ファミリー メンタル クリニック

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要するにひとりごと・・・

難治性うつ病の講義が続くのだ

2011年07月26日 | 精神保健・医療行政
最近の研究会や講演会では 難治性うつ病や双極性気分障害がテーマになることが多い。

難治性うつ病と思われる中には、「双極性」うつ病が含まれるので要注意。これが最近の落としどころ。
まあ、双極性うつ病という言葉になかなか馴染まないけど。

難治性うつ病の定義も薬物への反応性で定義する学派もいれば、
要するに臨床的にうつ病が治療してもなかなか良くならないことを指す者もいる。

なので、非定型うつ病の概念や ディスチミア親和型うつ病 未熟型うつ病とか 様々な概念が講師のスライドで乱立することもある。
より生物学的な精神医学から出た概念や、臨床経過を追っているドイツ流の考え方、精神病理学的なとらえかた・・・・
と聴く側がどの立場の精神科医がどのような視点から話しているかに注意しながら聴かないと訳分からなくなる。

また最近は うつ病という病名は結構世間に知れ渡っている。
真面目で責任感が強い人がうつ病になると思ったら、他人に攻撃的で無責任な人もうつ病になるんですか?
と、外来診療中に唐突に一般的な質問をされた。
すろどい! 日本中の精神科医が悩まされている議論のポイントつかれた・・・・

先日のシンポジウムに参加したが、野村総一郎先生の話で良かったのは、まだ未解決の分野があり、それを難治性と呼んでいる可能性に言及していたことだ。
治験も抗うつ薬とプラセボと差がないという報告もあるが、そもそも治験の時点で自殺の危険性がない患者さんを選ぶ時点で、薬物の効果を判断することが困難となる。
急性期で自殺念慮のないうつ病患者さんはどれだけいるだろう。

結果よりも前提条件に目を配る必要がある。
そもそも原因なのか結果なのか分からないことさえあるし。

また、議論が好きな人はいるもので、難治性の定義をしないことには・・・・と話を蒸し返す(失礼、正統な議論かもしれないのだけど)
要は、目の前にいる うつ病患者さんを治療するがなかなか改善しないときに、精神科医のあなたはどうしますか?という問いから始めるべきなのだろう。
このように話を蒸し返す参加者は何を考えているのだろうか? と周りが考えていることが分からないのかもしれない。
他にも色んな無意識的な構造が見え隠れしているかもしれないが。

あなたのその発想が難治かな・・・・なんてグチも云いたくなる今日この頃です。

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