空の音色

poetry

お知らせ

2007-04-27 | ほか
お友達のyuutoくんのブログにて、櫻祭り開催中です。
私も参加させていただいております。

皆様是非お立ち寄りください。

櫻祭り企画ブログ 櫻の日


2007-04-15 | 


ひらり
ひらり
花びらが

風に抱かれて
宙を舞う



薄桃色の
ため息が

空に吸われて
遠くなる





桜よさくら
散る桜

可憐な命の
その名残り

踏まないように
歩きましょう




足下見ながら
そろそろと

こころでそっと
手を
合わせ






川原の春

2007-04-15 | 


水色の空と 
菜の花の黄色
口づけかわす
春の午後


水色黄色が
とけあえば
まばゆい緑が
生まれ出る



ゆんわり微笑む
この土手に
次の季節が隠れてる


ゆんわり微笑む
この土手で
胸ときめかせて
いるのだね






遠い翼

2007-04-15 | いたみ


私の言葉には羽根がついている
薄く透けた
ふれるとすぐに消えてしまうような
もろい羽根がついている


私の言葉はふわふわと
ただあてどなく漂っている
はかない命は
蜻蛉のようだ


遠くには行けない
私の言葉たち





あなたの言葉には翼が生えている
大きくて丈夫で
しなやかでまっすぐな
強い翼が生えている


あなたの言葉は
羽ばたきをやめない
風を起こし
砂塵をまき散らしながら
鳥のように遙かな
大空を目指す


永遠を追いかける
あなたの言葉たち





私はあなたを追えなかった
私はここで震えるばかりだった
なんの力も持たない私の言葉は
ただあなたを真似てみるだけ


遠くなる翼の影を
見送ることしか
できないでいたのだ






れんげ畑

2007-04-15 | ゆびさきの森


れんげ畑が遠くまで
続いているのが見えました


ぺたんと座って
長いこと
首飾りをこさえた日


草の緑が染みてゆき
おしりも冷たくなったけど

母さん呼んでも帰りません





れんげ畑が遠くまで
続いているのが見えました


そっとたどれば
そのどこか
おかっぱ頭がゆれています


時間を忘れた少女のままの
小さな私が
まだいます






娘への手紙

2007-04-15 | ひかり


小さなおてて
まぁるいほっぺ
きゅっきゅっと笑う
あなたはだぁれ?


ふわふわうぶげ
甘いにおい
陽だまりみたいな
あなたはだぁれ?



どこから来たの?
どうして来たの?


