グローバル・タックス研究会 ~Study Group On Global Tax~

貧困のない、公正かつ持続可能なグローバリゼーションのための「グローバル・タックス」を提言する、市民研究グループです。

前原外務大臣への要請(国際連帯税、リーディング・グループ総会)

2010-11-21 | 「国際連帯税」創設議員連盟
11月19日国会内において、国際連帯税創設を求める議員連盟と国際連帯税推進協議会により、前原外務大臣に対して「国際連帯税の前進とリーディング・グループ総会成功に向けての要請」を行いました。

国会での参議院予算委員会開催中という慌ただしい中での短時間の要請であったが、下記のような議員連盟の要請書と国際連帯税推進協議会(寺島委員会)・最終報告書を手交しました。


  国際連帯税の前進とリーディング・グループ総会成功に向けての要請

外務大臣 前原誠司 殿
                    国際連帯税創設を求める議員連盟 会長 林 芳正

 私たち国際連帯税創設を求める議員連盟(以下、議連と略)は、去る8月25日岡田外務大臣(当時)に対し、次のような要請書を提出した。

1、政府税制調査会に「国際連帯税、とくに航空券連帯税・(グローバル)通貨取引税」を新設要望していただきたいこと。
2、9月のMDGsレビュー・サミット時におけるリーディング・グループのサイドイベント、さらに12月のリーディング・グループ総会開催にあたり、議長国として強いメッセージを発していただきたいこと。

 その後、外務省は政府税制調査会に「国際連帯開発税」を要望することとなった。さらに岡田大臣を引き継いだ前原新外務大臣が9月の国連MDGsレビュー・サミット時における革新的開発資金に関するリーディング・グループのサイドイベントにおいて、共同議長を務められた。その中で、航空券連帯税や通貨取引開発税などの「革新的資金調達」に関して国際的議論の推進を提案するなどリーダーシップを発揮され、海外の政府、国際機関、NGO等から高い評価を受けた。

 さて、私たち議連は11月8日に総会を開催し、新会長(林芳正参院議員)など新役員を選出するとともに、引き続き国際連帯税実現に向け奮闘することを確認した。議連は現在、超党派で衆院議員32人、参院議員20人の計52人が参加している。

 ついては、来月日本が議長国として主催するリーディング・グループ総会というまたとない機会を成功させるために、当議連は貴職と緊密に連携しつつ、党派をこえ、世界の喫緊の課題に対し、世界を引っ張る責任ある日本として、これを全面的にサポートしたい。このような「歴史的機会」を最大限に生かすために、当議連は次のことを要請する。

1、12月のリーディング・グループ総会において、我が国が議長国として、国際的な革新的資金調達の議論をリードすべく力強いメッセージを発すること。

2、具体的には、①航空券連帯税について我が国が次年度より実施すること、ならびに、②グローバル通貨取引税について国際社会の合意を得るため積極的にイニシアティブを発揮すること(以上、別紙参照)、これらを内外に宣言すること。

                                             以上
                                        2010年11月19日

<別紙1>
航空券連帯税について

●航空券連帯税の特徴とメリット

日本を出発するすべての航空会社の利用者に分け隔てなく課税を行うので、導入国や特定の航空会社を不利にしないし、航空会社間の競争も起こらない(国際競争力の問題から言えば、航空燃料税、空港着陸料などが問題)。

税を負担するのは国際線航空利用者であるが、フランス並みの課税としてエコノミークラスで400~500円であり特段の負担感は生じない。

航空業界は成長産業であり、とくに中国・アジアでの伸びが著しい。中国から我が国には昨年100万人超の旅行者があったが、我が国が航空券税を実施していれば年間約7億円強の税収となる。

逆に、日本人は導入国フランスに毎年7.6億円程度、韓国に2.4億円程度の連帯税を支払っている。また、航空への課税としては米国、英国など主要各国ですでに(個別消費税として)課税され、ドイツでも来年航空税が導入される予定である。これらも連帯税と同じく、日本人利用者が支払うことになっている。

●導入国からまったくデメリットを指摘されず

すでに十数カ国が航空券連帯税を導入しているが、デメリットの報告はないどころか、たとえばエールフランスは売り上げを伸ばしている。

逆に、途上国の感染症対策に貢献しているという仕組みを作ることは、日本の空港を利用する航空会社の社会貢献・国際貢献という企業イメージの向上につながる。

航空利用者も小額といえども直接国際貢献に資することになる。

●税収は国際線への課税で150~170億円の見込み(2008年度実施の場合)

6月に閣議決定された「新成長戦略」で外国訪日客3000万人を目標としているが、これが実現すれば日本人客と併せて年間約4500~5000万人が国際線を利用することになり、300~330億円の税収となる。

東アジア規模で航空券連帯税を呼びかけ、それが実現されれば、UNITAID(エイズ・結核・マラリア治療薬の資金を提供する機関)への拠出だけでなく、アジア規模の貧困・気候変動問題に共同で拠出することが考えられる。

●結語: 日本一国で導入可能であり、技術的にも徴税が容易な航空券連帯税を、国際連帯税の第一歩として直ちに導入すべきである。

<別紙2>
グローバル通貨取引税について

●背景

「開発のための革新的資金メカニズムに関するリーディング・グループ」内に日本を含む12カ国で「開発のための国際金融取引タスクフォース」を創設(2009年10月) 同時に専門家委員会(9人で構成)も組織される

専門家委員会が2010年7月「最終報告書」を提出

結論: グローバル通貨取引税+グローバル連帯基金の新設

●グローバル通貨取引税の特徴

仕組み: 世界の主要通貨間の取引について集中的に即時同時決済を行っているCLS(多通貨同時決済)銀行を活用し、その現行手数料に税額を上乗せして徴収する。

税率: 実体経済を支える国際金融市場に歪みをもたらさないように、0.005 %とする。

税収: CLS銀行を利用する主要通貨(米ドル、ユーロ、円、ポンド)に課税すると、250億~343.8億ドルの税収となる。

徴税コスト: 中央集権的で世界的なインフラであるCLS銀行での決済の段階で徴税できれば、そのコストを相当下げることが可能である。

税の性格: 同時にCLS銀行段階での徴税は、最初からグローバル公共財の資金として徴収することが可能になり、「国内歳入問題」は生じない。

●グローバル通貨取引税の課題

法的諸問題: 各国の徴税権の共同の法的委任など国際的な法的取極めが必要性となる。

基金の設立: あらかじめ国際基金ファシリティー(グローバル連帯基金)の構築が必要である。

●結語:グローバル通貨取引税の実現に向けて、国際社会の合意を形成するために、日本政府はG20、国連その他の国際会議の場で、これを議題化させるべきである。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。