ファミリー メンタル クリニック

児童精神医学,サッカー,時にテレビや映画、Macのネタ。
要するにひとりごと・・・

結果としてのネグレクトは多いだろう

2010年08月01日 | 児童精神医学
入門講座で扱うかどうか毎年悩むのが、児童虐待。虐待自体は精神医学的な診断ではないが、虐待の結果色々な精神症状と生活上の問題が生じる。
しかし、一般的な精神医学が分かった上でないと理解と対応は難しい。
かつてのように、虐待する親を極悪非道な人物として非難しても何も解決しないどころか虐待の問題に対応できない。

今回、大阪の事件で児相の対応がどうだったのかとマスコミは騒ぐのだろう。
たまたまだろうが、虐待関連のニュースが3つほど続いた。

虐待、特にネグレクトは定義が難しく、発見も遅れる。
別に子どもを殴る蹴る訳ではないが、今回の様に究極のネグレクトは置いてけぼりにして、子どもが衰弱死する。

結婚や家族の形態が変化しているが、相変わらずマスコミは家族の平均像を両親プラス子ども二人と捉えている。
母子世帯父子世帯が増加していても。

更に、夜に仕事をしている母親の場合寝ているから大丈夫だと、幼い子が家で子どもだけでいることが多い。

アメリカの、ある州では12歳未満の子が8時間以上子どもだけでいると、それ自体で虐待とみなされる。近所から通報される。
ドラマでベビーシッターが登場する理由のひとつだ。

夜に仕事をしないでも、母子世帯で生活できる様な社会の構築を考えずに、児童相談所を責めている様な思考停止マスコミで良いのか?

どれだけ幼い子が虐待で死亡しても、この国は動かない。
一方で児童相談所を責めながら、コウノトリのゆりかごのように、本気で乳児の命を守るシステムは赤ちゃんポストと揶揄する。
今回の事件も、実際に子どもを育てることを放棄しているし、離婚の際に経済的に子どもを育てることが出来るかどうかは、計算上可能かどうか考えたことだろう。
お腹を痛めて産んだ子だから・・・という理屈は分かるが、実際にこの現実の中で子どもを育てていけないことは悪いことではなく、子どもを養護施設に入所させることは、育児放棄の結果、子どもが死ぬことに比べれると人道的な行為である。
夢や希望や世間体で無理するよりも子どもの命を先に考えるべきだ。
幻想だけで子どもを育てることは出来ない。

児童虐待の実態を新聞雑誌テレビは報道する割に本気度が感じられない。
虐待と社会構造、自殺と社会構造は政権与党民主党が本気で考えないといけない課題のはずだ。

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