彷徨者のネット小説レビュー

ネット小説サイト「Arcadia」や「ハーメルン」をメインに、あちこちで見かけたネット小説をレビューするブログです。

ケティ・ド・ラ・ロッタの事も、時々思い出してあげてください

2011-12-04 18:00:00 | ゼロの使い魔

原作名:ゼロの使い魔
作者:灰色
終更新日:2011年11月6日 2012年11月4日
評価:B
サイト:Arcadia
    http://www.mai-net.net/bbs/sst/sst.php?act=dump&cate=all&all=7277&n

[あらすじ]
 アメリカに観光旅行中、突然現れた謎の巨大爬虫類に食い殺されてしまった武器オタクの大学生。神様による転生もなく得た次の生は、ゼロ魔世界のラ・ロッタ家の十二女ケティ。
 このラ・ロッタ領、ヒト並の知性を持つ巨大スズメバチが制空権を握る陸の孤島で、外部からは魔境認定されている危険地帯。そんな風評に反して、ラ・ロッタ領の住人は領主一族も領民もおおらか。と言うか天然?
 そんな一族の血を引く主人公は、火のトライアングルと優秀。性格は武器オタクなパイロマニアで策謀家。ただし肝心の詰めで一本抜けるのがデフォ。
 頼もしくもドジ属性の付いた主人公が、原作キャラを支援したりされたり、知らずに撒いた種が勝手に育って足元をすくわれたり。そんな物語。

[文章]
 主人公視点一人称。主人公不在の時は三人称と、場面展開に無理がなくて読み易い。
 各話の文章量もそれなりにあり、読み応えもある。

[総評]
 シリアス少なめの微ギャグ物。
 主人公TS。とは言え、百合ハーレムを求める流れはなく、異性に片想いもするので、TS嫌いの人でも抵抗感は少ないと思う。主人公の語りが「~なのです」と独特で、最初のとっつき難さを克服するのが前提。
 正直、何と表現すれば良いか悩む作品。
 少なくともアンチではない。原作キャラとは良い友人関係だし、状況改善のための知恵を出すし、手も出す。ただ、実家の領地を豊かにしようと色々と深慮遠望した結果が、予想外の彼方から別の形で主人公に戻ってくるだけで。
 内政物……と言えなくもない。主人公が幼少の頃に書いた思想書は、各国貴族の間で愛読されている模様。『場違いな工芸品』のレプリカの製造販売も行っているようだが、それでどこかの勢力が優位に立っている訳ではない。三圃作などの農業改革はない。
 暗躍物? 戦記物? どちらでもない。色々と裏でこそこそしているのだけれど、暗躍に付きものの後ろ暗さはない。むしろ軽い。
 『場違いな工芸品』の銃器を暖炉に飾り、それを眺めつつワインをちびちび舐めてニヤニヤするのが好きな主人公の、ゼロ魔世界での活躍の物語。



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