《事件発生日 2008/04 》
3時間で遺体を二十数個に切断し、運河等に棄てたそうです。
◆【衝撃事件の核心】美人フィリピーナバラバラ 異常性欲か捜査撹乱か またも猟奇犯行の「チャーリー」
【産経ニュース 2008/04/12 11:14】
http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080412/crm0804121113018-n1.htm
9年前に若いフィリピーナの遺体を解体して実刑判決を受けた男が、再び猟奇的な犯行で逮捕された。東京都港区台場でフィリピーナの切断遺体が見つかった事件で、死体損壊容疑で逮捕された同居の職業不詳、野浩容疑者(48)だ。被害者のフィリピーナと家賃をめぐるトラブルを抱えていたことが事件の背景にあったとみられるが、なぜ遺体を切断し、骨から肉をそぐなどという凄惨な行為に駆り立てた動機は明らかになっていない。「死因の特定を困難にし、殺人罪立証を妨害しようというのでは?」という見方が刑事たちから出る一方、精神科医は死体損壊行為から性的快楽を得る「ネクロサディズム(死体加虐愛)」の可能性を指摘している。(高久清史、時吉達也)
■両手に肉塊! …洗濯機で血抜き?
「彼女はいない。どこにいるか、分からない」
4月3日午後8時45分ごろ、台場のマンション。 六本木のフィリピンパブに勤めていたカミオオサワ・ハニーフィット・ラティリアさん(22)が出勤しないことを心配し、先に出勤していた同僚で同居のいとこがいったん帰宅。 一緒に住んでいる野容疑者にラティリアさんの所在を尋ねると、同容疑者はシラを切ったが、両手に肉の塊を抱えていた。 血染めの布団。 血だらけの洗濯機。 部屋に充満する異臭。 ただならぬ室内の様子に身の危険を感じたいとこはその場から逃げ、警察に届け出た。 その間に野容疑者は2つのスーツケースとともに姿を消した。 室内にはラティリアさんの腰の部分などが入った紙袋が残されていた。 野容疑者は6日夜、埼玉県川口市の路上で手首を切って自殺を図った。
《ロッカーに遺体が入っている》 駆けつけた救急隊員にそんな内容が書かれたメモを手渡した。 メモに基づき、警察は港区のビル内のロッカーから胸部など十数個の遺体の一部を発見。ポリ袋にくるまれ、スーツケースに入っていた。 さらに、野容疑者の供述により、11日には現場近くの運河からラティリアさんとみられる頭部なども見つかった。 腰、左右の尻、胸、背中の皮、肉がそぎ落とされた上腕の骨や大腿骨…。
遺体はベテラン捜査員でさえ眉をひそめるほど、細かく解体されていた。
遺体に血がほとんど残っていないことなどから、洗濯機で血抜きをした疑いも浮上している。
■「チャーリー」名乗りフィリパブ通い
司法解剖の結果などから、遺体の解体は、3日午後5時ごろから同8時45分までの短時間で行われていたことが判明した。ある捜査員は「(野容疑者が遺体を解体するのは)2回目だから、かなり手慣れている」と漏らす。
野容疑者は平成11年に交際していたフィリピン人女性=当時(27)=の遺体を切断、遺棄したとして、12年に埼玉県警に死体損壊・遺棄容疑で逮捕され、懲役3年6月の実刑判決を受けている。 バラバラにした女性の遺体をトイレに流すなどの方法で捨てていた。
「自分の手で葬ってあげたかった」 この事件での公判で野容疑者はそう供述している。
野容疑者は出所後、上野などのフィリピンパブに入り浸り始め、好みの女性を物色した。
小太りで長髪を後ろで束ねた野容疑者は、女性たちの前で「チャーリー」と名乗り、手品を披露し、喜ばせていたという。 昨年からラティリアさんが働いていた上野の店に通い、ラティリアさんを指名するようになった。「(野容疑者が)彼女を気に入り、週1、2回通うようになった」と当時の同僚女性は証言する。