答えはきっと
誰も知らない
神様だけが
ご存じなのね



ただ
ひとつだけ
わかっていること


私はあなたに
出会う前から
世界で一番
あなたがいとしい



あなたに会えて
うれしかったよ



生まれてくれて
ありがとう






はつ恋

2007-04-15 | 


生まれたての仔馬
咲いたばかりの野ばら
もぎたてのリンゴ
額に落ちてきた
雨の最初のひとしずくのような



驚きと戸惑いを胸に
宙を漂い
待ちこがれる朝は遠い


夜と朝の隔たりが
こんなにも苦しいものだったなんて


初めて知った私は
十二歳だった



髪型を気にして
鏡の中の自分が全ての
幻想の世界に住みつき


時計の針は狂ってばかり


だから 
焦れて時々
ふてくされたりもしたのだっけ






未来

2007-04-15 | てのひらの海


遠い日よ
哀しみよ


私は知っているのです

手のひらに握りしめていた
たくさんの未来の行方を



破り捨てられた手紙のように
散り散りと
風に乗り

土深く
海深く
空の果て
露となり


ごめんなさい
さようなら





遠い日よ
哀しみよ


手のひらに残された未来は
ささやかで
そして穏やかです


時々
ひどく泣きたいこともあるけれど


それはそれで愛すべき
私が選びとった
確かな未来の形なのです






誰も呼ばない ~十二歳のエチュード~

2007-04-15 | いたみ


計り知れないほど大きくて
手のひらに乗るほど小さい


ここが私の隠れ家



一日の大半はここで過ごし
退屈になれば時々
窓から外を眺めていた


たまに晴れた日は目を閉じて
こみ上げるぬくもりを噛みしめ


嵐が来ると
潜り込んだ

部屋の中に敷き詰めた
古い毛布を幾重にも重ねて




震えながら辺りをうかがえば
翻弄される人の群に
紛れ込んでいた私は
まだ薄い胸の少女で





時折
この部屋に入りたがる人も居るけれど
少し覗くと大抵は
そわそわと落ち着きを無くして
慌てて帰ってしまうから



もう私は誰も呼ばない



この先きっと

誰も呼ばない






おっとう

2007-04-15 | てのひらの海


しおしおにくたびれて
おっとうは酒臭い


臭い靴下も脱がないで
部屋に倒れ込む


「やってられんぞー実際」

ぼやいていたかと思えば
すぐさま高鼾だ



「ったくー!酔っぱらいめっ!!」

息を止めて私は
むれた靴下をむしり取る



百年の恋など
十年以上も昔に冷めてしまったので
私達は一つ屋根の下
共同生活を営む同士である



おっとうのぼやきと
私のぼやきが混ざり合い
長年かかって発酵して
この家の中には
すんとすえた匂いが沈んでいる
蛍光灯のちらつく部屋は
青白くて仄暗い



息がつまりそうなのは
おっとうが哀しいせいだ

息がつまりそうなのは
私が悲しがるせいだ




「腰もんでくでー 腰!」

おっとうがふいに
鼻声でおらんだので
私は仕方なく腰を揉んでやった

(三十秒だけ)





やがておっとうが
今度は本当に眠ってしまったので
私は初めて指に力を入れて
おっとうの腰を揉み始めたのだ

愛と憎しみを込めて・・・
憎しみの上に憐憫を込めて・・・
それからさらに
わすかばかりの償いの気持ちをも込めながら
私は黙って
おっとうの腰を揉んであげたのだった


(一分間だけ)






どこへ

2007-04-15 | てのひらの海


どこへ行きましたか?
あなたの今日は

明かり取りから
逃げ出した
黄色い小蠅のような



どこへ行きましたか?
あなたの昨日は

読み終えてすぐに
捨ててしまった
薄っぺらい雑誌のような



どこへ行きましたか?
あなたの明日は

水を忘れて
枯らしてしまった
ひ弱なおじぎ草のような




どこへ行きましたか?
みんな
どこへ行きましたか?


行き先も告げずに
足跡も残さずに


心細さに震えてる
迷子のあなたを
置きざりにしたままで!






母の生き方

2007-04-15 | てのひらの海


思いもしなかったことですが
母は女で
半世紀近く前には
美しい娘で


夢や憧れもあり
希望もあり
そして恋もしていたでしょう


はやりの髪型に
はやりの服を着こなし
いきいきと華やかに
日々を過ごしていたのでしょう




父と出会い
私と弟が生まれて
それから母は
女より
自分より
まず先に
妻として
母として
そうして静かにぽつぽつと
ここまで歩いてきたのでしょう




時々私は
母に申し訳ない気持ちで一杯になるのです


私は
あなたの夢にも希望にもなれませんでした
むしろ
苦しみを多く与えてきたかも知れません


小さなあなたにおぶさることで
あなたの女としての生き方も
一人の人間としての生き方も
困難にしてしまったようで
心苦しくなるのです





けれど母は
いつも静かに
遠くを見つめて笑っています


許すも許さないもない
あなたはただ
懸命に私達を愛してくれたのでした
そしてそれは
あなたにとってとても幸福な生き方だったと


私も母親になった今
そのことを
ようやく理解することが出来たのです






葉っぱの裏側

2007-04-15 | ゆびさきの森


葉っぱの裏側には
世界が隠れている


時のない 
音もない
風の吹く
白い世界



めくってごらん
探してごらん







葉っぱの裏側には
世界が隠れている


誰も知らない
透明な私


その世界では
素直なよい子ね





文字

2007-04-15 | ゆびさきの森


ノートの罫に
たどたどしくもたれかかる文字を

ひとつひとつ
拾って
つなげて



長い鎖ができた
とても長い鎖



けれどそれは弱い鎖だった
とてもとても脆い鎖



文字の鎖は
引っぱると
すぐに千切れてしまった





千切れた先端が
ゆらゆらと風に漂っている




私といっしょに
ずっと


このまま
流されていくみたいに






あたしはいま

2007-04-15 | てのひらの海


とうさんと
かあさんと
ねえさんと
あたし
よにんはとても
なかよしかぞく



あおいおそらと
やさしいかぜに
いつもつつまれてくらした



うまれたあさは
いつかよるにかわる

けれどかならず
あさはうまれた




あたしはまいにち
しあわせだったの

みんなといるだけで
ただ 
ここにいるだけで








あたしのむらに
せんそうがきて
たくさんのひとがしんでいった




あるひ
とうさんが
つれていかれて



あるひねえさんが
くさむらでしんで



あるひかあさんが
ひのなかへきえた




あたしはいま
あしのほうからもえている



あおいおそらがとおくなる




あたしももうすぐ
とおいせかいに
いくのだろう
あさもよるもうまれない
しずかなところへ
いくのだろう




いままでのひび
さようなら








かみさま
あたしとかぞくが
いたことを


どうか
わすれないでくださいね