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「理想的な淡水水槽」 6.2.2. モーターと小型フィルター


デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

6.2.2. モーターと小型フィルター


かつて使用されていたエアポンプやブロワーによって作動する投げ込み式のフィルターが、「理想的な水槽」に適していないことは明らかである。フィルターから吐き出される大量の気泡が水面ではじける際に、水中の二酸化炭素(CO2)も大気中に追いやってしまうからである。水中から失われる二酸化炭素の量が多ければ、どのような方法で二酸化炭素を水中に拡散したところで、その損失を補填することはできない。この点で空気によって稼動するフィルターは理想的な水槽にはふさわしくない。そして限られた少数のフィルターのみがこの問題を解決することができる。

この10年間で、水中で使用する小型フィルターの性能は大幅に向上した。今日では水槽の中に直接入れたり、水槽の外部で稼動させるといった幅広い用途に対応するフィルターが数多く存在する。これらのフィルターは取り扱いが簡単であるばかりか、安全性も保証されている。小型フィルターは機能別に3つに分類することができる。

1. 水中式フィルター(写真1)
これは水の中でインペラを回して水を吸い上げる方式を採用しており、モーター本体は水の表面よりも上方にある。このフィルターには次のような利点がある。

a) 仕事効率が非常に高い
b) モーターの熱が水温に影響を与えない

しかし欠点もある。このタイプはほとんどが写真のように水槽の隅に設置されるが、見た目がよいとは言えず、鑑賞面で非常に不利である。フィルターを備えない水中式ポンプは、ろ過機能をあきらめ、インペラを保護するためのストレーナーのみを持つので見た目にもすっきりしている。水槽内の水を動かす目的で使用するのであれば、水中式モーターは理想的な道具である。


2. 外掛け式フィルター(写真2)
その名前から推測できるように、このタイプのフィルターは簡単に水槽外側に引っ掛けて使用することができる。水中式モーターなどが備えられて、水槽の水をフィルター内に引き込みろ過した上でまた水槽に戻す。この方式には下記のような利点がある。

a) ホースによる配管が不要なため、特に初心者にとって扱いが非常に簡単である。
b) ろ過の性能が高い。
c) ろ材の交換が容易である。

もちろん欠点もある。

a) 水槽の外側に設置するため見栄えが悪く、水槽のインテリア性を損なう。またフタで密閉された水槽には不向きである。
b) このタイプのフィルターの数少ない欠点としていつも挙げられるのは、水流の調整が非常にあいまいにしかできないということだ。これは構造上の問題である。


3. 密閉式フィルター(写真3)
密閉式フィルターはさらに2つのタイプに分けることができる。

a) 磁性平板による力の転用を発生する空冷モーターを備えたもので、古くから存在するタイプ。

この空冷モーターの長所は、仕事率0の状態においても約1.5mという比較的高い揚程を有していることだ。揚程とは、あるモーターが水を上げることができる限界の高さのことで、その高さまで水が達した時点で効率曲線が停止することを意味する。夏場でも水温に影響を与えないということも、空冷式モーターを採用する利点である。

一方このフィルターの欠点として一番に挙げられるのは、仕事効率の悪いスロットモーターである。またこのモーターがホコリに弱いこと、稼動音がうるさいこと、また水がかかった際の安全性に問題があるなどの欠点もある。

しかしこのタイプのモーターは1962年から1982年にかけて水槽に非常に多く取り入れられ、その性能には一定の評価が与えられている。


b) 多重にカバーされた永久磁石内蔵モーターを備えたタイプ。

このフィルターはaの空冷式モーターとはまったく異なる方式を採用したモーターを持つ。磁性平板ではなく永久磁石を持ち、騒音の問題を解決した。多重カバーで内部の気密が高められ、水の浸入による故障の可能性も大幅に少なくなった。

このタイプのモーターは先述の空冷式モーターに比べ、設置やメンテナンスが簡単で、構造上長期の使用に向いている。仕事効率も向上しており、ろ過部分による抵抗がなければ空冷式モーターよりもはるかに高い能力を発揮する。

しかしこの新しいタイプのモーターにも欠点はある。大量のエネルギーが水を吸い上げる力に変換されてしまうため、揚程が低いということだ。例えば1時間に240ℓの吐き出し能力がある比較的旧式のモーターでは、揚程1mの場合吐き出し能力は1時間に100ℓである。しかしこのタイプのモーターでは、1時間に500ℓの吐き出し能力があるものを使用しても揚程50cmで1時間に100ℓが精一杯なのである。

先に書いたようにこのタイプのモーターは部分的に分厚いカバーに覆われており、それによってポンプのエネルギーの一部は熱に置き換わってしまう。その熱は水温に直接影響を与えるため、夏場の温度維持の面では非常に不利である。

またこのポンプは、構造上外部から侵入する異物に対してとても敏感である。水槽に敷かれた底砂や、タニシなどの貝類などが内部に侵入すると、その駆動部分に致命的なダメージを受けることがある。このタイプのモーターを使用する場合には、吸い込み口の手前に異物を除去するフィルターやストレーナーを設置することを勧める。

  

左:写真1 水中式フィルター
中:写真2 外掛け式フィルター
右:写真3 密閉式フィルター



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