NPO神奈川県日本ユーラシア協会 日本とユーラシア~ダイジェスト版~

神奈川県日本ユーラシア協会で毎月発行している機関紙「日本とユーラシア」から、ユーラシア芸能情報をお伝えします。

ユーラシア音楽芸能情報'12.11

2012-11-15 00:00:00 | ユーラシア芸能
 ロシアと近隣諸国の音楽を中心とした芸能情報を紹介するコーナー「ユーラシア音楽芸能情報」を発信中!(^_^)v


ユーラシア圏でのLGBTアーティスト事情 (2)


 現代音楽界をばかり取り上げている本コーナーであるが、今回は古典音楽界へ目を向けてみたい。

 繊細かつ叙情的。あらゆる弱いものに対し深い愛情を注ぎ、その底知れぬ愛情を作品に表わしてきた、リズムと旋律の魔術師。このため世界中に多くのファンがいる、ロシアを代表する偉大な音楽家、チャイコフスキー。存命時に多くの名作を世に残したとして世界中に知られているが、彼もまた両性愛者であったらしい。彼のプライベート問題は、肯定派・否定派・擁護派・正教派などによりいろいろな解釈がなされ、現在曖昧模糊になっている。

 幼少から音楽の才能はあったが両親の意向により、彼が10歳のときサンクトペテルブルクの法律学校の寄宿生となった。男子ばかりの寄宿舎では、多感な年頃であるゆえに同性間の無邪気な戯れもあり、そこで嗜好が芽吹いたそうだ。同じ寄宿で知り合った親友で詩人のアプフチンと共にその後も、サンクトペテルブルクのゲイサークルへ出入りしていたと記した著書もある。他にも彼が勤めた音楽院でも師弟を超えた関係が仄めかされたり、海外公演時は同棲関係にあった甥と情熱的な恋文をやりとりしていたという資料もある。

 だが、異性と交際したことも数時期あった。青年期にオペラ女性歌手と恋に堕ち婚約までこぎ着けたが、バリトン歌手のところへ嫁いでしまい破局。実年期には「結婚してくれなければ、僕は人生を終わりにする」と、元音楽院生で8歳年下の女性と結婚したが、性格・価値観の不一致で僅か数週間で離婚。このような挫折で、嗜好に身をより委ねやすくなったのではなかろうか。それとも嗜好を隠すための偽装だったのか。

 もちろん彼の存命時はロシア帝国時代であり、国教はロシア正教である。ロシア正教を含むキリスト教系およびユダヤ教は旧約聖書を教義としており、その中の正典「創世記」には、本特集2号目に登場した「ソドムとゴモラの滅亡」が記載されている。滅亡の原因とされた「男色」を徹底的に嫌うロシア正教だが、嗜好をひた隠ししながら、聖歌も制作した(※)チャイコフスキーは、どのような気持ちで取り組んだのだろうか。

※ロシア正教会の事前許可得ずに制作したものだから、裁判沙汰になったそうだ。


▼ピアノ協奏曲第1番 指揮 G.Karajan/ピアノ演奏 E.Kisin/オーケストラ Berlin Filharmony



▼白鳥の湖 マリンスキー劇場



▼くるみ割り人形 マリンスキー劇場


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