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富士山を撮らない富士山写真家

2009-11-22 | 日記
素晴らしいけれど、偉大だけど、尊敬できるけれど、まったく、世の中に知られていない人って、いるものなんだ。
 前回、フジ「ニッポン人の忘れもの」で見た。
80年間も現役で新橋のガード下で理髪店を続ける94歳の老婆。
戦争直後、夫を亡くし60年以上守り続けた小さな小さなガード下の理髪店。きしむ列車の音、震える振動とともに生き抜いた。
 働く、は「傍」が「楽」になるためのもの。
楽して稼ぐなんて、とんでもない。
人は一生、働くのは当たり前。
肌のつやつやした老婆の口調は毅然としていた。
 「陶芸家なら、文化勲章や国宝になっているのに」
MCの言葉は重い。
 さて、同じ番組の続き。
 小林健一。
享年33。
 富士山の写真は数多くある。
 だが、富士山の写真集に富士山の姿がない。
 それだけでも、すごい。
 すでに絶版になった写真集。
 テレビは、その圧倒的な存在感のある写真が映し出された。
 小林カメラマンは、富士山山頂の山小屋に住み続け写真を撮り続けた。
 時に火口に入り、富士から見た雲、ご来光、雲海に映った「影富士」。
 写真を見せられないのが残念。
 目からウロコ。
富士の勇姿は新幹線から高速道路から何度も見た。
 しかし、その素晴らしい富士山から撮影する発想自体も絶句する。
 96年、その富士山で小林カメラマンは滑落死した。
好きな富士山で死んだことは本望だった。
 そう、信じたい。
 4時間以上の番組。
テレビ界も捨てたものではない。
 プロデューサーに拍手だ。
 11月22日23時49分。
引きこもりも捨てたものではなかった。


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