風車の低周波音測定

風力発電用風車の騒音問題が起きている伊方町三崎で5日、体調不良などとの関係が指摘されている低周波音の測定調査が始まった。環境省が全国3か所で実施予定の調査の一環で、委託を受けた県が行う。
(2009年8月6日 読売新聞)
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/ehime/news/20090805-OYT8T01009.htm 


環境省による風力発電の騒音調査が愛媛県伊方町で始まりました。
記事では「低周波音測定」となっていますが、「騒音」についても測
定、調査するとのこと。

低周波について私は全く無知なのですが、「低周波」と「騒音」では
「低周波」の方が被害が大きいように報道されているようです。
伊方町の場合、民家から200mの所に風車が建てられ、基準を超える騒音が
観測されていて、問題になっているのはほとんどが「騒音」ではないかと
思います。

そもそも「低周波音」とは、可聴域であるが聞き取りにくい周波数の音
(20~100Hz程度)ボーとかブーンという音が聞こえるそうです。
耳に聞こえない20Hz以下の音は「超低周波音」

 低周波音による被害は、
・ 建具や窓のがたつき等の物的影響
・ 圧迫感、振動感等の心理的影響
・ 頭痛等の生理的影響
・ 睡眠妨害

http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=864&hou_id=1345

低周波音は波長が長い分、障害に強く防音材では効果がないそうです。
このため窓を閉めると他の音が消され、低周波音だけを強く感じてし
まうようです。確かにブーンという音が常に聞こえたり建具ががたつ
いていれば、気になるでしょう。ただ、低周波音も騒音も人によって
気になる程度が違う。というのが問題をややこしくしているようです。

低周波音による健康被害はまだ明らかになっていません。
ですが、私は低周波問題は心理的な影響がかなりあるように思います。

病気、環境など未知なる危機に対して、日本人は非常に敏感に反応する
という性質があるようです。ダイオキシン、BSE、新型インフルエンザな
ど、その特性が分からない初期の段階でほとんどパニック状態に陥ってし
まい、冷静な判断ができなくなってしまいました。
(大したことないと分かってしまえば、すでに危機は去ったように忘れさ
 られてしまいます)
低周波音も同じく、一体どんな物か分からないだけに、過敏に反応してい
るというのもあるような気がします。マスコミが常に危機を煽っていると
いうのも一因でしょう。

また、仲の良い隣人の生活音は気にならないけど、見たこともない隣人の
出す音は気になる。更には、気に入らない人の出す音は我慢ができない。
これと同じで、気に入らない風車の出す音は我慢できない。というのが
本質ではないでしょうか。要は風車が嫌われているということですかね?

低周波音に関しては、影響が明らかではありませんが、「騒音」は別です。
現在、騒音規制は住宅地、工場地帯には設けられている所がありますが、全て
の地域ではありません。このため、伊方町などは騒音規制の指定地域になって
おらず、住宅地の騒音基準を超えていても、規制の対象外で行政側は何の対応
もとれない(とらない?)ことになっています。普段静かな地域に騒音が発生
しても法的に問題がないというのはおかしな話です。「騒音」に関してはすぐ
にでも規制を設け、業者の乱開発を防ぐ必要があると思います。

結局の所、地元に受け入れられるよう配慮した風車からはあまり低周波音の
問題は起きず、強引な開発の場所に問題が多いのが現状かもしれません。
(騒音に関しては適切な場所に建設されていればまず問題は起きないはず)

とにかく、実体を把握するのは大事です。低周波音、騒音共にきちんと調査
して欲しいと思います。科学的な調査はもちろんですが、心理的な影響を調べ
る聞き取り調査、風車に対する好感度(?)も調査すると興味深い結果がで
るかもしれません。



関連ページ
環境省
諸外国における風力発電施設から発生する騒音・低周波音に係る基準等の状況について(暫定版)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10905
上述PDFファイル
http://www.env.go.jp/press/file_view.php?serial=13184&hou_id=10905
川崎市 騒音振動ホームページ
http://www.city.kawasaki.jp/30/30souon/home/souon_towa/teisyuha/teisyuha_0.htm
伊方町風力発電騒音問題について(当ブログ内)
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/s/%B0%CB%CA%FD%C4%AE


2009/8/8更新 ようやくすっきりした夏空が広がってきました。
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コメント
 
 
 
伊方町のは騒音ですね (カリブの海賊)
2009-09-03 01:35:37
実際に伊方町に行ってきました
200m位置ですと、はっきり耳に聞こえて
かなりうるさいです
風車ファンを自称していますが、この騒音
には屋外位置で約10分で気持ち悪くなりました
(でも1時間弱くらいいましたが)
強い風が吹いているのですが、時々、風向きが
変わるせいか、風切り音の周波数がかわるような
感じと、2本が等距離という感じで配置されて
いるので、2方向からというのも気持ち悪い
あと、風切り音と同時に、モーター音でしょうか
ジーーーーーって音が延々と続くのも耳障りです
このタイプの風車(三菱重工の1000kW)で
すが、1本もので300m、400mで騒音確認
した際には気にならなかったので、やはり騒音は
距離による減衰効果が極めて重要なのと、起伏の
ある地形は、音の反射など複雑・複合音にでも
なっているのでしょうか?300m、400m
当たりの民家の位置で聞いてみても、耳につい
たりするところもありました
低周波騒音のほうは、私には判りませんでした
 
 
 
やっぱり騒音ですね (mizu)
2009-09-04 19:29:23
カリブの海賊さん

実際に伊方に行かれたのですね。
伊方町のケースは、低周波音というよりも(実)騒音が原因だと私も思っています。
地形による増幅や複数の風車による複合音もあるでしょうね。
複雑な要件もあるでしょうが、少なくとも民家から200mに風車を建てるのは問題外です。

低周波音については、騒音で被害を訴える方が出た場合、気になる方が増えるのではないでしょうか。
 
 
 
現地訪問調査の重要性 (カリブの海賊)
2009-09-11 01:20:29
やはり、新聞記事やTV報道(ニュースステーション等)だけでは、見えない部分があります。
正しい情報なのか、誇張なのか、ねつ造なのか?
紛れもなく伊方町は、自分の耳で聞き、距離、位置関係を確認し、新聞記事の写真と同じ家の前で音を聞いてきました。

しかし、なぜ風車ファン、風力発電ファンがこんな事までして、こんな嫌な思いまでして、そして、こういう話題のためのブログでは無いはずなのに・・・

と考えると最近の乱開発の風力発電事業者に対しては怒りと憎しみさえ覚えるようになってきました

 
 
 
Re:現地訪問調査の重要性 (mizu)
2009-09-12 10:06:46
本当は国や県が調査し、率先して問題解決するべきなのですが、やる気がないみたいですね。愛媛県側は、騒音規制のない地域なので、事業者に改善命令などは出せない。としているそうです。住民の健康、安全を守るのが行政のはずなのですが。。。

建設時の補助金廃止が手っ取り早いですが、補助金を出す(出した)以上は、早急に環境、騒音規制を設け、きちんと風力事業者を指導、監督して欲しいです。
 
 
 
風力開発事業者のモラル (カリブの海賊)
2009-09-13 01:48:40
愛媛の事例など、例え規制が無いといっても開発事業者側は予め騒音被害が出ることを判っていた筈です。騒音の距離の減衰は、騒音の教科書に載ってますし、一般的な空調機や道路騒音などでも常識というものは存在します
風力開発事業者のモラルはどこにいってしまったのでしょうか?
 
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