山中本人もまだ闘えた、と悔しがった。

4回、山中はもっとガードをあげればよかった。
ロープに追い詰められ、連打された時。
山中の脳裏をよぎったのは長谷川ではなかったか?
世界を奪回した長谷川の9Rの壮絶な打ち合い。
守りに徹すれば、あれだけパンチをもらわなかった。
滅多打ちされ、見た目にも印象が悪すぎた。



世界チャンピオンの散り際はいつも無残だ。
辰吉丈一郎も、長谷川穂積も、落城の時は壮絶なKO負けだった。

腹心のトレーナ大和心は、山中がリングでのびる姿を見たくなかった。
チャンピオンの誇りをキープしたい、ダメージを最小限にとどめたい、と思ったのではないか。

本田会長は続ける。
「(タオル投入は)相談がある。こんなことは初めてだ。あいつ(トレーナー)はいいやつで優しいから。魔が差したかな。
展開は予想通り。2、3度倒れても結果KOで勝つというのが山中。コンディションは最高だった」

1日前は全米プロゴルフで松山英樹がメジャー初制覇をあと1歩で逃し涙をこぼした。
そして、この日は山中が防衛に失敗し、リング上で悔し涙を流した。

世界を舞台に闘う男の涙は美しい。



効いてなかった、まだまだやれた
▼山中慎介「負けて言うのもなんだけど、向かい合って、大したことないと思って戦った。4回は自分的には大丈夫だったけど、セコンドを心配させたというか、止まってしまった。効いていなかったんですよ。そんなにもらっているつもりはなかった。相手が来て詰まる場面は想定はしていた。まだまだやれた。いける感覚はあった。左も思ったより当たっていた。悔しい。メディアの皆さん、お客さんの期待に応えることができなくて本当に申し訳ない気持ちでいっぱい。ジャブも自分の距離でしっかりと当てて、いいリズムだった。2ラウンドに来た場面はあったけど、パンチもそんなに感じなかった。見た目はどうだか分からない。距離としても戦いやすかった。1ラウンドから向こうのペースかと思ったでしょうが、入ってくるところに狙いやすかった。感覚として左のタイミング自体は合っていた。1発のパンチが強いというわけでもないので。(自分が)止まりすぎたかな?もっと足を使おうと思ったが、ジャブも当たったし、ガンガン来るわけでもなかった。止まりすぎてまとめられた」

ジャブが強かった
▼ルイス・ネリ「夢がかなった。すごく幸せ。私のキャリアで一番タフな試合。山中の左をかわす。それが成功した。ジャブがあんなに強いと思わなかった」

最後は陣営の判断だった
▼具志堅用高「最後はセコンド陣の判断。山中君はコンディションが良かった。気持ちも十分あった。それ以上に挑戦者のネリがタフで勢いがあった。
山中君は研究されていた。打ち込まれ4回にクリンチすべきという意見もあるが、相手に勢いがある時は、クリンチする余裕がなくなる。それにしても、ボクシングを始めた京都で散った。ああ、36年前に故郷の沖縄(14度目防衛戦)で負けた僕と同じだなと思った。今は当時の僕と同じ心境になってると思う。ベルトを失った喪失感、ド~ンとどん底に落された気持ちかなあ」

 


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