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環境を考える
CO2排出枠、家庭から売るには 経産省など仕組み検討
ある家庭が省エネ家電で二酸化炭素(CO2)を削減した際、それを企業などに「排出枠」として売れるようにするにはどうしたらいいか。経済産業省と、電子情報技術産業協会(JEITA)など電機関連4団体がこの仕組みを作ろうと検討を始める。
朝日新聞 2011年1月9日9時42分
http://www.asahi.com/business/update/0108/TKY201101070492.html
エコポイントに代わる新たな制度を作るという動き。省エネ家電への買い換えで家庭がCO2排出量を削減できるとして、その排出枠を企業に売却。購入者にはその分払い戻すという。家庭を対象にした一種の排出量取引で、1家電当たりの排出量削減分を年間0.2~0.3トンと見積もり、10年分で2~3千円の還元を見込んでいるとのこと。
電気事業連合会によると、2009年度の発電時のCO2排出原単位は0.351kg-CO2/kWh(京都メカニズムクレジット反映後の値。実際は0.412kg/kwh)
電気事業における環境行動計画 2010年度版より
http://www.fepc.or.jp/future/warming/environment/pdf/2010.pdf
0.2トン、0.3トンの排出量削減のために必要な電気使用量の削減量を計算すると、
0.2 x 1000 kg / (0.351 kg/kwh) = 569.8kwh/年
0.3 x 1000 kg / (0.351 kg/kwh) = 854.7kwh/年
0.2トンのCO2削減のためには、年間約570kwhの電気使用量の削減が必要。電気料金を22円/kwhとすると1年間に12,540円の節約。一つの家電を買い換えるだけで、これだけの排出量、電気代の削減ができるだろうか?
テレビは使用時間が短く、またほとんどの世帯が大型商品に買い換えるため、電気使用量の削減は期待できない。2010年2月の産総研のエアコンの使用状況調査では、関東地方の家庭で4キロワットの機種の年間消費電力は253kwh(電気料金換算5566円)という結果だったので、これも不可。一番も省エネ効果が期待できそうなのは冷蔵庫だが、570kwhもの削減は難しい。
(ちなみに我が家は1997年製の310L冷蔵庫を使っていますが、年間消費電力量はカタログ値で588kWh)
この制度がこのまま実現されると、実際には排出量削減、省エネ効果がないのに、排出枠として再販できるようになってしまい、CO2排出量の正当性も疑われることになる。経済界や家電メーカーへの配慮なのだろうが、経済対策としてポイントを配る方がまだよい。
家庭のエネルギー源は電気、ガス、灯油、ガソリン等複数に渡っており、個々の家庭での実際の排出量を特定するのは難しい。電気では発電時の排出原単位の変動で排出量も変わり、電化製品の使用時間にもばらつきが大きい。家電の買換えによる排出量の変化を一律に決めるのは無理があるように思う。
とにもかくにも、経済産業省は2011年度に家電を買い替えた家庭の電力使用量を測定、省エネ家電がどの程度温室効果ガスを削減できるかを調べるとしているので、実情に即した調査結果が出ることを期待している。(しかし、7500万円の予算で100世帯以上の調査というのはどうなんでしょう?予算の割に調査対象が少なすぎるのでは?)
イメージだけの「エコ」はそろそろ終わりにして、データに基づいた、国民が納得できるような制度・政策を進めて欲しい。
追記;
表題の「CO2排出枠、家庭から売るには」という課題だと、家電製品よりも太陽光発電の自家消費分、太陽熱温水器を使う方がよいと思います(今でもできないことはない)。植栽など木の吸収分を計算するのも面白いかも?
関連ページ
エアコン:省エネ効果、過大表示 「目安電気代」使用時間の6倍で算定
http://mainichi.jp/life/ecology/archive/news/2010/08/20100816dde041040004000c.html
省エネ家電に新割引、買い替え時CO2削減分を
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20110107-00001186-yom-soci
地球温暖化:エアコンの影響、電力よりも代替フロン 産総研が分析 政府、対策強化
http://mainichi.jp/select/science/news/20101226ddm003040129000c.html
(独)産業技術総合研究所 使用実態を考慮したエアコンのLCC(pdf)
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/downloadfiles/g100726a06j02.pdf
省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」
http://shinkyusan.com/index.html
家電メーカー、家電販売店等と環境省で作った省エネ製品への買換えを促進するためのシステム。買換えによるCO2削減効果やランニングコスト低減効果等を簡単に把握できるとしているが、省エネ、節約効果は過剰に出ている模様(特にエアコン)
環境省:ひと目でわかるCO2削減効果!省エネ製品買換ナビゲーション「しんきゅうさん」
試行版公開のお知らせ
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=10512
省エネ性能かさ上げ、エアコン試験見直しへ
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/71cb09b0fe16759bb948e3976d90e029
エアコンでの暖房は省エネか?
