ピアニスト藤木明美のブログ No.2

異色のピアニスト藤木明美が、音楽を通しての日々を綴ります。

樹原涼子著 ピアノランド・スケール・モード・アルペジオ

2016-09-28 10:37:38 | 日記
今日は、樹原涼子さんのピアノランド・スケール・モード・アルペジオの新刊発売記念セミナーに行ってきました。


この教則本は 画期的かつ実に高度な内容です。
この高度な内容が、子どもたちにはすんなり吸収されるのだから凄いことですね。


これまで、スケールとアルペジオの教則本といえば、多くの人がハノンを使ってきたと思います。
ピアノを習ったことのある人なら「ああ、ハノン私もやりましたよ。面白くない指の練習」と即答する方も多いでしょう。
私も子供の頃はそうでした。今になって、ハノンの意図を知るようになりましたが。

音楽には24個の調があります。
ピアノを習った人は、そのスケールとカデンツァ、アルペジオをハノンを使って練習して身体に覚えこませてきたわけですが、
実はそれがどんな仕組みになっているのかは、ピアノの先生でも考えてない人が多いのではないでしょうか。

この本は、その仕組みを解き明かすばかりでなく、さらにその魅力を伝えると言う画期的な教則本なんです!
サイトはこちら

何しろ今日の発見は、音楽家樹原涼子さんの頭の中がどうなっているのかが、よく伝わってきたことでした。
樹原さんは、ご自身の得ている膨大な音楽の情報を、頭の中できちんと区分けして、
皆さんがわかるように、丁寧に取りこぼしがないように再構築しておられるのだと思います。
これって、すご技の分析力で、誰にでもできることではありません。


おかげで、私の頭の中も整理されていきました。
これまで、無意識に使っていたことが意識に入ってきて、
頭の中に散らかっていた音楽の構造の情報が整理された感覚になりました。


音楽は生まれながらにしてあるものなので、無意識に知っていて使っていることが膨大にあります。
特にピアノが弾けると、指の運動機能と音感が一致していたりするので、
指を動かすと頭で複数の音が鳴ります。
つまり、思考したり、おしゃべりするのと同じように、自然に無意識に勝手に音が出てくるわけです。

でも、そこには、神秘的な仕組みと理由がある。
その情報量は膨大です。それを、分析して、一冊の本にまとめたというのは、
言語を音階に置き換えた、国語学者やジャーナリストのような才能だと思いました。



そして、樹原涼子さんの最新の教則本として、音楽をやる方に是非、一読頂きたいのが、
耳を開く『聴きとり術』コード編です
こちら

この本は、本当によく出来ています。私もこの本のおかげで、コード、和声のことが頭の中でスッキリしました。

コードは、ジャズからのアプローチとクラシックからのアプローチがあり、両者では大分異なります。
私もジャズ理論を少しばかり勉強しましたが、覚えにくいというか、
音楽から脳が離れるというか、
左脳が働きすぎて
自分にフィットしない部分がありました。

逆にクラシックからアプローチすると、
これはまた、言語の脳が働きすぎて、無駄が多い感覚になります。

この両面をうまく統合したのが、『聴きとり術』と言えるでしょう。
しかも、子どものレッスン教材として書かれているので、
幼児から使うことができます。


自分が知り得ていることを全て、頭の中でカテゴリー分けして、
丁寧にわかりやすく、しかも音楽的に感じるように、
一冊の本にまとめていく能力は、
樹原涼子さんにしかないオリジナリティだと思いますが、
そこに、「心」が感じられることが、
何より特筆すべき才能と思っています。
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