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環境を考える
水力発電の発電量と設備利用率
いよいよ7月。節電の夏の始まり。東京電力、東北電力管内では「電力使用制限令」が発動。その他の各地でも原発の再開が危ぶまれ、夏の電力需要が懸念されている。このような状態の中、電気は足りている。節電の必要はない。と言った声も聞かれる。設備容量から計算した例があるが、この中で、最も分かりにくいのが水力発電でどのくらいの発電量が見込めるかだろう。
経済産業省の電力調査統計の中に、発電設備利用率という項目がある。(設備利用率についてはこちらを参照)
経済産業省・資源エネルギー庁 電力調査統計
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm
平成22年度 2-(4)発電設備利用率(一般電気事業者) xlsファイル
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/resource/h22/2-4-H22.xls
水力発電に関しては、設備利用率は80~90%と非常に高い値になっている。ただし、注釈に
水力の利用率は可能発電電力量に対する実発電電力量の比を記す。
とあり、設備容量からではなく、貯水率等から計算した値らしい。ということで実際の設備利用率を調べてみた。(元データは全て前述の経済産業省・電力調査統計)
水力発電による発電量・設備利用率の推移(一般電気事業者10社計)
(クリックで大きく見られます)
まずは、一般電気事業者10社(実際は沖縄電力は水力発電がないため、9社)の各年の水力発電による発電量と設備利用率。総発電量は、年により大きく変動がある。特に1994年は年平均降水量比74%と大規模な渇水となった年(平成6年渇水)。降水量は2008年、2009年はほぼ平年並み。2010年は平年より多い年だった。
気象庁 日本の年平均降水量比
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/list/an_jpn_r.html
降水量により、発電量が変動していることが分かる。揚水発電は水力発電全体の10~15%で、割合としては小さい。設備利用率(折れ線、右目盛り)は1990年頃は約30%だったが、近年は約20%になっている。
各社の水力発電・設備利用率の推移
(クリックで大きく見られます)
電力各社の設備利用率では、大きく2つに分かれた。北海道、東北、北陸の北日本で35~40%と高く、他の6社は20%程度。中国電力、東京電力は近年は15%程度と低い。
平成21年度 各社の水力発電・月別設備利用率
平成22年度 各社の水力発電・月別設備利用率
(クリックで大きく見られます)
月別の水力発電設備利用率を見てみると、北日本3社は、春から夏にかけて設備利用率が高く、秋から冬が低くなっている(秋冬でも他社と比べると高い)。これは雪解けと凍結の関係か。
平成21年度は、4、5、6月は降水量が少なかったが、7、8月は各地で大雨に。冬には日本海側を中心に大雪になり、3月には顕著な多雨となった。平成22年度は前年に続いて春にかなり降水量が多く、夏も雨量が多くなった。
このように、水力発電の発電量、設備利用率は降水量に大きく左右される。地域によって設備利用率には差があり、北日本では高め、その他の地域では低い。季節変動も大きく、春から夏にかけて高く、秋から冬は低い。2005年以降では、10社合計の設備利用率は約20%となっている。
東京電力の夏場の電力供給については、設備容量を単純に足し電気は足りるとする計算も散見する。しかし、東京電力の設備利用率は2005年以降では約15%と低い。これを設備利用率100%のフル出力で計算すると、実体から大きく外れることになるので要注意。
(揚力発電についてはデータがないため、どのくらい見込めるかが不明)
*この記事に誤り等ありましたら御連絡下さい。
関連ページ
経済産業省 資源エネルギー庁 電力調査統計
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm
認可出力、発電量等の月別データ。今回の記事は、このデータを元にしています。
電気事業連合会 電力統計情報
http://www.fepc.or.jp/library/data/tokei/index.html
各電力会社から集めた電気事業に関する年度毎の統計データ。
数表でみる東京電力
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/company/annai/shiryou/report/suuhyou/index-j.html
http://www.tepco.co.jp/company/corp-com/annai/shiryou/suuhyou/pdf/suh-all-j.pdf
東京電力の設備、発電量等のデータあり
当ブログ内
再生可能エネルギーの発電量はどのくらい? 設備容量と設備利用率について
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/59744c907c59d5d0db00800c5318a625
勝手に風力発電講座 定格出力と設備利用率
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/a08334ada4cdae6bf1fe22356a36d648
