『書斎の競馬』元編集長のひとりごと

馬・車券歴40年以上50年未満。いつの間にかいい歳になった。

今年の勝春は別人のようだ

2007-05-22 14:22:47 | 競馬
シンガポール航空国際Cはシャドウゲイトの楽勝。昨年のコスモバルクに続いて日本馬が連覇した。優勝賞金約1億2720万円の国際G1である。外国馬の能力がよくわからないのと2着馬がコスモバルクなので勝利の価値は測りづらいけれど、定量戦でシャドウゲイトが1番人気というのだから日本の馬が強くなったということはいえそうだ。

勝ちタイムは2000メートルで2分4秒0、やや重くらいの馬場状態のようでシャドウゲイトに向いた馬場だったとはいえ、好位で折り合いをつけ逃げるコスモバルクを4角でとらえた田中勝春の手綱は完璧だった。
今年は冒頭から別人だったが、皐月賞を勝ってますます自信をつけたようである。
マークがきつくなる立場のヴィクトリーで、どんな騎乗を見せてくれるかが楽しみになった。
主役はフサイチホウオーであるという考え方に変わりはないが、皐月賞パドックでのヴィクトリーはフサイチホウオーより完成度で上回っていた印象、ピカピカの毛艶で落ち着き払った気配はフサイチ以上であった。
それでも、17番枠で岩田→勝春だから中心にはしづらかったが、展開に恵まれたフロック勝ちではない。
終わって脚を余したのがフサイチであったことはたしかだが、12月のラジオNIKKEI杯2歳Sの内容と着差を考えるとこの2頭の力差はない。
1コーナーで外に膨れてながら主導権をとったのが、キャリア2戦目の豊ヴィクトリーで4角から内に切れ審議対象となる競馬でこれをとらえたのがアンカツのフサイチだった。ところが復帰戦の若草Sで、それまで2戦手綱をとった豊が1勝馬のナタラージャ(青葉賞で故障)に乗って、ヴィクトリーは岩田、そのためヴィクトリーとナタラージャの人気がほぼ同じという異常オッズとなった。
そのときは弥生賞後だったので、豊のアドマイヤオーラ騎乗は確定的だから、アドマイヤ陣営が岩田確保というように思えたが、岩田に権利取りをさせておいて皐月賞は勝春を起用した。
かりに岩田がフェラーリピザというダート馬が先約だったとしても、横車強欲オーナーがおとなしくひくわけはない。
勝春起用は意図的だったと思う。
なんのためか。
当然人気は落ちてノーマークになりやすい。
あげくに1番人気の豊アドマイヤオーラが最後方で睨みをきかせば、ほかの騎手はよけい前には神経を使わなくなる。
まんまと作戦が図に当たったと思われるアドマイヤ陣営は、ダービー直前になってその位置取りが気に入らないと豊を下ろして、岩田を起用した。
これがどういう意味なのか。
ザレマを2番人気に押し上げてしまうほどのカリスマ性を失っていない豊降板となれば、たぶん人気は落ちるだろう。
さりとてアドマイヤオーラに皐月賞、ダービーを勝つだけの力があるとは思えない。
去年のダービーも豊の動向がカギだった。
アドマイヤメインが善臣で、アドマイヤムーンが豊にもかかわらず人気はほぼ変わらなかった。
やりたいほうだいで、どうだおそれいったかという感じ。
痴話げんかみたいな気もするが、なにしろ本業は壊し屋さんである。
アドマイヤの騎手起用には一筋縄ではいかないような意図を感じる。
いずれにしても、ヴィクトリーとアドマイヤオーラの馬体を比較すると、はっきり優劣がある。
乗り方うんぬんの問題ではない。
フサイチを倒す可能性のいちばん強いのはヴィクトリー。
別人勝春にとって一生に一度あるかどうかのチャンスであることはまちがいがない。