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スマート電車、非電化路線をGO! 近畿車輛

2012-11-11 14:17:51 | ウエーブニュース
スマート電車、非電化路線をGO! 近畿車輛
   2012年11月10日(土)15:25
   (産経新聞)

 架線がない非電化の路線を走ることができる“電車”が発表された。名前は「Smart BEST(スマートベスト)」。高性能のバッテリーを積んでモーターで走行し、使った電気は発電用のディーゼルエンジンで充電。ブレーキの力でも発電できる。これまでの気動車(ディーゼル車)よりも小さいエンジンを搭載しているため騒音も小さく、新しい省エネルギー電車として注目を集めている。(吉原知也)

 「エネルギーの『地産地消』を実現する新しい車両です」

 開発にあたっている鉄道車両メーカー、近畿車輛(大阪府東大阪市)の広沢賢(さとし)・研究開発部長(54)はそう胸を張る。

 スマートベストの電源は、大容量のリチウムイオン電池を採用したバッテリーだ。床下に搭載され、ここにためた電気を使いモーターで駆動走行する。走行によって減った電気はディーゼルエンジンで発電して補う。

 ブレーキ時にかかる力も発電に利用し「回生電力」としてバッテリーに充電し、走行や車内のエアコン・照明などに利用する。架線を通じて外部から電力の供給を受けることはなく、必要なのは発電用エンジンの燃料となる軽油だけだ。

 現在、電化されていない路線を走るディーゼル車は、ディーゼルエンジンを動力源としている。燃料の軽油が必要なのは「スマートベスト」も同じだが、エンジンを発電だけに使い、効率よく充電ができるため、1両当たりのエンジン出力は、従来のディーゼル車の約3分の1から約4分の1で済むという。このため、ディーゼル車よりもエンジンを小さくできる。

 エンジン出力を抑えているため燃料消費が少ないだけでなく、騒音や排ガスも軽減される。今後、エンジンのオン・オフを最適に制御する機構を導入することも可能で、広沢さんは「環境に配慮して、低燃費。現代にふさわしいクリーンな車両が実現できた」と評価する。

 今回の車両は「環境に優しい車両」をコンセプトに、平成22年4月から開発・製作を進めてきた。同社はディーゼル車の開発に携わった経験がほとんどなく、エンジンを扱うのは初めて。16人の研究員のうち8~9人を投入し、エンジンやバッテリーのメーカーと打ち合わせを重ね、日付が変わったこともしばしば。ノウハウなしの状況から、新しい走行システムの形成に成功した。

 その結果、2両編成で103席を確保し、時速100キロで走行できる性能を確保。電力の供給を車両内で完結させることで、パンタグラフや変電設備などが不要なため、コスト面でも部品交換や故障の修理費の削減が見込めるという大きな魅力を持つことができた。

 JR西日本は「スマートベスト」の導入を決めていないが、真鍋精志社長は「中長期的に考えると、メンテナンスを減らせるという意味で有効」とこの点を高く評価している。

 10月からは、実用化に向けた試験走行がJR西の路線で始まり、バッテリー性能やエンジンの燃料消費量のチェックが行われている。近畿車輛は、国内の非電化ローカル路線はもとより、海外で新路線の建設を予定するアジアの新興国への販売にも力を入れたい考えだ。

 多彩な新機能が話題を呼び、人々の生活に一気に浸透したスマートフォン(高機能携帯電話)にあやかって名付けられたという「スマートベスト」。目指すは、世界規模の普及だ。


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