ファミリー メンタル クリニック

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何でも発達障害?

2010年11月11日 | 児童精神医学
教師から、発達障害の可能性があるからと受診を勧められ、来院する子は少なくない。
発達障害という言葉は直接使われずに、婉曲的に伝えられることが多いけど。

時に、熱心な教師やカウンセラーが発達障害チェックリストで診断的なことをされている場合もある。
もちろん、ありがたいことに違いはない。
しかしチェックリストはチェックリストでしかない。

ただ診断のためには、小学校低学年以前の情報が欲しい。
そこは、教師には分からないので、保護者に聞くことになる。

発達障害の診断は、難しい点がある。
特にコミュニケーションに問題がある場合は。
教科書のようにクリアカットにいかない。
親も周りも気づかないこともある。


緘黙
アスペルガー症候群の可能性もあるし、かつての神経症の範疇かもしれない。

人前で緊張が強い。
アスペルガー症候群の可能性もあるし、社会不安障害かもしれない。

情緒が不安定
アスペルガー症候群の可能性もあるし、学校での人間関係の延長かもしれない。
PTSD的な場合もある。

こう見えても、色々と考えて診ている。
しかし、誤解されるかもしれないが、「ヒステリー」が疑わしい子がいる。
説明が難しいが、母親・治療者・本児童をめぐる治療構造に表出される転移関係から診断する。
ここからみられるのはラカン派のディスクールで言うヒステリーだ。

学校でサポートしている専門家は発達障害を疑い、ことあるたびに、このクリニックでは検査はしないのか?と保護者に伝えている様子。
更に、学校で起きている問題を専門家は、レポートにして、クリニックに届ける。
初診時の問診で、何が問題かを問う。
専門家はこれに書いてありますと、レポートを指す。
この、治療者もヒステリーのディスクールにある。本人は気づいてないだろうが。
我々治療者は、学校関係者も治療するスタンスに立たないといけないのだろうか。トホホ。


親も、心因で物事を解釈する。
症状である事を否認する。
学校での問題行動も、専門家からは伝えられてない。
ナイーブに子どもが傷つくからと。

診断はどうか迷うが、診断よりも学校で困っていることは学校で考えて、
保護者に伝えて欲しい。教師ではないかもしれないが、校内でカウンセリングをしているのであれば。


教師は学校のことを優先して欲しい。
診断に迷うのに、検察のストーリーじゃあるまいし、発達障害ありきでストーリーを展開すると、なんでもかんでも発達障害にみえるかもしれない。

仮に、発達障害と診断書を出す、出さないでそんなに対応に差が出るものなのだろうか?

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