ファミリー メンタル クリニック

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要するにひとりごと・・・

U市教育委員会は何を考えているのかわかんない

2008年02月18日 | 児童精神医学
先々週あたりから、U市小学校に通う子の父母から電話がひっきりなしにかかってくる。
今週いっぱいで特別支援教育ヘルパー申請のため診断書が必要なので、いそいで作成して欲しいと。
また、予約もなしに小児科一般の診断書のようにすぐに書いてもらえると思っているのか、直接来院する人もいる。窓口で、すぐに診断書は作成できませんと断ることもある。
更に困るのは、U市作成のリストに当院が載っていたから電話しているのに何故診察しないんだと怒鳴る人さえいる。
U市が無断で作ったリストだ。

いつぞや、ある養護学校から関連医療機関とリストに載せて良いですかと言われたので、丁重にお断りした。(無関係医療機関と書いてくれるなら良いですと、答えたかったけど(笑)
その手のリストに掲載依頼がある時はだいたい断っている。リストが今回のように一人歩きするからだ。

話しはいつも述べていることだけど、ADHDの診断をするときに除外すべき診断項目というのがある。先日の講義でも学校への皮肉として紹介した。除外すべき診断は30程ある。
鉛中毒、てんかん、脳炎、脳腫瘍、うつ病、統合失調症、天才児、被虐待児童 etc 
医学的にはこれらの病気でない事を確認した上で診断することになる。(原理原則上は)
教師はそんなこと分かっているのだろうか。
検査だけで2ヶ月以上かかり、10万円ほど親は支払うことになるだろう。

文部省が発達障害は中枢神経系の機能不全と厚生省すら自分たちで定義してないことを(何を意図したか分からないが)表に出したせいなのだろうか。
ADHDという診断が必要なのか、特別支援が必要なのか 別の次元で考えるべきだろう。
教師が毎日授業を教え、細かく見ると診断はどうあれ、特別支援が必要な児童は分かるはずだ。担任がひとりで見て分からなければ複数で行動を評価すればよい。

最低でもIQ検査と、発達に関する詳細な問診が必要で、数時間はかかる。
医師も心理士も限られたクリニックで1日で診断することは不可能だ。

本当にこんなことが続くと教師も教育委員会も自分たちの認知検査を先にすべきだと思ってしまう。

特別支援教育は厚生省でなく文部省が言い出したことなんだから、教育行政で全て出来るくらいの予算をつけて欲しい。

道路財源から投入しても良いんじゃない と素人は思ったりする。

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1 Comments

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行政の壁・保護者の壁 (アルト)
2008-02-24 23:16:30
 中にはもちろん、「発達障害って何それ」みたいな力量も現代教育界の常識もない教師もいますけどね。
それよりも、実際に現場で子どもに面を接している教師の「この子には特別支援学級入級か、支援員をつけるかが必要」との意見だけでは、人的措置・財源処置を認めたがらないのが行政です。自治体によって違うのかも知れませんが、医師による診断書を求めているおおもとは行政です。行政の壁。

 それから、担任、特別支援コーディネーター、校長などがそういう必要性を話しても、我が子の障害を認めたがらない=そのまま普通学級で、と言い続けて卒業していくケースもあります。両親の一方が納得していても一方が頑として譲らない場合、教師・学校が家庭不和に突っ込んでまで説得って、無理な場合が。ここで保護者の壁。
 保護者の中には教師風情に診断(ホントは違うんですけど)なんかできるもんか、障害児呼ばわりするのか、と思っていて。

 そのはざまに診断書の問題があって、なかまたさんが書いておられる「そんなに簡単に診断書が書けるわけがない」はもちろんその通りだし、知っておくべき事なんですが、教師側に「何らかの特別支援をつけてやりたい。欲しい」という思いがあっても……という背景が存在することがあるんです。
 このへん、各都道府県や地方自治体でいろいろ事情の違いはありそうですが。
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