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改めてご挨拶に伺いました。 (社会主義者)
2006-09-09 09:47:06
 ワタリさん、私のブログ「アフガン・イラク・北朝鮮と日本」にコメント&トラックバックをさせていただき、有難うございました。



 製造業の派遣・請負現場の工場・物流センター・寮が人里離れた辺鄙な所に多いのは、その立地条件が物流コスト如何で決まるからでしょう。

 高速道路やバイパス、埋立地などのインフラは全て既成の市街地を避けて作られていて、それらの関連施設は全てそういうインフラやその周辺に立地していますから。テクノステージ(大阪府和泉市の山の手にある工業団地で、構造改革特区として税制優遇措置が施されている)なんてその典型です。だから、地域社会とも隔絶しているのでしょう。あくまでも人間中心ではなくモノ中心という事です。



 派遣・請負・偽装派遣を巡る問題では、ヨドバシカメラ・パソナ・DDIポケットや、ネクスター・ニコンにおける人権侵害事件などが有名です。前者は、DDIPからヨドバシに偽装請負で派遣された労働者が、そこでDDIPやヨドバシの社員から、「無給の早出サービス残業の作業開始時間に遅刻した」とかいう不当な理由で、殴る蹴るの暴行を受け便器を舐めさせられた事件です。後者は、これも偽装請負によって派遣させられた大手企業のニコンで過労自殺に追い込まれた労働者の事例です。いずれも裁判で係争中の事例です(後者については一審で勝訴を勝ち取るも被告側が控訴)。



 こんな事例や、果ては建設会社がイラクでの戦時復興(と言う名の米国のイラク侵略戦争への加担)求人を、九州を始め全国各地のハローワークでこっそり募集していた(その後事態が表面化して募集打切りに)という事例まであり、こんな話を聞くとつくづく、現在のアウトソーシング労働者の置かれた境遇は、「正しく現代のタコ部屋ではないか」と思います。

 

 この問題の根本的な解決はやはり派遣・請負という労働形態そのものの是正を図っていく事にあるのですが、では99年の派遣労働の製造現場への解禁や、85年の職業安定法改悪(労働者派遣業の公認)以前の状態に戻しさえすればそれで良いのか、というと、問題はそうではないと思います。昨今は、正社員のアウトソーシングへの置換えと共に、成果主義賃金や裁量労働制の導入などで、正社員自体のアウトソーシング化(雇用不安定化・労働基本権否認)も同時に進行していますから(名目上の地位は正社員でも実質はアウトソーシングとそんなに変わらない)。



 派遣か請負か正社員かという、単に雇用形態を巡るだけの問題ではなく、それ以前の「企業の一員である前にまず一人の人間である」という意識を、一人一人がどれだけ持てるか、という事が今問われているのでは、と思います。
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先のコメントを一部語句訂正 (社会主義者)
2006-09-09 10:05:22
>>改めてご挨拶に伺いました。 (社会主義者)

> 派遣・請負・偽装派遣を巡る問題では、ヨドバシカメラ・パソナ・DDIポケットや、 <(第3段落の冒頭)



 上記部分を「~ヨドバシカメラ・DDIポケットや、~」に訂正します。ヨドバシ・DDIPにパソナが絡んだ二重派遣の事例は、私がこのコメントで取り上げた当該事例とは又全然別個のケースです。



 コメント欄は掲示板とは違って、一旦投稿してしまった後は、たとえ自分の投稿でも訂正・編集が出来ないのですね。以後は充分気をつけなければ。
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相対的剥奪指標と貧困 (Ost_heckom)
2006-09-09 23:22:27
トラックバック有難う御座いました。お返ししてこちらからも送信させていただきました。

引用モトの相対的剥奪指標の論文は去年のものですが、私は初めてこういう概念を知ったので、かなり興奮してしまいました。



こちらの「寮」の話ですが、やはり「寮」とは学校とか会社とか工場とかそういうものに従属した施設であって、本質的には「タコ部屋」なのだろうと私も思います。

ただ、二昔前だと「寮自治会」「寮自主運営委員会」などがつくられて、誰かの部屋で夜通し討論の上、当局と交渉という運びになったはずなのですが、今日では入寮者も・建物の構造も・入寮者管理も、そういうことをしにくいようになっているようですね。



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週刊東洋経済 (ken)
2006-09-13 19:06:59
最近、派遣や請負の求人広告を見ると「個室寮完備」を売りにしている会社が多く見られます。中には、ご丁寧に部屋の間取りを掲載してる会社まであります。寮費が幾ら掛かるのか気になりますが・・・。



私が住む福島にもディスカウントストアがありますが、食料品は安くてもまともな物を売ってますよ。ここで取り上げられている店は、よっぽど志が低いんでしょうね。そんな店があるとは残念です。



最新の週刊東洋経済では、シャープ亀山工場などの外国人労働者や最近新聞でも大きく取り上げられた「外国人研修生」の話が取り上げられていて興味深い内容になっています。お読みになってみては如何でしょうか。

