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「理想的な淡水水槽」 8.2.3. 底床土の分解機能 前編

デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」

8.2.3. 底床土の分解機能 前編


水槽にとって好都合な本当によい底床土とは、その内部に分解機能を持つものである。この底床土の分解機能を最大限に発揮させるためには、2つの基本的な条件が必要である。1つは24Vの低電圧ケーブルヒーター(Dupla Flex)によって底床土が暖められていることである。そしてもう1つは熱帯河川の底床と同様の成分を持ち、なおかつ高い鉄分含有量を示す熱帯紅土を底床に用いることである。

しかしここで、熱帯紅土とは何であるのか、またそれが水槽内でどのような役割を担うのか疑問に思う読者もいることだろう。熱帯紅土とは熱帯地方で非常に多く見られる赤い色をした土壌のことである。アフリカやアジアなどの熱帯地方へ旅行をした経験がある人なら、この赤い土をあらゆる場所で見かけたことが印象に残っているだろう。

熱帯地方の気候等の条件に影響を受け、紅土の分布は限られている。紅土は白陶土の土壌と同様4~84%の酸化鉄と水酸化鉄を含んでいる。紅土は農作地の土としては不毛とされるが、熱帯の河川で育つ水草にとっては、成長を維持するために必要不可欠な様々な栄養素を有している。嫌気的条件下にあっても、水底の紅土は鉄分を水中に溶解させ、有機酸を腐植酸と結合させる。そして溶解した鉄分は水の色にも影響を与える。これは目ではっきりと確認することができる。底床土から水中に流れ出た水が茶色や錆色になっているのも我々は何度も見ている。これを我々は「栄養素の泉」と呼んでいる。底床土から流出する伏流水が様々な栄養素を高濃度で含んでおり、それが常に水中に供給されているからである(栄養素の泉については9.1.5.も参照)。

栄養素が自由に移動することができる水中においては、次のような現象が生じる。酸素の影響を受ける環境下では、鉄分と無機のトレーサー元素が酸化して沈殿する。そして錆色のこれらの沈殿物は底床の中にも入り込み、そこにとどまる。またこれらの沈殿物は水草の上にも沈積する。水草に覆いかぶさっているこの「鉄分の綿」のクッションは、目ではっきりと確認することができる(写真参照)。これが熱帯河川の典型的な水の色を生み出しているのだ。

熱帯河川の底床の下には、深い層まで鉄分の沈殿物が浸透している。これは数十年に及ぶ沈殿の結果である。熱帯の河川には有機酸と腐植酸の含有量に応じて、大量の鉄分が溶解しているのである。これが熱帯の河川の水が高い鉄分濃度を示す原因である。


酸化作用によって遊離した鉄分は、水底に沈殿し
やがて「栄養素の泉」へと達する。



底床土の分解機能 後編へ続く



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