GEN事務局会田の大同活動日記

中国黄土高原でのGENの活動や、現地の人々の生活をお伝えします。

中国の環境NPO事情

2006年12月25日 | Weblog
北京の某大学で中国の環境NPOを研究されている中国人教授と、先日京都でお話をする機会を得ました。今、中国国内ではNPO、いわゆる社会貢献を行う民間団体が急速に増えています。その一方で国家がNPOに対する規制を強める動きがあります。この教授はその流れに批判的で、自らの論文の中でもそれを批判されているのですが、やはりその論文は公式な場で発表をすることができないとのこと。このあたり、中国の複雑な国情がうかがい知れます。ということで、某大学の某教授としか書けません。あしからず。

私はちょうど一年前の今頃に、北京で開かれたJICA中国事務所主催の「日中NGOフォーラム」に出席しました。中国のNPO33団体と日本のNGO6団体が参加したこのフォーラムで、緑の地球ネットワークの活動紹介を行い、中国各地の様々な分野で活動する民間団体の人たちと情報交換を行いました。そのときも、中国側の参加者の熱意に圧倒され、中国全土すみずみまで市民活動の新しい波が広がっていることを肌で感じました。
中国では、中国政府の民政部に登記されているいわゆる合法的な民間団体は、2004年の段階で28万9,000団体もあるとのこと。1988年の4,446団体から毎年34%の伸び率で、登記されていない任意の民間団体に至っては、現在約300万団体に達しているそうです。

そのうち環境NPOに限ると、1994年に中国国内で有名な環境NPO団体「自然之友」が設立されて以来、急速にその数が増加し、今では2,768の組織があるそうです。これは民政部に登録されている、いわゆる合法的な組織の数なので、任意団体にいたっては更にこの10倍はあるかもしれません。この数字からも、中国国内でも環境に対する関心が高まっていることを感じます。

それにしても、この「民政部に正式登録された合法的組織」というのが少しくせものですね。中国では、急速に増える民間団体を政府がどのように「管理」するか、その枠組み作り、法整備が急速な課題となっているようです。昨年も、JICA研修の一環で「日本NPO制度視察研修」と題して、中国の中央、地方政府の民政部民間組織管理局のお役人が、GEN事務所を訪れました。
この民政部民間組織管理局の業務は、
・NPOに関する管理方針、政策、定款の制定及び実施の監督
・NPOの活動の監督、NPOの違法行為及び未登録なるもNPOの名義で活動を展開する違法組織の取り締まり
などなど。ちょっとぶっそうな言葉が並びます。日本のNPO法が行政の関与を極力抑制し、情報公開を通じて広く市民の監督下におき、市民による緩やかな監視を前提としていることと対照的です。これでは、如何にうまく政府と付き合いながら活動を行っていくかを考えなくてはなりません。

今後は、中国国内で活動する海外のNGOに対する管理を強化するという話もちらほら聞こえてきます。中国国内のNPOと海外のNPOが協働すべき時代がすでにきていると思いますが、やはり中国の国情を考えるとそれも一筋縄にはいかないことを、今回お会いした大学教授との懇談で改めて感じました。



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4 コメント

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中国のNGOについて (静富士)
2006-12-26 22:16:37
 中国のNGOについてのブログを拝見しました。
田舎者ゆえ詳細については理解しておりません。
ただ、12月23日の朝日新聞朝刊の記事に書かれていた前AAN客員研究員の林蔚(リンウェイ)さんの書かれた記事と少し違うかなとの感想を持ちました。林蔚さんについてはガッチャンに聞いてもらえば分かると思いますが浅野さんと一緒に伊豆合宿に参加していただいた方です。新聞の肩書きによると「中国青年報」記者だそうです。日本語もとてもお上手で、伊豆合宿では二日間とも私の車でご案内いたしました。
 その記事の見出しは「中国のNGO 環境問題への取り組み期待」となっており、内容的にも会田さんの危惧されている内容とは異なっているような気がしました。浅野さんを介して林蔚さんにコンタクトをとってみたらいかがですか?
 ブログ毎日楽しみに拝見しております。
再見
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情報ありがとうございます ()
2006-12-27 13:02:00
静富士さま:

こんにちは。コメントありがとうございます。
林蔚さんのお名前は私もどこかで拝見した記憶があります。
そうですね、物事は何でも前向きにとらえたいですね。私も中国の環境NGOの熱気の高まりを肌で感じています。それに政府が少し危機感を覚えている雰囲気も感じます。
でもやはり物事は前向きに捉えたいです。
機会があったら浅野さんに林さんを紹介していただいて、ぜひお話を伺ってみたいと思います。貴重な情報をありがとうございました!

それにしてもこのような問題について、いったいどこまで踏み込んで書いてよいものか。正直悩みながら書きました。プラス面についてはとても書きやすいですが、マイナス面については中国の国情が国情だけに、とても神経を使います。それでなんとなく間の抜けた文章になってしまいました。お恥ずかしいです。

今年もあと少しですね。
どうぞ良いお年をお迎えください。
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本当の情報 (劉亭)
2008-03-04 13:57:07
静富山様:

中国の環境NPOの数について疑問を持っています。中国人って、環境意識を持っているのか。私には想像できないです。中国について、様々な情報があるけど、信用できるのはどのぐらいありますか。
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Unknown ()
2008-03-06 10:18:22
劉亭様:

 おはようございます。このブログの筆者です。静富士さんへコメントされている?ようですが、静富士さんはあまりここへはいらっしゃらないので、わたしからお返事させていただきます。
 中国の人たちの環境意識についてですが、ご存知の通り中国のようなあの大きい国には日本の比にならないくらいの様々な価値観が存在するので、一概にどうと言えないのが難しいところだと思います。日本国内でも意識が高い人と低い人といます。でも環境問題に強い関心を持っていて、そのために行動している人たちが中国国内にいることは確かです。
 特に今年に入ってからも、中国に関する様々な情報が伝えられていますね。中国はあまりに大きいので、私には全体像は計り知れないところですが、私が知っている範囲だけでも、あまりに一面的角度からの情報を、あたかもそれが中国の全てのように伝える報道には疑問を感じます。
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