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Unknown (ワタリ)
2006-09-14 23:19:42
返事がおそくなりました。社会主義者さん、Ost_Heckom さん、kenさん、いらっしゃいませ。まとめレスで失礼します。



>社会主義者さん



補足・解説をしていただき、ありがとうございます。

具体例が先にあり、説明があとにつくと、読者が退屈しないので、ちょうどよかったと思います。



>建設会社がイラクでの戦時復興(と言う名の米国のイ>ラク侵略戦争への加担)求人を、九州を始め全国各地>のハローワークでこっそり募集していた(その後事態>が表面化して募集打切りに)という事例まで



すみません、こちらのニュースは初耳です。ニュースソースの提示を願います。



>この問題の根本的な解決はやはり派遣・請負という労>働形態そのものの是正を図っていく事にある



そうですね。同意します。



>単に雇用形態を巡るだけの問題ではなく、それ以前の>「企業の一員である前にまず一人の人間である」とい>う意識を、一人一人がどれだけ持てるか、という事が>今問われているのでは、と思います。



そうです。正社員だって派遣だって人間なんです。人としての尊厳を破る労働や労務管理はしちゃいけないことなんです。

なんとかそうでない社会へと、少しずつでも変わっていかなければなりません。



>Ost_Heckomさん



こちらこそ、コメント・TBをいただきありがとうございます。



>「寮」とは学校とか会社とか工場とかそういうものに>従属した施設であって、本質的には「タコ部屋」なの>だろうと私も思います



ちょっと待ってください。わたしは「すべての寮が本質的にタコ部屋」とは言っていません。この記事の取材に協力してくれたAさんに案内してもらって現地で話を聞いたさい、「タコ部屋みたい」とつぶやいたわけです。



ちょっと話はそれるけれど考えてみれば、寮って密室になりやすいですよね。こういった環境では執拗ないじめや誰かによる恐怖政治がしかれやすい傾向はあります。



>二昔前だと「寮自治会」「寮自主運営委員会」などが>つくられて、誰かの部屋で夜通し討論の上、当局と交>渉という運びになったはずなのですが、今日では入寮>者も・建物の構造も・入寮者管理も、そういうことを>しにくいようになっているようですね



以前、あるフリースクールの寮を利用したことがあります。特に生活規律などはうるさくありませんでした。ただ、ボスの言うことをきかないものにはかなり圧迫的な環境でした。ピアプレッシャーもキツかった。何もはりあいのあることやれないゆえの空虚さもしんどかった。



以前、ある会社の寮に入っていた正社員の人が、うつか何かで人格が増悪してしまったことがあります。

会社の寮だと、思想統制とか、協調性の24時間強制などが大変でしょう。また、キツい労働と勤務シフトも重なり、疲労するでしょうね。公私の区別があいまいなのも、人間関係の緊張を高めてしまう。



だけど、いろいろ問題があるとわかっていても寮を使わざるを得ない人たちもいる。どうすれば寮を脱タコ部屋化できるのでしょう? あるいはできないんでしょうか。





この問題は、いったいどうすればよいのか。

歩いて15分以内にコンビニ等がない寮は違法、とか、

一人最低9畳は確保しなければならない、とか法制化するしかないのでしょうか? (日本の住宅は狭すぎる。今の1.5倍くらいにして当然だとわたしは思っています。なので、6畳→9畳にしました。)



これからも、日本の住宅問題とも関連させながら考えてゆきたい問題です。



>kenさん



いらっしゃいませ。



>寮費が幾ら掛かるのか気になりますが・・・。



中国地方の工場に派遣会社から出かけていった関西在住の人たちがいます。話をうかがうと、口をそろえて寮費は5~6万円とおっしゃいます。そのほか、冷蔵庫などのリース代が給与から差し引かれる例も。



会社自ら休憩時間にスタミナ・ドリンクを‘配給’するところもあるなど、けっこうハードな世界です。

また、あるパソコンの組み立て作業では、季節によって給与が天と地ほども違うそうです。

なお興味深いことに、寮に集う人たちは、西日本圏の住人ばかりで、方言や好きな料理などが互いに似通っているのだそうです。なので、すぐに仲間意識ができたとか。(このことは、また今度記事に詳しく書くでしょう。)



週刊東洋経済の記事の紹介、ありがとうございます。今度本屋に立ち寄ったときに、探してみます。





























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外国人研修生制度 (Ost Heckom)
2006-09-17 16:42:11
> ちょっと待ってください。わたしは「すべての寮が本質的にタコ部屋」とは言っていません。

そうですね。申し上げたかったのは、寮の目的は会社や学校だということで、住まう個人の生活ではないという程度のことです。



昔昔、東洋経済の本社の近所で働いていました。最近格差問題などでがんばっているようですね(?)。



外国人研修生度については少し前ニュースなどで取上げられていたのを読みました。

一定の日本語などの講義を受けたあと、1年間は「研修」、その後3年間「実習」そしてさらに3年間の「実習」の延長、都合7年間も日本で研修や実習という名目で働ける制度があるのです。

