秋の陽
浮かんでいる陽ざしを そっとはじくと 細くひかる少年は コスモスの上に腰をおろした すっ...
黄昏
飲み干した牛乳壜のように 空が柔らかくくすんで 忘れていた感傷が 扉口にそっと佇むと 淡...
冬の影
わたしの影に 冬の陽が よく似合って その日 わたしは振りむいてばかりいた 塚原将「たっ...
雪の日
海を越えた島で 椿が咲いたという その日 わたしの街は 大雪にみまわれていて わたしのこご...
予感
波がくずれる すぐ前の 伸びきった静けさを 澄んだ青い魚が よぎった あなたとの別れは こ...
雨
ああ 重い 雨はこんなに細いのに あなたが俯いたので わたしは 海を背負ってしまった ...
旅立ち
あなたが旅に出るといったときには もう あなたははるか遠いところに 風にふかれて立っている...
明るい日
背負っていることを 背負っていると感じないで すごしている日は とても明るい 背負っていな...
文庫本
文庫本を 手に持って歩くことに 恥ずかしさを感じるようになり 背広のポケットに そっとしの...
噂
わたしのまわりに はなやかな噂がながれた 微笑するはずの 少女の瞳は もの哀しくゆれたので...
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