もう1つの感性の本棚

書くことを仕事にしている者として、日常をどのような感性で掬い取るか。

街の縁取り28~料亭という文化

2006-10-01 15:11:25 | 街の縁取り
 新潟市は近世以降、日本海側における最大の港町という出自もあって人とモノが集積した結果、おカネを落とす文化という歴史を生み育んできた。
 具体的には料亭である。
 おカネをふんだんに使って旨いものを、芸妓の踊りに彩られながら愉しむ。
 接待というと光と影が伴うが、人を贅沢な空間でもてなすという「無駄」を醸成してきた歴史は否定してしまえない。町自体の歴史とかなりの部分で重なり合って大きな存在感を持っている。

 東京で言えば赤坂などに該当する「古町」というのは、全国的にも確立されたブランドではあるが、バブル景気崩壊後のここ10数年来、それを維持するのはかなり困難になっているようだ。
 一番の理由は、そこにおカネを落とすスポンサーが絶えつつあることだ。

 新潟は支店経済と言われ、東京との結び付きが深く、一部上場の大手企業の出先が集まっている。
 以前であれば、それなりのポジションで着任した人たちは、古町を経験して東京に帰任して行ったというが、会社払いで遊ぶ時代ではなくなった。
 お役所も同様だ。役所間、企業からの接待が絶えた。
 接待という遊ぶ機会自体が減ったことで、その時空間に触れるスポンサーも絶えつつある。

 料亭も芸妓も、一般向けの敷居を低くする努力を始めている。
 写真は、新潟随一の料亭の一室。ある日の昼ごはんを家人と一緒にここで頂いた。料金は明確で1万5500円の懐石コース。
 ビールを2本程呑み、サービス料込みで計3万6000円程。まあ贅沢ではあるが、早いうちに行ってみようと思い切った。
 対価に見合う内容だったかどうかと言うと、高くはないという印象だ。
 料理内容だけを切り離すことは出来ない。空間との調和、流れる時間との総合評価として。

 自分に通うような財力はないが、また行ってみたいとは思った。
 それが観光気分なのか、日常の延長線上にある気持ちなのかは分からない。
 多分、東京における赤坂に距離感があるのに対し、新潟における古町にそれほどないためと思う。町・街に占める存在感の大きさが東京と比べ、段違いということもある。
 分かりづらい言い方だったかも知れないが、結局、居心地が良いってことに尽きるか。 

 なお、夜は芸妓を呼んで遊んで1人3万円から、というのが相場らしい。

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