デュプラメソッド「理想的な淡水水槽」
4.1.1. 自然下での太陽の光
自然下での太陽光を測定し、それを水槽内で再現するための法則を導き出すのは極めて困難な作業であり、その努力はしばしば他のアクアリアナーの笑いの種にされる。この問題は、人工の生態系と自然の生態系に分けて考える必要がある。自然下での水生植物は、その植物が生息している場所から数メートル、時には数キロメートル離れたところの生物学的要因や地理的要因に大きく影響される。例えばはるかに離れた場所で生活している植物の同化作用(炭酸および窒素)や滝などが、別の場所の植物に影響を与えるのである。
クリプトコリネは文学の世界では「日陰の植物」として扱われがちだが、実際には日陰だけでなく太陽光があたる場所でも見つけることができる。これは同じ川の中で、また同じ種類のクリプトコリネでも見受けられる。我々は調査旅行の際、Cryptocoryne cordata(クリプトコリネ・コルダータ)を50ルクス(lux)の日陰でも、さらにそこから少し離れた日光が降り注ぐ90000ルクスの水面でも見たことがある。
Cryptocoryne cordataの生息するタイの小川での測光の例を挙げてみよう。日陰になった場所では真昼の12時ごろに15000~20000ルクスの間の値が水面で測定されたが、水深30cmの水中では1000~3000ルクス程度しかなかった。また同じ川のより日陰の場所では、15時ごろ以下のような数値が計測された。
Cryptocoryne cordata自生地における照度
水面・・・・・・・・・1500ルクス
水深10cm ・・・・ 700ルクス
水深20cm ・・・・ 600ルクス
水深30cm ・・・・ 450ルクス
この場所に自生するクリプトコリネの葉の表面部分では120~150ルクスであった。照度に大きな差があるにもかかわらず、同じ種類のすべてのクリプトコリネについて大きさや色には目立った違いがないこともわかった。
水生植物の自生地の照度
直射日光が当たる水面-90000ルクス
木の葉を通して陽光がきらめく水面-1000ルクス
完全な日陰だが植物の状態はとてもよい-100ルクス
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