2人は店外で一緒に食事をしたり、始発の電車で一緒に帰宅したりと関係を深めていった。
関係者によると、ラティリアさんは上野の店を辞めた昨年12月ごろ、いとこ2人と事件現場となった台場のマンションに住み始めた。野容疑者も家賃二十数万円の一部を負担する約束で同居した。
ラティリアさんに入れあげた野容疑者だが、ラティリアさんは近所のフィリピン人女性に「私のパトロンなの」と紹介。野容疑者が家賃を支払わなくなると2人の関係は悪化し、事件前には家賃をめぐり激しく言い争うこともあった。
■「私が泊めてあげれば」…
自分を責める知人女性 「Ate(タガログ語で『お姉さん』)、今夜、あなたの家に泊めさせてくれない? 話したいことがあるの」 ラティリアさんは殺害されたとみられる3日の午後1時ごろ、自宅マンション近くのスーパーで、姉のように慕っていたフィリピン人女性(43)にこう懇願していた。
思い悩んでいるようなラティリアさんの表情は気になったものの、女性は仕事の都合のため、家に泊まらせることを断った。ラティリアさんはその数時間後、バラバラに解体された。 この女性は目に涙を浮かべ、後悔の言葉を絞り出した。 「私が泊めてあげれば、彼女は死ななかった。断らなければ良かった」
ラティリアさんには、日本人男性との間にもうけた2歳ぐらいの男の子がいるという。 上野の店では、子供の話になると顔をほころばせ、携帯電話の待ち受け画面に設定されていた子供の写真を見せていた。
当時の同僚だった女性は事件翌日の早朝、ラティリアさんのいとこから電話を受けた。いとこは「彼女はもういないんだよ。チャーリーがやったんだ」と憔悴(しょうすい)した様子で話していたという。 この元同僚の女性は休日によく、ラティリアさんと渋谷や原宿で一緒に遊んでいた。
「彼女は甘えん坊で、かわいい妹みたいだった。日本料理を熱心に勉強していて、みそ汁や、明太子スパゲティを私に作ってくれたの。あんなにいい子がこんな事件に巻き込まれるなんて、信じられない」 元同僚はそう言って怒りをあらわにした。
■死体解体は捜査攪乱? それとも性的快楽?
「黙秘します」 野容疑者は逮捕直後にこう繰り返したが、次第に取り調べに応じるようになり、死体損壊や遺棄については認める供述もしている。
しかし、動機などについては、口を閉ざしたままだ。
警視庁東京湾岸署捜査本部は殺人容疑でも追及する方針だが、捜査の焦点となるのは「死因の特定」だ。
「遺体が細かく解体されると、死因の特定が難しくなるケースもある。例えば、切り傷が殺害のときのものか、解体のときのものかを判断するのは困難」
千葉大法医学教室の岩瀬博太郎教授はそう指摘する。
ラティリアさんの遺体は皮膚をはがされている部位もあり、「殴打されたときにできる皮下出血も、皮膚がはがされた場合、その出血が生前か死後のものか判断することが難しくなることもある」(岩瀬教授)という。
9年前の事件では、野容疑者は捜査段階で「自宅マンションに連れて行ったら、死んでしまった」と供述。女性が死亡した経緯は解明されないまま、捜査は終結した。警視庁の捜査員は「死因が特定されずに殺人容疑で立件されなかった経験から、今回も殺害の追及を免れるためにバラバラにした可能性は十分ある」と話す。
犯罪心理の分野では、別の見方もできる。
「同じような若い女性を狙って死体損壊を繰り返していることから、遺体を解体する行為に性的快楽を得るネクロサディズムといえる」
そう分析するのは精神科医の小田晋氏だ。
この性癖があると、死体損壊行為により、脳の性中枢と攻撃中枢が同時に満たされ、強い恍惚(こうこつ)感を覚えるのだという。
小田氏は「1度目の犯行で快楽を覚えたのだろう。しかも殺人容疑で立件されずに量刑が短くなったことで味をしめ、犯行を繰り返したのではないか。今回の事件で(殺人容疑を含めた)厳しい刑罰を下さなければ、再び死体損壊に手を染める危険性がある」と強調した。