あまり良い記事ではありませんが、ナナメ読み程度に私のノートを紹介します。

http://d.hatena.ne.jp/ost_heckom/20060817/p1

http://d.hatena.ne.jp/ost_heckom/20060819/

厚生労働省としては外国人研修制度は拡充の方向を否定していません。





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イラク戦地復興求人のソース (社会主義者)
2006-10-05 16:32:08
>>建設会社がイラクでの戦時復興(と言う名の米国のイ>ラク侵略戦争への加担)求人を、九州を始め全国各地>のハローワークでこっそり募集していた(その後事態>が表面化して募集打切りに)という事例まで <

> すみません、こちらのニュースは初耳です。ニュースソースの提示を願います。<



 レスが遅くなってしまい申し訳ありません。ソースは以下の3つです。当該の件では他にも2chでも同様のスレッドが立っていたように記憶しています。



・職業安定所に求人票/働く場所は戦地イラク/月50万円以上/元請けは隠す(しんぶん赤旗)

 http://www.jcp.or.jp/akahata/aik4/2005-03-28/01_01.html

・イラクで働きたければハローワークに行け???(シバレイのblog)

 http://reishiva.exblog.jp/2392714

・土木作業員募集。就業場所は『イラク国内』(MyPersonalLinks+)

 http://blog.goo.ne.jp/ykimata/e/d3766eccf9dff30e536ea8864856386a



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 9月9日付の私の最初のコメントで一部語句の訂正があります。以下の様に訂正します。



(誤)> 派遣・請負・偽装派遣を巡る問題では、ヨドバシカメラ・パソナ・DDIポケットや、

(正)派遣・請負・偽装派遣を巡る問題では、ヨドバシカメラ・DDIポケットや、



 パソナが絡んだアウトソーシング契約不履行事件は、当該とはまた別の事件でした。くだんのコメントを書いた後で直ぐミスに気がついたのですが、エラー頻発でなかなか訂正の表示がうまく出来ず、今までそのままにしてしまっていました。
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これは (フルタ)
2006-10-10 01:43:27
あまりにひどい。僕の農場時代の住み込み寮

がゆったり思えてきます。



 まず早朝6時から夕方18時まで住み込み寮の畑で働き、メンバーと一緒に食事、その後TV観て、話し合いでした。話し合いは今日どこの畑で行き何を作業したか?メンバー一人ひとりが逐一報告します。話し合いが一種の相互監視と化していました。終わるのが20時を回りそれから風呂です。



 疲れて休んでたら、私達が働いてるのに、なぜ貴方は働かないの?と他のメンバーから問いつめられる事が少なくなかった。それが毎日のように続きました。電話も寮内に共同電話1本のみ。買い物も標高800mの山なので、近くに店が無く行けません。



 メンバーボスと取り巻きが牛耳り、働いてクタクタになった上、精神的に何時も拘束された感じで安心出来ませんでした。すぐ誰が何を言ったか伝わる、プライベートも無い生活でした。

 

 なお賛美歌や礼拝が強制出席で、これと長時間労働を抗議したら、指導者から何度か辞めろと言われました。

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Unknown (ワタリ)
2006-10-16 17:49:26
Ost_Heckomさん、社会主義者さん、フルタさん、いらっしゃいませ。まとめレスで失礼します。



>Ost_Heckomさん



情報提供をありがとうございます。

そうですね、最近の東洋経済には一貫した編集方針を感じます。

雑誌つながりで言うと、「サイゾー」が会社の内情について特集していました。また、岡林という元・噂の真相編集長の対談集のなかに、松下の不良品についての情報が含まれています。

外国人研修生問題は、80年代なかば労働者派遣法が成立したころから、人権無視の労働の温床ではないかと一部のジャーナリストやアクテイヴィストらが訴えていました。

今はもっとひどいことになっているようですね。実はわたしも中国人と同じ職場で倉庫内作業をしたことがあり、ちょっと他人事と思えないところがあります。



>社会主義者さん



情報、ありがとうございます。

いたるところで派遣のものが人間扱いされていないことがうかがえます。正社員の共同体主義をなんとか処置しなければなりません。職場に定着しないものを排除する排他性は批判されてしかるべきです。こういった人権侵害を応援する雰囲気をあおる熊沢誠など研究者の言論も含めて。



>フルタさん



大変なところで働いたのですね。

信仰の自由が共同体によってつぶされるのは問題です。こういった地域に密着するという奴隷的選択を抵抗だといいつのる熊沢誠のような研究者には困ったものです。

公私混同なのでプライベートが侵されるのは、共同体型の会社・役所では珍しくありません。

わたしも、会社でプライベートなことを自己暴露しなければこの会社共同体のメンバーじゃないという暗黙の了解に苦しめられたことが何度もあります。そこでみなにあわせて自己人権侵害をやらなければ、コミュニケーション能力がない、生意気などとされて解雇されたこともありました。

こういった相互監視・処罰の戦前の隣組や内務班のような地域密着主義を言って、人の不幸を制度的に再生産せしめる論者は、どこまで人の不幸を祈っているのでしょう。





























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