野球小僧

文武別道

高校野球でたまに話題になる「文武両道」。特に選抜大会での21世紀枠での出場校では、この文武両道が話題に上がります。決して、新沢基栄さん原作「ハイスクール!奇面組」のキャラクター「文武両道(ぶんぶ ふたみち)」のことではありません。

この文武両道という言葉は古来より最高の褒め言葉として使用されていたようです。平家物語の中には「あっぱれ、文武二道の達者かな」という言葉が出てきます。文武二道とは文武両道と同義語です。この時代の文武の文とは、和歌や書といったものを意味していることが多く、必ずしも学問に限ったものではありません。現代では勉学と運動(スポーツ)の両面に秀でた人物に対しても用いられています。

とどのつまり文武両道は昔から理想の人物像として思い描かれていたものであり、改めて言うまでもありませんが、日本人はこの文武両道が好きなのです。一芸に秀でるだけでも大変なのに、そのうえ勉強だって出来るのですから、学校ならばヒーロー・ヒロインです。でも、文武両道って本当に存在するのか? 野球ではそういうすごい人を輩出する学校って本当にあるのか? 東京大学と京都大学の合格上位10高校の、夏の甲子園の地方大会の最高戦績を調べた結果がありました。

【東京大学】
開成高 (私・東京) 169人 地方5回戦 (甲子園0回)
筑波大附駒場高 (国・東京) 102人 地方4回戦 (甲子園0回)
灘高 (私・兵庫) 94人 地方準々決勝 (甲子園0回)
麻布高 (私・東京) 94人 地方決勝 (甲子園0回)
渋谷教育学園幕張高 (私・千葉) 76人 地方5回戦 (甲子園0回)
聖光学院高 (私・神奈川) 71人 硬式野球部なし
桜蔭高 (私・東京) 59人 女子高
栄光学園高 (私・神奈川) 57人 硬式野球部なし
駒場東邦高 (私・東京) 57人 硬式野球部なし
東京学芸大附高 (国・東京) 57人 地方準々決勝 (甲子園0回)

1位は169人もの生徒を東大に送り込んだ開成高。「弱者の理論」でもお馴染みです。ほとんどの年は三回戦までで敗退していますが、2005年は4連勝して五回戦まで進んでいます。3位、兵庫県の灘高と言えば日本オリンピックの父、嘉納治五郎が創設した学校です。元祖・文武両道みたいな学校ですが、1946年、1950年と地方大会の準々決勝までが最高です。麻布高は決勝に進出したことがありますが、これは出場校数が少なくリーグ戦をしていた1927年のことです。トーナメントになってからも、1950年など準々決勝に進出しています。

結果、東大合格上位校には甲子園出場校はありませんでした。甲子園出場校での東大合格実績の最上位校は、32人を送り込んだ19位タイの筑波大附属高と、千葉県立千葉高の2校になります。ただ、筑波大附属高は東京高等師範時代の1946年、県千葉高は6回出場していますが最後は1953年となります。

【京都大学】
洛南高 (私・京都) 69人 3回戦 (甲子園0回)
東大寺学園高 (私・奈良) 65人 硬式野球部なし
大阪府立北野高 (公・大阪) 62人 地方優勝 (甲子園1回)
京都市立堀川高 (公・京都) 61人 地方準決勝 (甲子園0回)
洛星高 (私・京都) 59人 地方準決勝 (甲子園0回)
大阪星光学院高 (私・大阪) 58人 地方4回戦 (甲子園0回)
大阪府立天王寺高 (公・大阪) 57人 地方優勝 (甲子園1回)
甲陽学院高 (私・兵庫) 54人 地方優勝 (甲子園4回)
西大和学園 (私・奈良) 49人 地方3回戦 (甲子園0回)
滋賀県立膳所高 (公・滋賀) 48人 地方優勝 (甲子園2回)

京大は全国区の東大に比べれば関西ローカル色が強いです。そして公立高校が多く、甲子園に出ている高校もそこそこあります。

ただ、大阪府立北野高は1927年が最後、大阪府立天王寺高も1948年が最後の出場です。兵庫県の甲陽学院高も1938年が最後ですが、1923年には全国優勝しています。これらは半世紀以上も前のことです。最近では滋賀県の膳所高の1978年の出場です。今年、あと一歩だったのが、京都府の洛星高です。選抜21世紀枠」候補にエントリーされていました。

今年の選抜大会にも出場している大阪府の大阪桐蔭高。現役プロ野球選手の中村剛也選手、西岡剛選手、中田翔選手、浅村栄斗選手、藤浪晋太郎選手、森友哉選手などを輩出しています。なんとこの学校が2014年に46人の京大合格者を出して11位にランキングされています。

意外や意外なのですが、実際に京大生を多数輩出したのは大阪桐蔭高の進学に特化した別のコースです。野球で甲子園を目指す生徒と、勉強で東大・京大を目指す生徒を別枠で集めているのです。今、全国の多くの私立高はこういう方針に傾いています。これを文武両道と言って一くくりにしていいものかどうかは判断に苦しむところです。

現代の「文武両道」の学校は絶滅危惧種なのかもしれません。ただし、本来の意味での「文武両道」を目指している高校球児はいるに違いないです。

私の場合は「全部酷道」という感じ。 


コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。
文武両道。
実際にはなかなか出来ることじゃないですが、本当は本業あっての部活ですからね。

長野県では長野高、松本深志高、上田高などが文武両道です。勉強でも野球でも勝てない・・・???

春大がようやく始まりましたが、鳥取はもう、決勝ですね。
eco坊主
おはようございます(*Ü*)ノ"☀

文武両道・・確かによく聞きます。
当時あったのなら流行語大賞でしょうね!
当時っていつ?(笑)

私には縁のない高校ばかり並んでいますね~
我が県で文武両道といえば鳥取西高校でしょうか!
ー今日はB4の対決ですー

上記の学校も他のスポーツで文武両道しているかもしれませんね。

私の場合は「全部酷道」・・オチはそこですかぃ(笑)
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