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/4aa42c2460d8fec42d15c9de145af515
2011/1/14更新 旧歴12月11日
二十四節気では小寒の頃ですが、今年は本当に寒い日が続いています。
明日からセンター試験ですね。受験生の皆様、寒さに負けず頑張って下さい!
朝日新聞 2011年1月9日9時42分
http://www.asahi.com/business/update/0108/TKY201101070492.html
エコポイントに代わる新たな制度を作るという動き。省エネ家電への買い換えで家庭がCO2排出量を削減できるとして、その排出枠を企業に売却。購入者にはその分払い戻すという。家庭を対象にした一種の排出量取引で、1家電当たりの排出量削減分を年間0.2~0.3トンと見積もり、10年分で2~3千円の還元を見込んでいるとのこと。
電気事業連合会によると、2009年度の発電時のCO2排出原単位は0.351kg-CO2/kWh(京都メカニズムクレジット反映後の値。実際は0.412kg/kwh)
電気事業における環境行動計画 2010年度版より
http://www.fepc.or.jp/future/warming/environment/pdf/2010.pdf
0.2トン、0.3トンの排出量削減のために必要な電気使用量の削減量を計算すると、
0.2 x 1000 kg / (0.351 kg/kwh) = 569.8kwh/年
0.3 x 1000 kg / (0.351 kg/kwh) = 854.7kwh/年
0.2トンのCO2削減のためには、年間約570kwhの電気使用量の削減が必要。電気料金を22円/kwhとすると1年間に12,540円の節約。一つの家電を買い換えるだけで、これだけの排出量、電気代の削減ができるだろうか?
テレビは使用時間が短く、またほとんどの世帯が大型商品に買い換えるため、電気使用量の削減は期待できない。2010年2月の産総研のエアコンの使用状況調査では、関東地方の家庭で4キロワットの機種の年間消費電力は253kwh(電気料金換算5566円)という結果だったので、これも不可。一番も省エネ効果が期待できそうなのは冷蔵庫だが、570kwhもの削減は難しい。
(ちなみに我が家は1997年製の310L冷蔵庫を使っていますが、年間消費電力量はカタログ値で588kWh)
この制度がこのまま実現されると、実際には排出量削減、省エネ効果がないのに、排出枠として再販できるようになってしまい、CO2排出量の正当性も疑われることになる。経済界や家電メーカーへの配慮なのだろうが、経済対策としてポイントを配る方がまだよい。
家庭のエネルギー源は電気、ガス、灯油、ガソリン等複数に渡っており、個々の家庭での実際の排出量を特定するのは難しい。電気では発電時の排出原単位の変動で排出量も変わり、電化製品の使用時間にもばらつきが大きい。家電の買換えによる排出量の変化を一律に決めるのは無理があるように思う。
とにもかくにも、経済産業省は2011年度に家電を買い替えた家庭の電力使用量を測定、省エネ家電がどの程度温室効果ガスを削減できるかを調べるとしているので、実情に即した調査結果が出ることを期待している。(しかし、7500万円の予算で100世帯以上の調査というのはどうなんでしょう?予算の割に調査対象が少なすぎるのでは?)
イメージだけの「エコ」はそろそろ終わりにして、データに基づいた、国民が納得できるような制度・政策を進めて欲しい。
追記;
表題の「CO2排出枠、家庭から売るには」という課題だと、家電製品よりも太陽光発電の自家消費分、太陽熱温水器を使う方がよいと思います(今でもできないことはない)。植栽など木の吸収分を計算するのも面白いかも?
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家電メーカー、家電販売店等と環境省で作った省エネ製品への買換えを促進するためのシステム。買換えによるCO2削減効果やランニングコスト低減効果等を簡単に把握できるとしているが、省エネ、節約効果は過剰に出ている模様(特にエアコン)
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http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/e/71cb09b0fe16759bb948e3976d90e029
エアコンでの暖房は省エネか?
http://blog.goo.ne.jp/fun_energy/c/4aa42c2460d8fec42d15c9de145af515
2011/1/14更新 旧歴12月11日
二十四節気では小寒の頃ですが、今年は本当に寒い日が続いています。
明日からセンター試験ですね。受験生の皆様、寒さに負けず頑張って下さい!
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