2011/7/3更新
いよいよ夏の始まりです。今年の夏はあまり暑くなく、雨が多くなることを願っています。
皆様、体調にはくれぐれもお気をつけ下さい。
経済産業省の電力調査統計の中に、発電設備利用率という項目がある。(設備利用率についてはこちらを参照)
経済産業省・資源エネルギー庁 電力調査統計
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm
平成22年度 2-(4)発電設備利用率(一般電気事業者) xlsファイル
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/resource/h22/2-4-H22.xls
水力発電に関しては、設備利用率は80~90%と非常に高い値になっている。ただし、注釈に
水力の利用率は可能発電電力量に対する実発電電力量の比を記す。
とあり、設備容量からではなく、貯水率等から計算した値らしい。ということで実際の設備利用率を調べてみた。(元データは全て前述の経済産業省・電力調査統計)
水力発電による発電量・設備利用率の推移(一般電気事業者10社計)
(クリックで大きく見られます)
まずは、一般電気事業者10社(実際は沖縄電力は水力発電がないため、9社)の各年の水力発電による発電量と設備利用率。総発電量は、年により大きく変動がある。特に1994年は年平均降水量比74%と大規模な渇水となった年(平成6年渇水)。降水量は2008年、2009年はほぼ平年並み。2010年は平年より多い年だった。
気象庁 日本の年平均降水量比
http://www.data.kishou.go.jp/climate/cpdinfo/temp/list/an_jpn_r.html
降水量により、発電量が変動していることが分かる。揚水発電は水力発電全体の10~15%で、割合としては小さい。設備利用率(折れ線、右目盛り)は1990年頃は約30%だったが、近年は約20%になっている。
各社の水力発電・設備利用率の推移
(クリックで大きく見られます)
電力各社の設備利用率では、大きく2つに分かれた。北海道、東北、北陸の北日本で35~40%と高く、他の6社は20%程度。中国電力、東京電力は近年は15%程度と低い。
平成21年度 各社の水力発電・月別設備利用率
平成22年度 各社の水力発電・月別設備利用率
(クリックで大きく見られます)
月別の水力発電設備利用率を見てみると、北日本3社は、春から夏にかけて設備利用率が高く、秋から冬が低くなっている(秋冬でも他社と比べると高い)。これは雪解けと凍結の関係か。
平成21年度は、4、5、6月は降水量が少なかったが、7、8月は各地で大雨に。冬には日本海側を中心に大雪になり、3月には顕著な多雨となった。平成22年度は前年に続いて春にかなり降水量が多く、夏も雨量が多くなった。
このように、水力発電の発電量、設備利用率は降水量に大きく左右される。地域によって設備利用率には差があり、北日本では高め、その他の地域では低い。季節変動も大きく、春から夏にかけて高く、秋から冬は低い。2005年以降では、10社合計の設備利用率は約20%となっている。
東京電力の夏場の電力供給については、設備容量を単純に足し電気は足りるとする計算も散見する。しかし、東京電力の設備利用率は2005年以降では約15%と低い。これを設備利用率100%のフル出力で計算すると、実体から大きく外れることになるので要注意。
(揚力発電についてはデータがないため、どのくらい見込めるかが不明)
*この記事に誤り等ありましたら御連絡下さい。
関連ページ
経済産業省 資源エネルギー庁 電力調査統計
http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm
認可出力、発電量等の月別データ。今回の記事は、このデータを元にしています。
電気事業連合会 電力統計情報
http://www.fepc.or.jp/library/data/tokei/index.html
各電力会社から集めた電気事業に関する年度毎の統計データ。
数表でみる東京電力
http://www.tepco.co.jp/corporateinfo/company/annai/shiryou/report/suuhyou/index-j.html
http://www.tepco.co.jp/company/corp-com/annai/shiryou/suuhyou/pdf/suh-all-j.pdf
東京電力の設備、発電量等のデータあり
当ブログ内
再生可能エネルギーの発電量はどのくらい? 設備容量と設備利用率について
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/59744c907c59d5d0db00800c5318a625
勝手に風力発電講座 定格出力と設備利用率
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/a08334ada4cdae6bf1fe22356a36d648
2011/7/3更新
いよいよ夏の始まりです。今年の夏はあまり暑くなく、雨が多くなることを願っています。
皆様、体調にはくれぐれもお気をつけ下さい。
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