もう20年程前になりますが不思議な事がありました。これは政府が公表している統計などを見ていただいても良く分かる現象です。それは年齢別の人口統計です。私たちが小学生の頃社会科の時間に見せられたのは三角形のピラミッド形のものでした。先進国のヨーロッパ諸国は若年層の人口が少なく釣鐘状の形をしていて、当時の先生は「だから日本はこれから伸びるんです」と誇らしげに私たちに教授したもんです。
さてその年齢別人口構成表です。よーく見るとある年代で微妙にへこんでいます。現在(2006年度)で21歳から19歳くらいの人口がその前後より少ないのです。これは男女の違いは無く減少しているようです。確かに大雑把な表ですからかなり気を付けなければ見逃してしまう程度です。しかしその数は自然な人口の増減の枠からは大きくはみ出ていました。2万人から3万人の出生数が明らかに少ないのです。
当時の内閣府でもこの異常現象は議題に上がりました。しかしあまり声を大にしてアナウンスするのも微妙な数字でしたし、特にまだ当時は今ほどオープンにできる内容ではなかったらしい。実際、その人口の落ち込みは暫くすると回復し極自然なカーブを描き出したから当時の役人たちは胸をなでおろしたそうです。
政府の上層部でも色々な原因の調査は行われました。セックスレス夫婦なんてここ十年以内の言葉です。当時は思いも付かない夫婦関係でしたから。そこで最もその理由に相応しいものとして取り上げられたのが、あのチェルノブイル原発の事故です。今更解説するまでも無く人類史上最悪の事故です。周辺の地域は未だに放射能の恐怖に晒されています。
放射能を含む空気が偏西風やジェット気流に乗り我国まで影響を及ぼしたのか?その可能性を探るためにわざわざアメリカのCIAに調査協力を依頼したくらいです。しかしその結果はNOでした。同じ時期の韓国や台湾、東南アジア諸国にはそんな現象は現れていませんでした。中国と北朝鮮は当然不明です。調査結果はやはり日本独特のものでした。
そんな中全国の産婦人科医からのアンケート調査が目を引きました。それは家族計画についての相談が急に増えた事でした。その増えた分の殆どは男性側に原因がありました。簡単に言えばインポテンツです。子宝を求める夫婦は多くいますし実に自然なことです。しかし子作りの基本である男性自身の性欲の減退は大きな障害に違いありません。当時の厚生省の若手役人だった加藤嵩氏はこの点に注目しました。そしてその原因の究明と解決に奔走する事になったのです。
たまに風邪を引いて医院に行くと「EDは恥ずかしいことではありません」とポスターが貼られています。最近は男性のインポテンツをEDと言います。今の時代はこれも治療の対象になっています。これも加藤氏の働きのおかげです。それまでなら恥ずかしくて他人には言えなかった事を役所が自ら応援しますと言い放ったのです。実際に、誰にも言えなかったこの深刻な問題を医療機関に相談する件数は年毎に増えていったそうです。
目下の日本の人口減少は確実に進行しており彼の活躍も「蟷螂の斧」だったかもしれません。しかし彼の直感と行動力のおかげで当時の不自然な人口減少カーブは修正されたのは間違いありません。日本国民全員が彼に感謝すべきと考えます。
ところでその肝心の原因です。まず日本だけの特殊な現象だったこと。そして当時だけの不思議な流行を考察してみて、そこに病根を見つける事ができました。日本経済はバブルの絶頂期にあり様々な妙なものが流行っていました。そもそもバブル現象に対する明確な解説はあまり見たことがありませんが、簡単に言えばあれは局地的なマッチポンプ現象なんです。だから対外的な価値とのズレが限界に達したのがバブル崩壊なんです。東海大地震の原理と同じですね。
すみません、話が横道にそれました。要は世界には通用しない日本独特の流行が原因です。当時、クルマの世界で妙にヘラベッタく居住性の最悪のモデルが売れまくりました。その名前はカリーナED。調べてみると性欲が減退しインポテンツになった男性の97パーセントはこのクルマのオーナーだったそうです。やはりその名前が悪かったとしか言いようがありませんね・・・

私事ですが、当時関西に向けて長距離高速を走ってると前から来るのも前後を走るクルマもどいつもこいつも白のカリーナEDと言う事がありました。その時の驚きと気味悪さをちょっと悪ふざけしました。何にしても流行りに背を向けたくなるヒネクレ者ですね。


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