イタリアの泉

今は日本にいますが、在イタリア10年の経験を生かして、イタリア美術を中心に更新中。

文化財を保護する為の秘策!?-Firenze Card

2011年01月14日 06時20分54秒 | イタリア・文化

たまにはまじめな話を・・・
でないと私毎日遊び呆けているみたい・・・まぁそれも事実ですが。

朝のニュースでSindacoがRomaに行くと聞いていた。
理由は大体想像していたけど、夜のニュースを聞いて、とても興味がある話だったので詳しく調べた。
(その割には適当でごめんなさい)

国の財政が厳しい中、2011年元旦からRomaの観光税が導入された話は記憶に新しいと思う。
ホテルのランク別に1~3€の観光税、国立の一部美術館・博物館でRoma市民以外は1€多く払わなくてはならない。
ただ、観光が大きな収入源のこの国、この観光税だけで80milioni di euro、つまり8000万€(日本円だとほぼ9億!?計算合ってる?)の
収入が見込まれ、この収入は財政難を抱えた市の大きな財源になる。
この税金によって「Romaをきれいな街にする。」というのが理由。
果たしてどうなることかは、12月見てみましょう。
そして、Romaと同じく観光税の導入を唱えていたFirenze。
RenziがSindacoに就任した時から、"Firenzeテーマパーク計画"と呼ばれ、市内入場料、つまるところ観光税の導入が叫ばれていた。
しかしこちらには許可が下りなかった。

で、その件でSindacoは今日Romaに行ったのかと思っていたら、話はもっとこんがらがっているような、もっと単純なような・・・
とにかく私が理解した範囲でかいつまんでお話しすると以下のようなことになる。

要はこちら。
Firenze Card(フィレンツェ カード)なるものの導入(果たしていつからなのかな?)
これ、50€72時間(3日間)Firenze市内(多分近郊も含むと思うけど)すべての国立、市立美術館、博物館などに入れる。
更に並ばなくていい。(但しこれはチケットを買うためには並ばなくていいというだけで、入場制限は有るんじゃないのかなぁ???)
個人的にはこれ、決してお得ではないと思う。
なぜなら、現在Firenze市内の美術館博物館の入場料は平均6~8€、特別展をやっていても10€。
3日間1日2箇所周って6箇所・・・あれ?これじゃあ元取れないじゃん。
えっ、8箇所周らないとだめ?3日で8箇所周る?・・・それはちょっと無理じゃない?
ということで全然お買い得じゃないじゃん。
先日行ってきたベルリンも同じく3日券を出していて、こちら60の施設を見られて19€だった。
私1日で元取ったけど。(特に学割だったのですぐ元は取れた。)
それに引き換え、こちらは施設だって30数箇所だっていうし・・・
確かに、片や1国の首都です。都市の規模も違います、比べるのが間違っているかもしれないけど・・・
日本人観光客は?と考えれば、よほど時間が有る人しか買わないだろうなぁ、他に何か特典があるなら別だけど・・・どうですかねぇ?

さて、このFirenze Cardの収入大きな目的はもちろん"文化財の保護"
街全体が文化財ですから、当然街の保護につながる。
その中でも最優先がUffizi。ということで2011~13年までの3年間収入の15~20%は現在拡張工事が難航している"Grandi Uffizi"計画に
他の優先事項として
1、"Parco della Musica e della cultura"「音楽と文化の公園」(訳すとダサい)、
2、Polo Teatrale "Pergola-Niccolini"(ペルゴラーニッコリーニ劇場)

1、こちらも去年ちょっとした事件になっていたのだが、Casine地区に出来た新しい劇場。実はここ磯崎新氏の建築。
一応今年の12月21日杮落としとなっているけど???こちら暗礁に乗り上げてます。
そして2・・・こちらも理由は同じ。
Il Teatro della Pergola è uno dei più antichi e ricchi di storia di tutta Italia.
(イタリア国内でも最も古く歴史のある劇場の一つ)
それなのに・・・こちらも火の車。
ここだけではなく、市の歌劇団であるMaggio fiorentinoの経営難など、Firenzeの文化という文化はみんな風前の灯(言いすぎかな?)
こんなこと言いたくはないけど、"武士は食わねど高楊枝"というわけには行きません、格好つけている場合じゃない
文化財を守るためにお金が必要なんです!
って私はこう理解したんだけど合ってるかな?
確認したい人はこちらのMinistero per i beni culturaliのサイトをご覧になって、私の間違いを指摘していただけると幸いです。

ということで、この大切な文化遺産を守る為に、自分が出来ることって何なんだろう???と
protocollo(プロトコル)を斜め読みしながら、なんとなく気分が重くなった私でした。
それに加えて、この約定の取り決めの影に、色々な政治の思惑が見え隠れしているのが気になるんだよなぁ・・・



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2 コメント

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それなりの事情が… (きりぴぃ)
2012-04-29 16:12:14
文化財は政治の道具、というのが欧州の伝統なのでしょうか・・・イタリアはこれを巧みに利用して近代社会においても先進国の地位を確保したのですね。

イタリアは文化財が豊富にあって、豊富にあるがゆえに資金をどこに重点配分するかでもめると思いますし(誰だって自分たちの物が一番価値があると主張すると思います)

それから文化財の現状保存の必要性から開発に複雑な手続きを要する場合も少なくなく投資も鈍り、それが原因で経済の発展が他の先進国に比べて遅れそれも一因となって保存のための十分な資金が得られない・・・ということであれば、

『それなら富裕な外国から来た観光客に少し痛い思いをしてもらわねば』

と思うのも無理はないような気がします。

それが歴史の重みを背負う国に生きる厳しさなのですね。
厳しいです (fontana)
2012-05-01 18:26:28
きりぴぃさん
コメントありがとうございます。
古い記事なので、自分でも何を書いたのか忘れていました。(-_-;)
現在状況は更に悪化しています。自国で国を支えていけないイタリア、この先どうなるのでしょうか???例えばレオナルドやミケランジェロの作品を売って生き延びるというような過激な意見もないことはないんです。しかし、それを始めたらもうイタリアはイタリアでなくなります!歴史の重み…まさにそれに押しつぶされている感じです。

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