白マムの以心伝心

タイトル「日本のこと 日本のもの」
をあらためました。
オーフェン・マムの
とりとめのない雑多なブログです。

奈良 円照寺(山村御殿)その2

2012-02-03 17:35:23 | 円照寺・興福院・正暦寺
<奈良 普門山 圓照寺>






住所 奈良市山町1312
交通 近鉄奈良駅より「山村町」行きバス
円照寺前下車徒歩5分
 ・ ・ ・ ・ ・
山号 普門山
宗派 臨済宗妙心寺派
本尊 如意輪観音
*  華道「山村御流」の家元
*  山門より先は非公開







菱形の敷石を踏み外さないように足をすすめます。










築地塀(ついじべい)には5本の定規筋(じょうぎすじ)
がみられます。
5本筋は最高格式をあらわすもです。

大伽藍があるわけではありません。
唐破風の玄関、築地塀の向うに見える
茅葺が本堂円通殿です。

茅葺の茅がずいぶん痛んでいますが、
カラスが巣の材料に抜いていくのだそうです。




<寝殿造の書院の唐破風の玄関 >
















境内に入ってみましょう。










禅寺に通じるような簡素な造りです。




<阿弥陀堂>





<鎮守様>





<本堂 円通殿>




<円通殿 扁額>





円通殿扁額の隣には
第六世門主の伏見宮文秀女王の御筆で
「みほとけの深き誓いの池水に心の月の影ぞ浮かべる」
という額がかかっています。


「奈良の寺社観光」さんより額の内容をご教示いただいた
  ことを明記します。




<向拝 天井>





豪奢・華美なところは一切ありません。
質実な美しさです。

『禅寺に通じるような簡素』なと記しましたが
禅寺は内部にはいると、襖や天井なんどに
豪奢な飾りをするものですが、この御寺は
内部にいたるまで簡素です。


本尊を安置する厨子は重厚ではあるけれど、
きらびやかなところはありません。
金色に輝く天蓋もなければ柱に極楽が描かれている
わけでもありません。

しかし、厨子の欄間の木の彫りの見事なこと。
深くうがたれ唐草の意匠。
誰彼に見せることを意識せずに、我祈りだけを
思う空間として非常に豊かです。




私にとって問題だったのは、この円照寺のご本尊さまです。



門跡寺なら法華寺さんのように
十一面観音菩薩さまがお似合いだと思って
いたのですが、こちらのご本尊は、エロス
漂う木造如意輪菩薩さまです。

8歳で得度されてつらいことは語りきれない
ほどあったはずの山本静山尼さまは、

「悲しいときもうれしいときもご本尊の観音様にだけ
そのことをお話ししてきました。
私を慰め励ましてくださった観音様。今も観音様は
私の心の母です」

とおしゃっています。


母としておすがりするには如意輪さんは?・・・
と、
首を傾げていた私は、実際に円照寺さんのご本尊の
木造如意輪観音菩薩様を拝顔して、氷解しました。

厨子のなかにおいでの如意輪観音さまはそれはそれは
美しくお優しいお顔をしておいででした。

いままで如意輪さんを何度か拝顔していますが、
このような高貴なお方ははじめてです。

如意輪さん特有のなまめかしさはなく
慈しみをふくんだ綺麗なお方でした。

このご本尊ならば静山尼さまはひたすら
祈られたでしょう。

幼くしてこの寺に入られた静山尼さまは
幼心にこの美しさに圧倒されたのでは
ないでしょうか。






↑この写真は「昭和天皇の妹君」から転載したものです。
写真では如意輪さんの気高い美しさが醸し出されて
いず、残念です。


この如意輪さんの宝冠がまた見事なもの
でした。中がくりぬかれ化仏がまつられて
います。

光背もシンプルですが躍動的です。

この御本尊前には「古い青銅の獅子」のような
思わず笑みを浮かべたくなるような獣の像が
おかれていました。

美しい御本尊とこの像の不均等がとても
印象に残っています。




<奥殿のお坪>










なんともいえない冴え冴えとした空間。


円照寺は
加えていく美ではなく引いていく美。
を、
具現化しているお寺さんです。














次回は参道を散策しながら静山尼様のことをお話しましょう。



昭和天皇の妹君
・・・謎につつまれた悲劇の皇女
(文春文庫)河原敏明著



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*掲載画像および文章の転載を禁じます。
円通殿扁額の隣の額の記載されている内容が不明でしたが
「奈良の寺社観光」さんのウエブを参考にさせていただきました。


   *  *  *


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マムより



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