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デュプラメソッド「理想的な海水水槽」1. 前書き


デュプラメソッド「理想的な海水水槽」

1.
前書き


これまで海水水槽は、アクアリウムの世界において片隅に追いやられていたといっていいだろう。その理由は生物の入手が困難だったからだけではなく、海水水槽の中で生物を飼育・維持すること自体が非常に難しかったためだ。今日の海水アクアリウムにおいても、サンゴ・ぜん虫類・イソギンチャク・カイメンなどの無脊椎動物の多くはミステリアスな存在のままである。
大まかに見積もって、現在(1989年)約1,500万の西ドイツの家庭で、海水水槽を所有しているのは1%~2%程度だろう。これまで海水水槽には成功例がほとんどなく、またそれが海水水槽の発展を妨げてきた。

現在ダイビングは人気のあるスポーツのひとつであり、熱帯地方への旅行ももはや特別のものではない。海中の生物に興味を持っているアクアリアナー(魚を飼っている人)は簡単に熱帯の海底風景を見ることができるし、その景色を家庭で実現したいと望んで帰宅する人もいる。しかし淡水水槽とは異なり、海水水槽への挑戦はなかなかうまくいかないようだ。

これはなぜか?もちろんこれまでに成功例がなかったこともあるが、海水水槽を作るための知識が未だに不確かであることが大きな原因なのだ。この知識の不確かさとは、海水水槽を組み上げる技術面のことだけでなく、珊瑚礁に住む無脊椎動物や魚を水槽で飼育・維持するための世話に関する面も含まれる。少ない成功例は、失敗例ほど世の中に広まらないものだ。海水水槽についての本は多く出版されているが、成功のために実際何をするべきかはそれぞれが読み取るしかない。10冊の本があれば、そこには10の異なる内容が書いてあるのだから。

これはその本の著者自身が自分の知識に自信がないためである。自分の意見を書く時に慎重になってしまうのは、海水魚を飼うことがあらゆるペットの飼育の中でも最も難しい部類に属するからだ。多くの事項がまだ解明されておらず、これらのほとんどは場当たり的に処理されている。
例えば光、二酸化炭素、水中に含まれる栄養分、水流、沈殿物などの問題もそうである。この本で、私は海水アクアリウムをその隠された場所から開放しよう。この本では、様々な飼育法を組み合わせて、海水水槽にとって最適な条件を作り出す方法を試みている。これはほんの手始めである。私が著者として付け加える必要を感じた数多くの項目によって、この本は構成されている。

私は執筆にあたり意識的に、無脊椎動物の生態をいくつかの魚の生態と併せて書くという課題を自分に課した。これは、私が勧める水槽は小さなビオトープアクアリウムであり、数ある海水水槽の中でも特に長い年月楽しめるタイプのものだからだ。私たちは無脊椎動物の生命力を利用して水槽を維持することを目的とし、その際水槽にいくらかの魚を加えることで無脊椎動物の生み出す生命の秩序を損なわないように注意しなければならない。

この本では無脊椎動物や魚の名前を列記したりはしない。私は、その目的のために有用だと思われる本を別記しておく。この本は上で述べた理想的な水槽のためのレシピだと考えてもらいたい。この本は決して完璧ではないし、完璧なものなどできるはずもない。不確かであるものを確かなものへと変えることと、海水への恐れを消し去ることがこの本の目的である。


Horst E. Kipper
Byford Westaustralien
Cairns Queensland
im Marz 1986




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